―― さて、リニューアル第一弾のSWシリーズです。

タッチ入力を備えたSWシリーズ

大島氏「一番大きな特徴は手描きパネルです。辞書の使い勝手を底上げするには何が必要かと考え、『読めない漢字をタッチペンで書く』というキーボードではできない機能を搭載しました。液晶の位置も悩みましたが、置いて書くならキーボード前だろうと」

上田氏「初代で失敗したタッチパネルがようやく報われた気がしましたよね」

大島氏「本当にね。ただ発売後、店頭でチェックしていたらメイン画面もペンで触るお客さまが多くて。そりゃそうかということで、次のモデルでは2画面タッチ仕様にして、サブ液晶も大きくしました。

設計面でのハードルは高かったですが、市場も急成長している時期で、今が攻め時だ、多少無理しても実現しようという雰囲気だったのがありがたかったですね。2009年のSFシリーズでさらに成熟した感じです」

―― 市場シェア的にも優勢だったみたいですね。

大島氏「またそこで慢心しました。3回目の失敗です(苦笑)。SWシリーズのころから、カラー液晶の電子辞書が増えていましたが、ついにEX-wordと同じ価格帯でカラー電子辞書が出てきたのです」

上田氏「それでカラー液晶が急に一般化して、お客さまは美しい液晶の製品を選びますよね。モノクロ液晶のEX-wordは見にくいと散々言われ、営業的にも苦しい時期でした。その時期を経て発売されたのが、2010年1月のカラー液晶を搭載したAシリーズです」

モノクロ液晶とカラー液晶、その差は歴然

―― やはり美しいですね。

大島氏「初心に返っての『A』です。学校で使うイコール"乾電池"ですから、カラー液晶でも乾電池で動かせる構造をずっと研究していたんです。発色数を落として電池寿命を延ばす工夫などによって、150時間連続で動くのが強みです。電池は単4形から単3形になりましたが、そんなに違和感はないでしょう」

上田氏「乾電池はヒンジ部分に格納するんですが、これは設計さんががんばってくれました。あとは学校で使う機能として、暗記カード的なツール機能を入れました。画面上で色を塗ったり、暗記カードをめくったりと、学校で便利な『カラーならでは』の機能を考えたのがよかったんだと思います。学生さんからも先生からも好評でした」

―― ここまでくると、もう進化させるところがないのでは…。

大島氏「それ以降は、おもに英語、英会話の学習に軸足を移していきます。具体的には、2013年のNシリーズで動画学習機能、2014年のUシリーズではお手本を耳で聞き、自分でしゃべって録音してお手本と比べる聞き比べ機能を導入しました」

上田氏「教育指針でも英語の4技能(読む・聞く・話す・書く)を強化する通達が出ています。試験にスピーキングが出るということもあって、聞き比べ機能を採用したんです」