ランダムアクセス性能をとにかく磨いた

ストレージに対するアクセスは、シーケンシャルアクセスとランダムアクセスに大別できる。Windows 8搭載PCを一般的な利用方法で使う場合、シーケンシャルアクセスよりも、ランダムアクセスのほうが圧倒的に多い。そのため、実使用での体感速度や快適さを重視するなら、ランダムアクセスが速いストレージを選ぶべきだ。

Samsung SSD 840ファミリーに搭載されている新コントローラー「MDX」は、ランダムアクセス性能の向上にこだわって設計されており、非常に高いランダムアクセス性能を実現している。サムスンでは、Samsung SSD 840ファミリーの開発過程において、シーケンシャルライト速度をわざと遅くした特別なファームウェアを作成し、通常のファームウェアとの比較を行ったという。

一般的な利用方法に近いと言われているベンチマーク「PCMark 7」では、シーケンシャルライト速度をわざと「5分の1」程度に落としたファームウェアでも、スコアはわずか1.8%ほどしか低下しなかったという。このことからも、実使用におけるランダムアクセス性能の重要さがよく分かるだろう。SSDでは、シーケンシャルアクセス性能を声高にうたっている製品も多いが、サムスンのSSDはシーケンシャルアクセスだけでなく、実使用に大きく影響するランダムアクセス性能にこだわっている。これが大きな特徴の1つであり、ユーザーが満足する快適な使用感を実現しているのだ。

長期間使っても性能が落ちにくいことも魅力

長期間にわたってPCを使い続けると、ファイルの断片化(フラグメンテーション)が起こり、ストレージの性能が低下してくる。買ったばかりのPCは快適でも、使い続けるうちにOSやアプリケーションの起動が遅くなったり、反応が悪くなってくるのは、これが原因の1つである。しかし、Samsung SSD 840ファミリーは、コントローラーがNANDフラッシュへのデータ格納状況を常に監視し、空きブロックを適切に再配置することで、長期間使い続けることによる速度低下を抑制する設計となっている。

さらに、Windows 7/8では、アイドル時にTrimコマンドをSSDに送り、NANDフラッシュから消去してもかまわないデータを通知できるようになっているため、書き込み時の速度低下を最小限に抑えることが可能だ。Samsung SSD 840ファミリーでは、Trimやガベージコレクションのアルゴリズムが洗練されており、長期間使い続けても速度低下が非常に小さいことが魅力だ。

低消費電力設計が、常時電源ONが前提のWindows 8に最適

Samsung SSD 840ファミリーは、性能が高いことはもちろんだが、消費電力が非常に低いことも高く評価できる。前機種のSamsung SSD 830も省エネを重視した設計がなされており、競合製品と比べて消費電力が低かったのだが、Samsung SSD 840ファミリーではさらなる低消費電力化を達成。Samsung SSD 840の動作時消費電力は0.071W、Samsung SSD 840 PROの動作時消費電力は0.069Wと、非常に低い消費電力を実現している。

Windows 8では、未使用時に電源を完全にシャットダウンするのではなく、スリープ状態で待機させることがほぼ前提となっている。Samsung SSD 840ファミリーの動作時/待機時の低消費電力は、特にバッテリ持続時間が重要なモバイルノートPCにとっては非常にありがたい。

実際に、同じノートPCに他社製SSDとSamsung SSD 840、Samsung SSD 840 PROを搭載してバッテリ持続時間を計測したところ、他社製SSDでは303分、Samsung SSD 840では355分、Samsung SSD 840 PROでは356分と、他社製品に比べて約50分も駆動時間が延びたというデータもある。モバイルノートPCやUltrabookを常に持ち歩くモバイルユーザーにも、超低消費電力を実現したSamsung SSD 840ファミリーは最適といえるだろう。

2012年9月に開催された「2012 Samsung SSD Global Summit」(韓国・ソウル)で公開のプレゼンテーションスライドより。Samsung SSD 840ファミリーは消費電力が低く、ノートPCのバッテリ駆動時間を延ばせる。写真の縦棒グラフがSSDの消費電力、赤い折れ線グラフのプロット位置が、各SSD/HDDを搭載したノートPCのバッテリ駆動時間

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