Mac OS X 10.6 "Snow Leopard"

米Appleは8日(現地時間)、同社Mac OS Xの次期主力バージョン「Mac OS X version 10.6 "Snow Leopard"」を初めて一般公開した。アプリケーションの動作速度が全体に向上しているほか、内蔵アプリケーションの64bit対応、Microsoft Exchange Server 2007のサポートなど、新機能追加よりも既存の各機能のブラッシュアップが中心となっている。発売時期は2009年9月を予定しており、米国での価格は129ドル。Mac OS X 10.5 "Leopard"のユーザーには29ドルでアップグレード版が提供される。

Snow Leopardは次期主力OSとしてAppleが開発を続けていたもので、一般向けの公開が行われるのはこれが初。メジャーアップデートとは銘打っているものの、今回は現行バージョンの"Leopard"の機能ブラッシュアップが中心であり、速度向上や内部的な機能強化など、全体に地味な変更点が多い。Appleが既存ユーザー向けに低価格のアップグレード版を用意したのも、そうしたユーザーへの配慮が考えられる。

Finder、Mail、Safariなど搭載アプリケーションが64bitにネイティブ対応しており、Appleによれば全体の90%ほどが刷新されているという。Snow Leopardでは最新バージョンにあたるSafari 4とQuickTime Xが標準搭載されるが、Safari 4ではNitroと呼ばれるJavaScriptエンジンによりGoogle MapsなどのAjaxアプリケーションの動作が大幅に向上しており、QuickTime Xではウィンドウ枠消去や簡易編集、Webアップロードなどの機能強化が行われている。また新機能としてマルチコアプロセッサでのスレッド動作を最適化する「Grand Central Dispatch (GCD)」を搭載、新たにサポートされる「OpenCL」ではC言語ライクなグラフィック処理プログラミングが行える。

搭載アプリケーションの動作速度が全体に向上している

進化したExpose。Exposeを使うことで互いに重なり合ったウィンドウ間でもドラッグ&ドロップが可能

またMac OS Xとしては初めて「Microsoft Exchange Server 2007」のクライアントアクセス機能を標準サポートし、Mail、アドレス帳、iCalといったMac側アプリケーションとExchange Serverの同期やSpotlight検索、そしてExchange内にストアされたファイルのQuick Lookが行える。

Exchangeサポートの一例。会議を招集する場合、カレンダーソフト「iCal」上で会議室の利用状況の確認やメンバーのスケジュールのバッティング状況の比較を行える

Leopardユーザーにはアップグレード版が29米ドルで提供される

Snow Leopardの標準価格は129米ドルとなっているが、Leopardを導入しているユーザーには29米ドルのアップグレード版、または49米ドルのファミリーパック・アップグレード版が提供される。発表同日以降にLeopardがプリインストールされたMac製品を購入したユーザーについては、購入後90日以内の2009年12月26日まで9.95米ドルでSnow Leopardへのアップデートパッケージの購入が可能になっている。またSnow Leopardでは、Intel-Mac以前のPowerプロセッサのサポートが打ち切られている。