総務省統計局は30日、2人以上世帯の家計調査報告(3月分速報)を発表した。1世帯あたりの消費支出は31万9,991円で、価格変動の影響をのぞいた実質で前年同月比4.4%増だった。2カ月ぶりのプラスで、2004年5月(同5.0%増)以来、5年10か月ぶりの大きな伸びとなった。季節調整済みの消費支出の実質指数は前月比5.9%増で、こちらは比較可能な2000年2月以降最大の伸び率となった。

消費支出では、給排水関係工事費や外壁・堀等工事費などの増加で「住居」(1万8,496円)が前年同月比実質18.5%増(3カ月連続増加)と大きく伸びた。また、エアコンや炊事用電器具などの購入増で「家具・家事用品」(9,825円)も同16.1%増、6カ月連続の実質増加となっている。「教養娯楽」(3万4,516円)は同12.1%増。特に薄型テレビが前年同月比81.0%増と大きく伸びた。

薄型テレビについては「家電エコポイント制度」の改正で、エコポイント対象商品の基準が厳しくなっている。総務省統計局は3月の薄型テレビの購入が多かったことについて「エコポイントの対象から外れる前に薄型テレビを買う『駆け込み需要』が多かったのでは」と話している。

10項目のうち前年同月比(実質)でマイナスとなったのは「被服及び履物」(1万3,147円)の1.1%減、「保健医療」(1万2,687円)の6.4%減、「その他の消費支出」(7万4,784円)の1.4%減だった。

同局の担当者は「3月はエコカー減税やエコポイント制の効果で天候不順にもかかわらず高い水準となったが、エコポイント制度改正前であったことや、行楽シーズンであったことなど3月に限定された要因もあること、また同調査はサンプル数が少ないこともあり、4月以降の調査結果をみていく必要がある」と話している。

勤労者世帯の実収入は実質0.4%増の43万9,410円。2カ月連続の実質増加となった。世帯主収入が36万1,094円で0.3%増(3カ月連続の増加)となったほか、配偶者収入が5万2,528円で7.0%増(2か月連続の実質増加)となっている。税金・社会保険料を除いた個人が自由に消費や貯蓄などに使うことができる可処分所得は同0.3%増の35万2,552円。2カ月連続の増加となった。