連載コラム『株トリビア』では、「わかっているようで、実はよく知らない!?」株式用語、経済用語について、経済キャスターの鈴木ともみ氏が解説します。


企業の業績が好調で求人数を増やす状態の時には、高い倍率に

今回は『有効求人倍率』を取り上げます。有効求人倍率とは有効求職者数に対する有効求人数の比率を表した経済指標です。

計算式は「求人数(仕事の数)」を「仕事を求めている人の数」で割ることによって算出できます。

有効求人とは、新規の求人と前月から繰り越された求人とを合計したものであり、有効求人倍率は、社会における求人(仕事)の数に対して、どれくらい仕事をしたい人がいるかを表しています。

例えば、求人(仕事)の数が10あり、それに対して20人が応募してきた場合は、有効求人倍率は「0.5」倍、逆に、求人(仕事)の数が20あり、それに対して10人が応募してきた場合には、有効求人倍率は「2」倍となります。

そして、求人(仕事)の数と仕事を求めている人の数が同じであれば、有効求人倍率「1」倍になるのです。

つまり、この指数は企業の業績が好調で求人数を増やす状態の時には、高い倍率となるため、「景気の状態」を判断する指標として用いられています。

都道府県別で最も有効求人倍率が高かったのは東京都、最低は埼玉県と沖縄県

景気が悪化している時には、当然、求人数が少なくなるため、2008年にリーマンショックが起きた翌年の2009年8月分では0.42倍まで下がりました。

その後、しばらく雇用環境は低迷していましたが、昨年、2013年12月に発表された11月分で、やっと有効求人倍率が1.00倍となり、求人(仕事)数と仕事を求めている人の数が同じ状態になるまで回復しました。実に2007年10月以来、6年1カ月ぶりの1倍台回復となったわけです。

その後も堅調に推移し、2014年11月28日に発表された10月分の有効求人倍率では、前月比0.01ポイント上昇の1.10倍となりました。

求人、求職および求人倍率の推移(出典:厚生労働省Webサイト)

また、雇用の先行指標となる新規求人倍率は前月比0.02ポイント上昇の1.69倍と、1992年4月(1.72倍)以来22年6カ月ぶりの高い水準を記録しています。

都道府県別で最も有効求人倍率が高かったのは東京都の1.59倍、最も低かったのは埼玉県と沖縄県の0.76倍でした。

次回、11月分の有効求人倍率は12月26日(金)の午前8時30分に厚生労働省から発表されます。

雇用の増加はアベノミクスにおいて重要な課題となっていますので、ぜひチェックしておきたいところです。

執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)

経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。