こんにちは、阿久津です。最近は発表会の会場で使うメモマシンとして活用しているSurface RT(OSはWindows RT)ですが、Windows 7やWindows 8とアーキテクチャが異なるため、毎月公開される定例の更新プログラムは提供されません。しかし、それとは別にいくつかの不具合を修正する更新プログラムが提供されているのは、Surface RTユーザーならご存知のとおり。

今年5月に提供されたアップデートは、「UEFIファームウェアの更新により、スピーカーやシステムの安定性が向上」「ドライバーパックの改善により、スピーカーやシステムの安定性が向上」「Surface Type Cover用のトラックパッド設定の追加や、日本国内ユーザー向けの設定」の3つ。以前の更新内容を確認したい方は、Surface RTのサポートページをご覧ください(図01)。

図01 2013年5月のアップデートを適用したWindows RT

Microsoftのお膝元となる米国では、Surface RTのコマーシャルが放送され、YouTubeでも公開されていますが、肝心のSurface Proはいまだ日本国内の展開を発表していません。同社は先頃、5月30日にオーストラリアで、同日および31日に欧州各国でSurface Proを発売することを発表しました。さらに、6月にはロシアや韓国、マレーシア、シンガポール、そしてタイを販売国に加えることを予定しています。

関係者によると、日本が販売国に加わる可能性はあるとしつつも、時期については堅く口を閉ざしていました。日本マイクロソフトはSurface RTの販売パートナー拡大を発表するにとどまり、その動きは何も見えてきません。もっともSurface RTは発売から2カ月を過ぎた程度であり、筆者もSurface Proを購入するかと言えば微妙なところ。

Surface RTの並行輸入品は64GBモデルでも10万円を超え、最近の円安傾向を踏まえるとより割高になっていくでしょう。それでも付属のデジタイザペンと特定のWindowsストアアプリを組み合わせれば、キーボードによる入力だけでなく、デジタルノートとしても利用できる点は、デジタルガジェットとしても魅力的ではないでしょうか。

Windows 8をプリインストールした製品を販売するパートナー企業への配慮など、単純な話ではないと思いますが、世界中で販売国が増えている中、日本だけ置き去りにされているような状況には一抹の不安を感じます。

さて、Windows 2000時代から利用されていたチューニングの一つが、HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Policies\SystemキーのDWORD値「ShutdownWithoutLogon」です(当時は文字列値で扱われましたが、Boolean《ブーリアン》型として参照されていたため問題ありませんでした)。同エントリのデータ値が「1」の場合、ログオン画面からのシャットダウンが可能であり、「0」の場合はシャットダウンの実行を抑制していました。

これは、クライアント向けOSであるWindows 2000 Professionalと異なり、サーバー向けOSであるWindows 2000 Serverは、ログインしないとOSをシャットダウンできないという、運用上のセキュリティポリシーのため用意されたエントリです。そして、Windows 8にも、DWORD値「ShutdownWithoutLogon」はあらかじめ用意されているため、同チューニングを実行可能。今週はサインイン画面の電源ボタンを無効にするためのチューニングをお届けします(図02)。

図02 Windows 8のサインイン画面には、電源ボタンが用意されています

1. 管理者権限でレジストリエディターを起動します。
2. HKEY\_LOCAL\_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Policies\Systemキーを開きます。
3. Systemキーを開いて、DWORD値「shutdownwithoutlogon」をダブルクリック。値のデータを「0」に変更します。
4. レジストリエディターを終了させます。

これでチューニングが完了しました(図03~07)。

図03 [Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「regedit」と入力して<OK>ボタンをクリックします

図04 レジストリエディターを起動したら、HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Policies\Systemまでキーをたどって開きます

図05 右ペインにあるDWORD値「shutdownwithoutlogon」をダブルクリックします

図06 値のデータを「0」に変更して<OK>ボタンをクリックします

図07 <×>ボタンをクリックして、レジストリエディターを終了します

それでは結果を確認してみましょう。Windows 8でサインアウトもしくはロックを実行してください。チューニング前に画面右下に存在していた電源ボタンが非表示となり、Windows 8へサインインしないとシャットダウンなどの電源操作は行えなくなります。なお、元の状態に戻すには、DWORD値「shutdownwithoutlogon」のデータ値を「1」に戻してください(図08~09)。

図08 スタート画面のユーザーアイコンをクリックし、メニューの<サインアウト>をクリックします

図09 ロック画面をクリックなどで解除して、サインイン画面を表示させましょう。電源ボタンは表示されません

それでは、また次号でお目にかかりましょう。

阿久津良和(Cactus