FXオンラインジャパン アナリストチームが最新のデイリーレポートをお届けする。欧州株式は、ギリシャ問題が再びクローズアップされ、マーケット全体がリスク回避傾向を強め小幅に下落した。一方、米株式も欧州市場の流れを受け、利益確定売り優勢となるが、金融セクターではモルガン・スタンレー(MS.N)、製造業ではボーイング(BA.N)が1株利益で市場予想を上回ったことを背景に投資家の根強い買いを誘発。ウォール街株価指数はかろうじて続伸した。

為替市場は、ギリシャ国債と独連邦債との利回り格差が12年ぶりの水準に拡大したことを受け、株式以上にリスク回避傾向が強まり、ユーロの売り圧力が増大した。一方でドル&円が上昇。

この動きを受け商品相場も軟調な地合いとなった。特にWTIは米原油在庫の増加の影響も重なり、上値を抑えられた。

本日の主要経済指標

  • 08:50 日・3月通関ベース貿易収支

  • 15:15 スイス・3月貿易収支

  • 16:30 独・4月PMIサービス業

  • 16:30 独・4月PMI製造業

  • 17:00 ユーロ・4月PMIサービス業

  • 17:00 ユーロ・4月PMI製造業

  • 17:30 英・3月小売売上高

  • 21:30 加・3月景気先行指標指数

  • 21:30 米・3月生産者物価指数

  • 21:30 米・新規失業保険申請件数

  • 23:00 米・4月消費者信頼感

  • 23:00 米・3月中古住宅販売件数

  • 23:30 加・BOC(加中央銀行)金融政策レポート

要人発言

  • 20:00トリシェECB総裁の発言

  • 20:00プロボポラス・ギリシャ中銀総裁の発言

  • 25:15バローゾ欧州委員長の発言

  • 時間未定 オバマ大統領の発言

注目の米企業決算は、昨日の半導体大手クアルコム(QCOM.O)や米市場引け後発表されたオークション大手イーベイ(EBAY.O)が、第1四半期決算で市場予想を下回った。特に後者のイーベイは、時間外で約6%近く下落した。

その一方で、金融セクターを中心におおむね好決算が続き米株式をかろうじて下支えする状況が続いている。特にモルガン・スタンレー(MS.N)は債券部門での利益が27億ドルと前年の12億ドルから倍以上の収益となった。

また、金融セクターと並んで好調なのが自動車産業だ。欧米の自動車メーカーはフォルクスワーゲン(VW)(VOWG_p.DE)、クライスラー(DCX.N)で好決算が続けば、ゼネラル・モーターズ(GM)(GM.UL)は政府の資金援助額残り47億ドルを前倒しで返済すること発表。これらの結果は、3月あたりから市場で指摘され始めていた、米製造業を中心とした景気回復の力強さをあらためて証明することにつながる可能性がある。

本日の東京市場はこれらの米企業決算内容を受け、まだら模様の展開となりそうだ。

ただ、日本225種に限ってみれば未だ調整色は根強く、25日MAが意識される展開が継続すれば、上値追いは限られる可能性がある。

また、昨日も指摘した通り、ギリシャ問題が再び顔を出してきたことにより、円高圧力が強まっていることも日本225種の上値を抑える要因として考えた方が良いだろう。

特に円高を主導しているユーロ円や豪ドル円の動向が気がかり。欧州の債券市場では、具体的なEUとIMFによる具体的な支援策が決定しても、ドイツとギリシャの国債利回りは拡大の一途を辿っていることを背景に、ユーロ円は心理的ラインである125円を維持することに失敗すれば、その影響を受け豪ドル円も目先のレジスタンスライン87円タッチ後、失速している。

また、商品市場でもWTIが軟調な地合いとなっており、資源国通貨の上値を抑える公算も考慮すれば、本日のアジアの株式市場が底堅い値動きとなっても、ショートカバーは限定的となり、むしろ今後のリスク懸念を意識した展開になる可能性もあろう。

日本225種株価指数 日足

ドル円 日足