演劇集団キャラメルボックスの創立25周年記念第一弾となる舞台『ミス・ダンデライオン』『南十字星駅で』の会見が28日、都内で開催された。

『南十字星駅で』の主演を務める西川浩幸(左)と『ミス・ダンデライオン』に出演する岡田達也。「タイムトラベルは行きたい時間にいって現在に戻って来られる。だけど、クロノス・ジョウンターは、過去に遡った後は現在よりももっと先の未来に飛ばされてしまう。その不完全さが魅力」(岡田)

今年で創立25周年を迎え、年間15万人をも動員する人気劇団になった演劇集団キャラメルボックス。今回上演されるのは、『黄泉がえり』で知られるSF作家・梶尾真治の小説『クロノス・ジョウンターの伝説』シリーズを原作とした、『ミス・ダンデライオン』(4年ぶりの再演)とシリーズ完結作『南十字星駅で』だ。

同劇団では、5年前より『クロノス・ジョウンターの伝説』シリーズを手がけているが、そもそものきっかけは脚本・演出を手がける成井豊と同小説の本屋での出会い。「再販された文庫版を読んで感動して、すぐに10冊ほどまとめ買いして劇団員に配ったんです、これがやりたいから!って」。昔から、タイムトラベルものが大好きだった成井にとって同作は「100点満点。タイムトラベルとラブストーリーが一体となった作品をやりたかった」と熱っぽく語る。

一方の梶尾も「成井流の作品解釈は私の考えていることと齟齬がない。いずれも完璧な演出だ」と絶賛。舞台上での西川浩幸演じる"野方(クロノス・ジョウンター開発者であり、『南十字星駅で』の主役)"の強烈なキャラクターが焼き付き、完結編を書いている最中も西川の顔を思い浮かべつつ執筆していたというエピソードも披露した。

「成井さんと梶尾さんの二人が出会えたことに感動します」と西川。「きっと誰にでも過去に戻ってやりたいことがあるはずですよね」

「実は続編を書く予定はなかった」と笑う梶尾。「ターミネーターみたいな編集者が『まだ(時空を)とんでいない人がいるでしょう?』としつこくて(笑)」

成井は「創立25周年の今年の公演作品は、劇団員のやりたいことを並べたかんじです」

過去に同劇団が舞台化したシリーズ4作品に引き続き、完結編でも野方役を務めるのは西川。57年前に事故で亡くなった友人を助けるために時空をとぶ設定だが、成井と梶尾の熱いやりとりに「正直、プレッシャーです」と一言。自分が主役となる同作に対し、「本読みであれだけ泣いたことはない。舞台上に立ったときどうなるのかわからないですね。『クロノス・ジョウンター』が好きなたくさんの人の想いを背負って全力でやりたい」と誓った。

『南十字星駅で』と『ミス・ダンデライオン』は、3月12日から4月4日までの期間で東京・サンシャイン劇場にて上演(※地方公演あり)。詳細はこちら