アメリカでの事業展開

続いて、アメリカでの事業展開について、赴任している村上隆氏にお話を伺った。村上さんは2004年に大学卒業後、機械メーカーで発電機器の輸出営業に従事。その後、監査法人を経て、2013年にJ-POWERへと入社した。2016年5月よりJ-POWER USA Development Co., Ltd.(以下、JPUSA)に出向している。

JPUSAへ出向している村上隆氏

――現在、JPUSAに出向していらっしゃるとのことですが、どのようなお仕事をされているのでしょうか。

村上氏:「ファイナンスチームに所属しておりまして、アメリカ内の発電プロジェクトにかかわる翌年度予算の取り纏めや、中長期予算の策定、キャッシュフローモデルを用いた各プロジェクトの経済性の分析などを行っています。また、発電プロジェクトの資金戦略(借入条件など)に関する金融機関との調整・交渉、その他親会社であるJ-POWERおよび現地パートナー企業への配当金支払の手続きを含めたJPUSAの資金口座管理も担当しています」

――アメリカに赴任されてみて、ご自身としてはどのようなお気持ちですか?

村上氏:「非常にチャレンジングな環境に身を置くことができていると思います。J-POWERのアメリカ事業は2005年の参入以降、既設発電所の部分買収から自社での新規案件までを手掛け、着実に実績を積み上げてきました。現在手掛けるプロジェクトは11件、総出力543万kW(持分出力202万kW)に達します。2016年に入ってJ-POWERの中期経営計画で海外事業への取り組みが強化され、より積極的な発展を志向することとなったこともあり、赴任早々に大型案件の権益買収検討を行うことになりました。その後も、複数の新規権益買収案件や開発案件を随時検討している状況です。既存の案件についても、初期投資時からの時間経過に伴って、対応すべきことは増えてきていますね」

――現在、アメリカの電力事情はどのような状況なのでしょうか。

村上氏:「電力市場としては、市場制度の発達に伴って、これまで主流だった発電事業者が電力会社(配電会社)との間で売電契約を結んで行うプロジェクトは減少傾向にあります。発電事業者が直接市場で電力を販売するマーチャントへの移行が進んでいますね。

J-POWERとしても、現在は電力会社と売電契約を結んでいるプロジェクトがほとんどですが、契約満了後のマーチャントオペレーションに備えていかなければならないと考えています。

JPUSAでは、技術担当副社長をはじめ、J-POWERから出向している技術系社員が3名在籍しており、発電所で何らかのトラブルが発生した際には、現地社員である各プラント担当アセットマネージャーとともに先頭に立って発電所のスタッフとコミュニケーションを取り、適切な対応をとることができています。市場が変化していく中でも、J-POWERの技術力・知見を発電所運営に活かすという基本的な部分は変わらないものだと思っており、今後もJ-POWERの強みをアメリカでの事業展開においていかしていきたいですね」

――アメリカで仕事をしていく上で大変なことはなんでしょうか。

村上氏:「基本的なことですが、英語が母国語の現地社員とのコミュニケーションは、やはり時として難しいと感じる時がありますね。こちらの言いたいことをスムーズに伝えられずにもどかしく感じてしまう場面もあります。ただ、丁寧に話し合うことで、ひとつひとつ理解し合いながら業務を進められていると思います。

加えて、アメリカに来てから感じるのは、ワークライフバランスを非常に大切にしているということですね。現地社員はスタッフから幹部社員まで、18時までオフィスに残っている人はほぼいません。できるだけ家族との時間を作るという意識が非常に強いと感じますね。

ワークライフバランスの違いに戸惑いながらも、充実した日々を過ごしていると話す村上氏。写真は現地社員とのミーティング中の一コマ

また、彼らは1週間以上の休暇なども普通に年に複数回取得して、余暇を楽しんでおり、日本の企業文化とは大きく違うと感じています。労働意識の違いを考慮して対応しなければならないので、時には不都合に感じてしまうこともありますが(笑)、そこは『郷に入っては郷に従え』。生活を共に過ごしてくれている私の家族にとってもこの時期がいい思い出になるように、休暇を利用して旅行なども楽しめたらいいですね」

――この仕事でやりがいを感じた部分はなんでしょうか。

村上氏:「冒頭でお伝えしたような、予算の取り纏めや現地パートナー企業・金融機関との協働を通じて、現地法人としてJPUSAの果たすべき役割を果たせていると実感できたときですね。

また、私はJ-POWERからの出向ではありますが、日本向けの報告業務だけをするのではなく、JPUSAの一員として具体的な課題に取り組み、解決していくことで、事業発展に貢献できていることをうれしく思っています。昨年赴任後に担当した初めての予算関連業務において、無事に期限までに業務を仕上げられた時には、達成感と解放感がありましたね」

――今後、どのようなことを仕事で成し遂げていきたいですか?

村上氏:「発電事業を通して社会を支えるという世の中に必要とされる存在であることを誇りとしながらも、上場企業として適正な利益を追求していかなければなりません。将来的には収益性の向上についての新しい取り組みに関与していきたいですね。

私自身は、海外でのインフラ事業は学生時代から興味を抱いていた分野なので、今現在、微力ながらその分野に携われていることに感謝しながら、引き続き海外事業に関われたらと思っています」

オフィスでの業務風景

インフラという生活に欠かせない部分を担ってきたJ-POWERの技術力は、世界でも確かに息づいている。誰もが必要とし求めている電力というエネルギーを供給しつつ、環境に配慮し、安定した生活を支えるJ-POWERは、今後もさまざまな挑戦の中から世界の人々の生活を支え続けていくだろう。

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