ソニーは、2007年に生誕10周年を迎えたVAIOを2008年からは次の10年後に向けて、「感じるコンピュータ」をキーワードに新機種を展開する。そのなかで大画面モバイルとして登場したのが「VAIO type Z VGN-Z70B」だ。8月9日発売で市場想定価格は店頭販売モデルで約26万円。
新コンセプトでリニューアルしたVAIO
VAIOは、今まで「Visual Audio Integrated Operation」の略としてきたが、夏モデルからは「Visual Audio Intelligent Organizer」へと進化する。ユーザーのやりたいことに応える「インテリジェンス」を新しい方向性として追加したのだ。機能美の追求、個性を表現・演出、新しい楽しみ方を提案するというVAIOデザインの普遍的な基本コンセプトは、最新テクノロジー、ユーザーニーズにより進化し続ける。特に2008年夏モデルのノートPC全モデルにおいて、機能美を象徴するシリンダーフォルムとアイソレーションキーボードが顔となった。
シリンダーフォルムのヒンジには、バッテリー、パワーボタン、ACアダプター端子を収納。重要な機能を果たすものを集めた構造になっている。パワーボタンは誤動作を防ぐためにシリンダーの内側に配置し、ボタンのイルミネーションを上面から見て分かるようにスリットを入れている。
キーボードには、心地よい打ちやすさを実現したアイソレーションキーボードを採用。キーとキーの間隔を離すことでタイプミスを軽減。指先の丸みにフィットするようになだらかに中央をくぼませている。打鍵感はたわみが少なくカッチリとした感じで、キーがしっかりと指を受け止めて押し返す。このように打ちやすいキーボードとなっている。
VAIO type Z
今回ソニーは、2kg以下でありながら13インチ以上のディスプレイを持つ大画面モバイルゾーンに、新たに「VAIO type Z」を投入した。このゾーンはいままで、激戦区でありながら「VAIO typeS」のみで対応していたが、「typeS」のプレミアムコンセプトを継承しながら、さらに進化させた「typeZ」をラインアップすることで、このゾーンを強化することとなった。
「type Z」のターゲットはエグゼクティブビジネスパーソン。誰も追いつくことができない、一切の妥協をしていないモバイルを「typeZ」で実現している。分単位の忙しいスケジュールをこなして大量の情報を処理、時にはヘビーなアプリケーションも使いこなして重要な意思決定を下すビジネスパーソンに対応するハイパフォーマンス、海外出張などに飛び回ることが多いビジネスパーソンが常に持ち運びどこにいても活用できるハイモビリティ、技術的に高いだけでなく常に持ち運びステータスの象徴となるプレミアムデザイン。この3点のほか、新型液晶、堅牢性の実現が「type Z」の特徴となっている。
メインマシンとしても通用するスペック
「type Z」はメインマシンとしても十分な性能を内蔵する。最新のインテルCentrino 2プラットフォーム、最新のNVIDIAグラフィックチップセットを搭載。既存のtype S(SZ)に比べて3DMark06でパフォーマンスが約2倍になった(typeZはVRAM256MB、typeSはVRAM64MBで比較)。CADデータを確認するなど、クリエイティブな仕事にも快適に行える。VAIO・OWNER・MADEモデルではフラッシュメモリを2枚組み合わせたSSD-RAIDを搭載することが可能。その場合はHDDよりも約80%高速で、SSDと比べるとそこからさらに約100%アクセス速度が向上(Sandraを使用)。HDD比で約370%のパフォーマンスアップを果たした。
静音性も追求され、クーニングユニットの冷却効率を大幅に改善することで騒音が4.3dBA低下(39%の改善)。音質にもこだわり、人が不快と感じる音を低減させている。
最軽量モデルは1.35kg
モビリティでは、十分な軽さと駆動時間を持ちながら、メインマシンとして使えつつも持ち運べるギリギリのコンパクトさを誇る。フットプリントサイズを、type S(SZ Premium)に比べ、315(W)×234.3(H)mmから314(W)×210(H)mmへと約10%小型化。これはVAIOが培ってきた技術の集大成を投入したもの。2層構造の高密度基板を新たに開発することで、typeS(SZ)比で約40%減の基板サイズを実現することで、このサイズでありながらA4フルスペックノートPCと同等の機能が詰め込まれている。また、既存モデルでもあったスペックのモード切替スイッチは健在。オフィスではSPEEDモード、モバイルではSTAMINAモードと、キーボード上部のスイッチで再起動することなく切り替えられる。
クーリングユニットは、type S(SZ)に比べファンのユニット容積を25%削減。新開発のブレードにより冷却パフォーマンスは5%向上している。これだけのパフォーマンスを備えながら、最軽量モデルで約1.35kgの軽さを実現。海外出張などでもメインマシンを快適に持ち歩けるようになった。一方、駆動時間は、DDR3メモリを採用することで、スピードをアップさせながら、電圧、パワー、発熱が低下。ハードウェア、ソフトウェア、BIOSでも細かく消費電力を制御することで、type S(SZ)比で50%向上している。
NTSC比100%の色純度を持つ液晶
13.1型ワイド液晶は16:9のアスペクト比を持つ。解像度は1,600×900ドットで、たとえば2つのウィンドウを並べて閲覧したり、ソニーが新開発したユーティリティを使ってプレゼンテーションをしながらメモを取ったりするなど、効率的な環境を提供できる。液晶表面はハードコーティング処理を施し、映り込みが少ないうえに引っかきキズなどの細かなキズが付きにくい。さらに、色再現性では色純度NTSC比100%を実現。世界最高の色純度とともに、バックライトの構造を最適化し、輝度も向上させている。カスタマイズ可能なVAIO・OWNER・MADEモデルでは、Blu-rayディスクドライブ搭載モデルも用意し、美しい液晶を使った映画鑑賞も可能となっている。
堅牢性としては、カーボン素材の加工技術を進化させることで、底面のカーボンモールド2辺折りを実現。机の高さからの不意な落下を想定した落下実験を実施し、動作時72cm、非動作時90cmの高さからの落下にも耐えられるようにした。そのほか、さまざまなビジネスシーンを想定した品質試験も実施。一点加圧試験、衝撃試験、ディスプレイ開閉試験などにより、高い堅牢性を持つマシンに仕上がっている。
デザインでは、メインマシンとしての画面の作業性を確保しつつ、モビリティを最大限まで追求。キーボードの操作性を妥協しないキーピッチ19mmでキーストローク2.5mmのフルピッチのキーボードのため、操作性の高い入力環境を提供する。13.1型の液晶を搭載し、これまでにないコンパクトさでありながら使いやすいノートPCに仕上がっている。
キーボードパネルはVAIO初のアルミニウム打ち出し成形。途切れ目がない繊細なカーブを描き、プレミアモバイルと呼ぶにふさわしい高級感を演出している。
店頭モデルの主な仕様
OS | Windows Vista Home Premium with Service Pack 1 |
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CPU | Core 2 Duo P9500(2.53GHz) |
ディスプレイ | 13.1型ワイドWXGA(1600×900)[クリアソリッド液晶](リッチカラー・LED) |
メモリ | 2GB(2GB×1)/4GB |
HDD | 約200GB |
グラフィック | ダイナミック・ハイブリッドグラフィックス(NVIDIA GeForce 9300M GS GPU/インテルGMA 4500 MHD) |
メモリカードスロット | メモリースティック/メモリースティック Duo/SD・SDHCメモリーカード/MMC |
ワイヤレス通信 | ワイヤレスLAN(IEEE802.11a/b/g/n)、Bluetooth |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
Office | Office Personal 2007 |
主なソフト | Click to Disc/Click to Disc Editor、VAIO Movie Story、VAIO MusicBox |
VAIO・OWNER・MADEモデルだけのカラバリ
カラーバリエーションは店頭販売モデルはブラックのみだが、アルミニウムのキーボードパネルとのコンビネーションは非常に美しい。このほかVAIO・OWNER・MADEモデルにはPremium Designモデルを用意。「ゴシック・アラベスク」では、中世ヨーロッパのアイアンの行使をモチーフにしたシックな唐草模様をあしらい、深みのある表情が熟成した感性を主張。「ボルタニカル・ガーデン」は、影を映したような植物柄と細いラインの織り成す深い奥行きにより、印象的なニュアンスを秘めたデザインとなった。「ライン・フォーレスト」は、繊細なラインを描くモダンながら画重なり合う森をイメージし、さりげなくあしらったハート型がエレガントな大人のテイストを演出している。
VAIO・OWNER・MADEモデルの主な仕様
OS | Windows Vista Ultimate with SP1/Home Premium with SP1/Business with SP1 |
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Premium Design | ゴシック・アラベスク/ライン・フォーレスト/ボルタニカル・ガーデン |
液晶・グラフィックス | 13.1型ワイド(1600×900)・NVIDIA GeForce 9300M GS 256MB/13.1型ワイド(1366×768)・NVIDIA GeForce 9300M GS 128MB(BDドライブと同時選択不可) |
CPU | Core 2 Duo T9600(2.80GHz)/P9500(2.53GHz)/P8600(2.40GHz)/P8400(2.66GHz) |
メモリ | 4GB(2GB×2)/2GB(2GB×1)/1GB(1GB×1、BDドライブと同時選択不可) |
ストレージ | SSD約128GB(BDドライブと同時選択不可)/SSD約64GB(BDドライブと同時選択不可)/HDD約320GB(5400rpm)/HDD約250GB(5400rpm)/HDD約200GB(7200rpm)/HDD約200GB(5400rpm) |
光学ドライブ | ブルーレイディスクドライブ/DVDスーパーマルチドライブ |