9日から11日の3日間、パシフィコ横浜で「バイオ燃料製造装置&材料展(Bio Fuels World 2008)」が開催されている。バイオエタノールやバイオディーゼルなどのバイオ燃料に特化した総合展示会で、今回で第2回目となる。開催初日、訪れるチャンスがあったので報告しよう。

カンファレンス会場はすぐに満員

このバイオ燃料展が開催されているのは、巨大なコンベンションセンターである「パシフィコ横浜」のごく一部。しかし、実は別棟の会議センターを使用し、カンファレンス(有料)がひっきりなしに行なわれているのだ。展示よりもむしろカンファレンスに重きが置かれた催しであるようだ。

展示会場奥には基調講演・特別セミナー会場が設けられ、こちらのカンファレンスは無料で聴講できる。しかし広いセミナー会場は、朝10時のオープンと同時にほぼ満席になった。人気の高さが伺える。

まずはバイオ燃料展の主催である「Bio Fuels World 協議委員会」の委員長である京都大学の坂 志朗氏の挨拶からスタート。「この展示会をバイオ燃料の発展のため、みなさんの交流のため、そして新しいビジネスのために役立ててください。バイオ燃料産業の行く末を見据えていきたい」とバイオ燃料展の開始を宣言した。

Bio Fuels World 協議委員会 委員長/京都大学大学院 エネルギー科学研究科 教授 坂志朗氏

経済産業省 資源エネルギー庁 次長 平工奉文氏

すべての始まりは京都議定書

続いて壇上に上がったのは、経済産業省 資源エネルギー庁の平工奉文氏。「バイオ燃料への期待と課題」のテーマで、いま日本がやらなければならないことと、そのための課題を解説。「始まりは京都議定書です。これを達成するために石油依存を減らさなければならない」とし、自動車や運輸関連に言及。「慶應大学の『エリーカ』はCO2排出量がゼロですが、1台2億円もします。1997年に登場した『プリウス』ではCO2排出量が2/3になりました。2010年に登場する予定の電気自動車はCO2はゼロで、価格は300万円程度ですが、1充電での走行距離が130km程度です。これを2020年には200万円、200kmを目標に、さらに2030年には1充電500km走行できる電気自動車が必要になってきます」。

バイオ燃料については徹底的なコストダウンが必要と解説。「日本ではセルロース系資源を使いますが、すると糖化などの作業が必要になるため、それも含めてコストダウンしなければならない。エタノールの熱量はガソリンの6割程度ですから、価格も4割程度安くならないと使ってもらえない。強力な技術革新が必要です」とのこと。今後はバイオ燃料を将来性が期待できるCO2削減対策の手段のひとつと位置づけ、安定供給や経済性、生態系への影響などを考えつつ、技術革新を実現していくとまとめた。

東京大学の鮫島正浩教授は「バイオ燃料の今後の展望」のテーマで、バイオ燃料のCO2削減に対する効果、エタノールの生成プロセスなどについて、より具体的な内容の講演となった。「石油などの化石燃料は燃焼してCO2を発生するだけですが、バイオ燃料は大気中のCO2を使用する植物から生成しますから、トータルでカーボンの量は変わらない。『カーボンニュートラル』の考え方です」と解説。

各国の状況の違いについては、「現在、バイオ燃料(エタノール)をもっとも多く生産しているのはメキシコとアメリカですが、メキシコはサトウキビなどの糖質作物から生産していますから糖化処理が必要ない。アメリカはトウモロコシのような穀物から作っている。対して日本では、食料生産との競合を避けるために稲わらや間伐材、廃材などを使用するセルロース系バイオ燃料を進めています」とのこと。セルロース系バイオ燃料は製造コストはかかるが、未利用の草木などを使用することで原料コストが抑えられるのがメリット。これによりガソリンとの競争力を考え、リッターあたり100円の価格を目指しているという。「しかし、米国が目標としているバイオ燃料の価格はリッター40円。将来的にはこれを目指しますが、実現のためにはこれまでの技術の延長ではなく、画期的な技術革新が必要です。原料も広葉樹を使うなど、目的生産が必要になるでしょう」と解説した。

バイオ燃料技術革新協議会 委員長/東京大学大学院 生命科学研究所 教授 鮫島正浩氏

講演の様子

CO2排出削減のためにできること

各ブースでは、バイオ燃料だけでなく、広くバイオマスに関しての展示が行なわれていた。バイオマスとは「再生可能な生物由来の有機性資源」のことで、具体的な原料としては稲わらや牧草、サトウキビから生ゴミまでが含まれる。バイオ燃料(エタノール、メタンガスなど)は、バイオマスを利用して作られた燃料を意味している。

独立行政法人である農業・食品産業技術総合研究機構は、バイオマスの利用モデルを展示。畜産ををベースにバイオマスの生産・利用を進めるプラントが、わかりやすい模型で説明されていた。

D・Oil(ダイキ アクシス)やバイオマス・ジャパンは小型のバイオ・ディーゼル燃料精製機を展示。使用済みの天ぷら油などを処理し、ディーゼル車の燃料や、ボイラーなどで使用する軽油の代替え燃料を精製する。バイオ・ディーゼル燃料は本来のディーゼルに比べ、硫黄酸化物や黒煙が少ないというメリットがある。

会場でもっとも人気を集めていたのは、アースウエルジャパンの分解・消滅型ゴミ処理装置『バイオ21』だった。これは家庭用にも売られている生ゴミ処理機の大型・本格的なもので、生ゴミはもちろん、割り箸や紙類、タバコの吸い殻から、なんと食品容器や発泡スチロール、ラップなどの廃プラスチックまで24時間で分解してしまうという強力なもの。排出されるのは水蒸気と無臭・無害の気体だけだという。燃料が精製されるわけではないが、ゴミ回収・分別の人件費やコストが削減でき、CO2の削減という意味では十分以上に効果があるはずだ。

今回のバイオ燃料展は、非常に専門的ではあるが、同時に興味深い内容の多いものだ。なにより、現在日本の置かれた状況とすべきことがわかっている講演者や出品社の熱意が伝わってくる展示会だった。

独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 バイオマス研究センターのバイオマス多段利用プラントの模型

独立行政法人 農業技術総合研究所の展示のひとつ。これだけの木材(65kg)からエタノールは何リットル作れるか? という問題。(答え:20リットル)

D・Oil(ダイキ アクシス)のバイオ・ディーゼル燃料精製機

バイオマス・ジャパンのバイオ・ディーゼル燃料精製機

アースウエルジャパンの分解・消滅型ゴミ処理装置『バイオ21』

アースウエルジャパンは廃油や廃プラスチックから生成油を作る装置も展示

ヤンマーエネルギーシステムの余剰ガスを使った発電・熱供給装置

サッポロエンジニアリングのプラント建設のディスプレイ