Forrester Researchの分析によると、電子書籍市場に大きな変化が起きず、また新たな試みが開花しなかったとしても、米国の電子書籍は2015年に30億ドル近い市場に成長する。11月5日に提供開始したレポート「eBook Buying Is About To Spiral Upward」の概要を説明するブログ記事の中で、バイスプレジデントのJames McQuivey氏が明らかにした。

電子書籍はブームと言われているが、電子書籍ユーザーはインターネットを利用している成人のわずか7%にとどまる。消費者の本の入手方法として電子書籍は極めて小さな割合である。Forresterの推定で2010年の電子書籍の売上高は9億6600万ドル。起爆剤なくして、現在の3倍近い30億ドル近くに成長できるのだろうか。

McQuivey氏はまず、消費者が本を入手する方法の現在のトップ2が「友だちから借りる」「図書館から借りる」であることを指摘し、書籍市場では多くの人がコンテンツを無料で消費しているのが現状であると説明している。一方で電子書籍ユーザーは本を購入し、そして読了する読書家が多い。しかも、電子書籍を利用し始めてから電子書籍にシフトする傾向が強い。読んでいる本のうち、電子書籍の割合がすでに41%に達してる。興味深いのは半数近くがKindleやnookのような電子書籍リーダーを所有しておらず、ノートパソコンなどで読んでいるということだ。電子書籍リーダーを所有している場合は、電子書籍の割合が66%に達する。

本好きほど紙の本を好む傾向が強いように思われているが、実際には本を読む人ほど、所蔵の場所が必要ないとか、様々なデバイスで読めるなど、電子書籍のメリットを好んでいる。また電子書籍ユーザーの電子書籍リーダーの所有率が予想以上に低いことから、本好きが電子書籍にシフトする余地がまだ大きく残されていると考えられる。そのためMcQuivey氏は「電子書籍産業が全く変化しないとしても、増加している電子書籍ユーザーが高い割合で電子書籍を消費しているという状況が維持されるだけで、2015年に30億ドル近くという予測には容易に到達できる。つまり、カラー電子ペーパーの採用、電子書籍のサブスクリプションモデル、インタラクティブな電子書籍形式の普及など、そうしたことが起きなくても、われわれは10年代半ばには電子書籍が30億ドル市場に近づく姿を見ることになる」と述べている。