FXオンラインジャパン アナリストチームが最新のデイリーレポートをお届けする。アジア時間では堅調だった株式市場も、ギリシャ問題が一息ついたものの先行き不透明感が残されており、資源価格がリスクテイクにもかかわらずEIAが24日に発表した原油在庫の数値を受けた軟調地合いが継続し、反落したことから、エネルギー関連銘柄が売り優勢となり、ディフェンシブ銘柄、利益確定の動きで金融関連が上値を抑えた。ただ、ギリシャの金融銘柄は大幅上昇となった。

一方、為替では、ユーロ圏首脳がギリシャ支援に向けて合意に至ったことで、ユーロ売りから買い戻し優勢となり、ユーロだけではなくイギリスポンド、AUDなどが対ドルで上昇し、ドル円も92円台でのもみ合いとなった。ただ、市場関係者の間では、ギリシャの4―5月の国債発行に対する懸念がくすぶっており、ドイツ国債とのスプレッドの縮小は限定的となり、ユーロの大幅な買い戻しの展開にはつながらなかった。

  • 0850(日)2月商業販売統計
  • 1800(ユーロ圏)3月景況感・業況感指数
  • 2130(米)2月個人所得・消費支出

円チャート

今日は主だったイベントはないものの、先週のEU首脳会議において合意に至ったということ(具体的な支援手法・金額は明示されず)で、ユーロは朝方金曜日の高値を超えて買い戻しが入っています。短期的なS/Lが入っているとは思うものの、CFTCが発表した通貨先物ポジションにおいてもユーロと、イギリスポンドがかなりショートになっていることから、先週よりは下値での買い戻し今日が高いとみている。

ユーロ 3/23/10 week 3/16/10 week
Net -74,917 -46,341 Short Increase
ポンド 3/23/10 week 3/16/10 week
Net -71,624 -63,987 Short Increase

また、今週は欧州参加者にとっては1日短い取引の週。イースター休暇が金曜日と月曜日にあることから、欧州市場参加者としては、過大なポジション構築はなかなか取れないでしょうし、ましてや金曜日は米雇用統計がある日。まずは、リスク回避的な動きになるのではないだろうか?

今朝のイギリスの経済紙においては来週、ギリシャが50億ユーロ相当の起債を予定しているということで、先週のECBからの援護射撃も入ったことで、現状の金利水準(ドイツ国債よりは3%近く高い)はかなり魅力的な国債になるであろうし、無事に消化できれば、4-5月に大量償還を迎えるギリシャ国債の借り換えに対する悲観論も後退する可能性がある。もっとも、高い利回りですから、利払い負担が増加しているという懸念は残るのもの、まずは、ポジションを軽くする方向で市場は動きそうだ。

そして、ドル円だが、本邦実需筋としては、やや生還の動きながらも、本邦機関投資家の動きがどうなるか。先週まではヘッジはずしの動きが出ていたが、実質今週から新年度入りしていることから、新たな外債投資に絡んでどのようなスタンスを取るのか。今秋の日米経済指標イベントにおいてポジティブな方向性であるならば、ヘッジ比率を下げて(つまり、円買いの動きを多少緩める)来る可能性があり、今週からの機関投資家からのコメントには注目しておきたい。

テクニカル的には、先週と今年の高値水準(92.85-93.85)をしっかりと抜けるかどうかだが、下降トレンドラインを越えてきており、クロス円での実需筋の売り興味(ユーロ円ではやはり125-126円台には多少ある模様)をどうこなしていくか。 

また、株式市場においてはギリシャの問題がはっきりと解決したとは言い難いながらも、リスク回避的な動きはやや後退しており、米当局も出口戦略に向けてそろりと動く可能性を示唆していることから、米資本市場(長期金利の上昇は警戒しなくてはならないが)が堅調に推移しやすくなっており、ドル円・株式において利益確定の動きが一巡した後で、下値限定的となれば、どうなるか。 

米株式市場においては医療保険法案が可決したことによる企業の負担増が取り上げられているが、従業員を抱えていることを考慮すれば、当然のコスト増であり、前向きにとらえる企業であれば、中長期投資対象銘柄としてポジティブにとらえておくべきではないであろうか? 株主還元を投資家筋は唱える筋としてはネガティブにとらえるかもしれないが、米企業を投資対象としてとらえるには面白い視点かも。

いずれにせよ、今日はポジション調整+株式市場の展開(残念ながら日本ではなくて海外市場)を見ながらで、ポジションテイクしたほうがよさそうだ。

SPチャート