このところ、ノイズキャンセリングヘッドホンの新製品が相次いでリリースされている。ノイズキャンセリングヘッドホンは、周囲の騒音を抑制し、騒音の多い場所でも、無理に音量を上げずに音楽を聴くことができる製品だ。もちろん、音楽を聴くだけでなく、単純に周りの騒音を抑えたいときにも使用できる。

しかし、製品によって騒音の減衰量は異なる。多くの製品では、カタログやWebサイトなどに「周囲の騒音を95%以上抑制」といった記載があるのだが、実際に使用してみると、ノイズキャンセリングシステムの性能には、大きな開きがあるようだ。

今回は、最新のノイズキャンセリングヘッドホンを同じ環境で使用して、どの程度ノイズを抑制することができたかを中心に、レポートしてみたい。取り上げるのは、ボーズの「QuietComfort25 Acoustic Noise Cancelling headphones」(以下QuietComfort 25)、ソニーの「MDR-ZX110NC」、クリエイティブメディアの「Aurvana Gold」の3製品だ。

上段が「QuietComfort25 Acoustic Noise Cancelling headphones」、下段左から「MDR-ZX110NC」「Aurvana Gold」

3製品のうち、QuietComfort 25のみがデジタルノイズキャンリングシステムを採用したモデル。また、価格帯も異なり、QuietComfort 25は、ボーズのオンラインショップで30,000円。MDR-ZX110NCはソニーストアで4,630円、Aurvana Goldはクリエイティブストアで23,620円で販売されている(10月3日現在、いずれも税別)。本来ならば同一条件で比較する製品ではないのだが、最近発売されたということでこの3製品を選んだ。

静かな室内では騒音をどのくらい抑えられる?

静かな環境でのノイズキャンセリングシステムの効果は

静かに思える室内でも、空調やそのほかの電化製品の動作音など、ある程度の騒音は存在している。筆者の自宅の環境を騒音計で測定してみたところ、43dB程度という結果になった。ほとんどは、空調とPCの動作音だと思われる。この環境で、3製品がどのくらい騒音を抑えられるのか、比較してみた。

まずはQuietComfort 25だ。QuietComfort 25を装着してノイズキャンセリングシステムをオンにすると、その瞬間にほとんど無音になる。ただし、注意して聞いてみると、PCのファンの音がかすかに残っているようだ。

続いてMDR-ZX110NCだ。こちらもほとんど無音になるが、PCのファンの音は完全には消えない。Aurvana Goldも同様で、PCのファンの音がかすかに残る程度で、ほぼ周囲の騒音はかき消される。

比較的静かな環境ではいずれも同じような結果になった。PCのファンの音が消えないのは気になるが、ノイズキャンセリングヘッドホンは、すべての帯域の音を抑えるわけではない。以前、ボーズの担当者に聞いたのだが、同社のヘッドホンでは人の声の帯域を残すような設定にあえてしているとのことだ。他社の製品でも似たような傾向はあるのだろう。そして、筆者の使用しているPCのファンは、おそらく、その帯域のノイズを出しているということになるのだろう。

室内で最大級の騒音をどのくらい抑えられる?

さて、静かな環境では、それほど大きな差は出なかった。では、騒々しい環境ではどうなのだろうか。家庭用の掃除機の騒音をどの程度抑えることができるのか、比較してみた。

掃除機の近くでその騒音を測定してみると、約80dBとなった。最新の静音タイプのクリーナーだと、50~55dBのものもあるのだが、筆者の使用している掃除機は旧型なのでかなり騒々しい。

騒々しい環境でのノイズキャンセリングシステムの効果は

掃除機の電源を入れた状態で、そのすぐそばでヘッドホンを装着し、ノイズキャンセリングシステムをオンにしてみる。まずは、QuietComfort 25からだ。

QuietComfort 25の場合、聞こえてくる音は、既に掃除機の音ではない。ノズルから空気を吸い込む音だけは残るのだが、モーター音や内部のファンの音などは、ほとんど聞こえてこない。

続いてMDR-ZX110NCだ。全体的な騒音は小さくなるが、ファンが回転して風を切る音や、モーター音は残る。聞こえてくる音は、元の掃除機の音を小さくしたような音だ。

最後にAurvana Goldだ。Aurvana Goldの場合、全体的に騒音はよく抑えられているが、ファンが回転して風を切る音は残る。モーター音は聞こえてこないため、元の掃除機の音とは少々印象が違う音になる。

次回は、屋外でのノイズキャンセリング効果の違いについてチェックしてみたい。

(次回に続く)