オランダのストレージメーカー Freecom Technologiesは5日、3月から外付けハードディスクなどの製品を投入して、本格的に日本市場に進出する予定だと発表した。2月下旬に日本法人のフリーコムジャパンを設立し、代表にはフォン・ジャパン チェアマンの千川原智康氏が就任する予定だ。

Freecom Technologies CEOのDick C. Hoogerdijk氏

同社は、1989年に創業したハードディスクを中心に製造・販売を行うメーカーで、ヨーロッパ各国およびアジアで販売を展開。本部はオランダで、ベルリンに開発の拠点を、セールスオフィスをヨーロッパ各地に置く。2007年にはアジアに進出し、香港に購買部隊を、上海、台湾にはセールスオフィスを開設。創立時は、サードパーティにASICなどの技術を提供するOEMビジネスをしていたが、2000年にフリーコムブランドで製品を展開するビジネスへ転換。ヨーロッパ市場では、高いシェアを得ているという。現状では、市況の悪化もあり70%が企業向け、30%がリテールとなっており、2007年度の年間グループ総売上高は約1.4億ユーロを記録している。

CEOのDick C. Hoogerdijk氏は同社の戦略・成功の秘訣について、「第一に常に独創的であることです。弊社は、新しいアイディアを投入して、市場で最初に出したと言われる立場にいます。第二に常にお客様の声に耳を傾けて聴くことです。第三に常に素晴らしい品質を持ったソリューションを届けることが大切です。弊社は、お客様の求めている新製品を投入するべくプロダクトファミリーを拡大しており、2009年は19の新製品を出す予定です。特にアジア市場でのセールスに注力します」と語った。また、20年連続で黒字経営を続けていることや各種のデザイン賞を多数獲得していること、数年前からアイ・オー・データ機器と交流を行うことにより日本市場を理解するように努めてきたことをあげ、日本での販売にあたっても自信を示した。

日本法人の代表に就任予定の千川原氏

3月にはAmazonを通じて2.5インチのポータブルハードディスクの販売を開始し、その後家電量販店への展開も目指すとしている。千川原氏は、「フリーコムはハードディスクという分野で新しいコンセプトを持っています。フリーコムのスタイルを日本の市場と文化の中に浸透させて、売上を上げることがミッション。ハードディスクというデバイスを通して、ライフスタイルの向上につくしていきたいと考えています」と抱負を語った。初年度の売上目標は2億円を見込んでいるという。

日本での発売予定の製品には、耐衝撃性能を備えた2.5インチポータブルハードディスク「Tough Driveシリーズ」、世界最小を謳う2.5インチポータブルハードディスク「Mobile Drive XXS」、Macユーザー向けにFireWire 400インタフェースを備えた2.5インチポータブルハードディスク「Mobile Drive PRO」、FireWire 800インタフェースを備えた高速3.5インチ外付けハードディスク「Hard Drive PRO」、シングルドライブのNAS「Network Driveシリーズ」、カード型USBメモリ「USB CARD IIシリーズ」、ハードディスクドッキングスタンド「HDD dockingシリーズ」などがある。

Tough Driveシリーズは同社の主力モデルで、2mからの落下に耐えるという耐衝撃性能、256ビットのハードウェア暗号化を行うパスワード保護、高速USB転送を実現するTurbo HDD USB 2.0ドライバ、本体と一体型のUSBケーブルなどの機能を搭載する。お気に入りの写真やオリジナルデザインのシートを挿入できる「Tough Drive Custom」、Mac向けにFireWire 400インタフェースも備えた「ToughDrive PRO U&F」、女性向けにピンクカラーを採用した「Tough Drive Pink」、本体をレザーでカバーした「Tough Drive Leather」、本体とUSBケーブルに独特なデザインを施しアクティブイメージを強調した「Tough Drive Sport」など、幅広いラインアップを揃える。

左右は「Tough Drive」、中は「Tough Drive Pink」

左から「Tough Drive Custom」、「Mobile Drive PRO」、「Tough Drive Leather」、「Tough Drive Sport」

「Tough Drive」の一体型USBケーブル

ウルトラコンパクトの「Mobile Drive XXS」

USB CARD IIシリーズは、「大切なデータを財布とともに持ち歩く」をコンセプトに開発されたカード型USBメモリ。コンビニエンスストアでの販売や、企業のノベルティとしての提案、クレジットカードなどのポイントサービスの交換品としての提案などを考えているという。

「USB CARD II」パッケージ、右はUSBコネクタを起こしたところ

上部にハードディスクドライブの差込口を持つ「HDD docking」、右は背面

左から千川原氏、Dick C. Hoogerdijk氏、VP Sales Marketing /AsiaPacificのJoyce Wang氏