先週から始まったBooksベストセラー週間総合ランキング。1月18日~24日のランキングでは、4タイトルが新登場でトップテン入りした。なかでも、10位の「鹿男あをによし」はフジテレビで放映されているドラマの原作で、奈良の女子校の教師として赴任した小川孝信が、なんと鹿にされてしまう奇想天外な物語。先が読めない展開だけに、今後ランクアップする気配が濃厚だ。

1月18日から1月24日のBooksベストセラー週間総合ランキング(日販調べ)

順位 書籍名(出版社) 著者
1位 ホームレス中学生(ワニブックス) 田村 裕
2位 女性の品格(PHP研究所) 坂東眞理子
3位 親の品格(PHP研究所) 坂東眞理子
4位 余命1ケ月の花嫁(マガジンハウス) TBS「イブニング・ファイブ」
5位 ヘキサゴンドリル(扶桑社)
6位 日本の10大新宗教(幻冬社) 島田裕巳
7位 おひとりさまの老後(法研) 上野千鶴子
8位 夢をかなえるゾウ(飛鳥新社) 水野敬也
9位 1分骨盤ダイエット(三笠書房) 大庭史榔
10位 鹿男あをによし(幻冬社) 万城目 学

新登場で5位を獲得したのは「ヘキサゴンドリル」。「おバカタレント」なる新しいジャンルを生み出した人気番組「クイズ! ヘキサゴンII」で実際に使われた問題を一冊にまとめたもの。問題の分野は多種多彩で「楽しみながら雑学が身に着く」と評判。一部店舗では品薄になっているようだ。

6位にランクインした「日本の10大新宗教」(島田裕巳)は著者が選んだ10の新宗教についてなりたち・歴史・直面している問題などを淡々と記したもの。ありがちな"カルト批判本"ではなく、自分の周囲にいるかもしれない新宗教の信者と付き合う点で実際に役立ちそうだ。

今後も注目されそうなのは新登場8位の「夢をかなえるゾウ」(水野敬也)。自分を変えようと思いつつ挫折してばかりいる主人公の前にゾウの姿をしたインドの神様「ガネーシャ」が現れ、彼を成功に導くアドバイスをする物語。ガネーシャの関西弁がこの本のテンポを良くしており、どんどん読みたくなる本。巻末にはガネーシャの「名言集」が付いており「靴をみがくこと」から始まるガネーシャの助言を読者も実行するように勧められている。

今週の注目

「『こんな会社やめてやる!』と思ったら読む本」(斎藤茂太 2008年1月発売)

会社の業績は伸びない、人使いが荒いのに給料は上がらない、上司は何もできないくせに口うるさい……。会社の不満というのは、言い出せばキリがないもの。居酒屋で管を巻いて会社の悪口を言っているくらいならかわいいものだが、職場で事あるごとに「こんな会社やめてやる!」と思うようになったらお勧めしたいのがこの一冊。

さぞかし励ましてくれるのかと思いきや冒頭から「こんな会社やめてやる!は禁句だ」と戒められる。「やめます」と穏やかに言えるくらいでないと転職は成功しないのだと。

著者は精神科医としての経験を踏まえ、「自分の得意なことで組織に必要な人になれ」など今の会社で自分を活かすための具体的なヒントを幾つも与えてくれる。仕事に完璧さを求めないことや休み上手になることなど本書の助言を当てはめれば仕事や会社へのストレスが軽減され、「やめてやる!」といきり立つこともなくなるかもしれない。

著者は退職や転職を否定しているわけではないが、その前にとことん手を尽くすべきだと説く。「『今の会社にはやる気のない社員ばかりだ』と言う人は自らのやる気のなさを公言している」という趣旨の一文はあらゆるコミュニティでのひとつの真理を的確に突いている。