タカラトミーが4月23日に発売した知育玩具「Cube touch」が実にスマートなトイだ。
これは10個のキューブをiPadにタッチして遊ぶという、デジタルとアナログが融合した、まさに次世代のオモチャ。単にiPadゲームを遊ぶのではなく、キューブと指を使うことで脳を刺激する新感覚のプリスクールトイ。なんでも「見る、聞く、触るの感覚刺激が幼少期の学ぶ力を育みます」(by北里大学の偉い人)なんだとか。
Cube touch。「見る、聞く、触るの感覚刺激が幼少期の学ぶ力を育みます」のコメントは、北里大学の偉い人……っていうか、北里大学医療衛生学部視覚機能療法学の医学博士で視能訓練士の半田准教授のコメント(商品公式サイトにて) |
第11回 | 販売価格 | |
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Cube touch | 税別2,700円 | 製品ページ |
Cube touch用アプリ | JOUJOU Cube touch(App Store、iOS 7.1以降・iPadに最適化) |
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指先の感覚で言うと思い当たることがある。最近、手書きで漢字を書こうとするとぼんやりと形は頭に浮かぶものの、正しく書けないということが多くないだろうか?
先日、とあるテレビ番組で東進ハイスクールの人気講師・林修先生が「葡萄」という漢字が書けず、大恥を書いたというニュースがあった。東大卒、現役塾講師の林先生は放送後のブログで「最近、本当に漢字が書けなくなっているんですよ。パソコンばかり使っている弊害でしょうか」と明かした。今に始まったことではないが、漢字を読むことはできても、いざ書こうとすると出ないって人が急増している。
これ「漢字健忘症」っていうらしい。
パソコンは短時間で大量の文字が書けて効率的だし、漢字も変換機能があるので便利。しかし手書きをしなくなったことで脳が記憶することが減っているのだ。漢字を書く時には単に漢字のカタチを思い出しているだけではなく、どの部分にどんなツクリがくるかなどの空間的なコントロール作業をしているらしい。
確かに脳の細胞が死んでいってることを実感する。さらに言うと、パソコンならかろうじて物理的タッチ感があるが、スマホやiPadなどの仮想キーボードではなおさらその感覚が薄れていくかもしれない(その分どっかの感覚が発達しているかもしれないが)。
大人たちがそうなんだから、子供たちはもっと深刻だ。特にスマホゲームの世界ではほとんどの操作がタッチかスワイプなどでできるようになってきて、今後ますます指先の感覚が薄れていくはず。
そんなデジタルネイティブなチルドレンたちに、iPadを使うときにも、立体物を握って指先を動かすことで脳を刺激する、知育の要素を取り入れたオモチャがこの「Cube touch」だ。
キューブでiPadにタッチして遊ぶ新感覚トイ
通常iPadは指先で画面をタッチするが、このオモチャは指の代わりに静電マルチタッチ技術を搭載した10個のキューブでiPadにタッチして遊ぶというもの。キューブでiPadの画面を触るとアクションが起き、つかんだり、ひねったり、それぞれ指の動きに合わせたアクションが起きる。
説明書を読まずにプレイしてみる
まずは無料の「Cube touch」アプリをダンロードして起動。別売りのキューブには「まち」「いきもの」の2種が用意され、いずれも4つのステージと5つのミニゲームが付いている。子供向けの知育玩具を大人が「遊ぶ」というのもなんなので、ハンデ(なんのハンデだ?)として説明書を読まずにプレイすることにする。そもそも子供向けというなら説明書は読まずに直感的にプレイできることも重要な要素だ。
ミニゲーム・たまごはこび編
ミニゲーム・たまごはこび編 |
枠の中にたまごを置け!と言わんばかりのスタート画面。案の定、キューブを置くとゲームが始まった。障害物を避けながら、たまごを持ち上げながらゴールまで運べばゴール。ゲームは理解できたが、障害物に当たってもまったく割れる気配なしのたまごの硬さに驚いた。
ミニゲーム・ガチャ編
ミニゲーム・ガチャ編 |
ガチャということでさっそくツマミを回そうとしたが、矢印の点滅で「コインを入れろ!」というメッセージが伝わった。確かにコインを入れずに回せるガチャはない。キューブを置いて回すと「カニ」をげっとん。続けざまにコインを入れて「クマ」も手に入れたが、ふと、コインが減っていくことに不安を感じる。無駄に射幸心に煽られない強い心を持たせるもひとつの学習か?
ミニゲーム・ぬりえ編
ミニゲーム・ぬりえ編 |
実は動画は3テイク目のものだが、使うキューブによって色が変わり、左側のボタンをタッチすると「スプレー」「スタンプ」に切り替えられることがわかった。どのキューブがどの色が出るのかがわからず、なかなかサイケデリックなクルマが出来上がった。
ミニゲーム・エイリアンハンター編
ミニゲーム・エイリアンハンター編 |
ブロック崩しゲームのようにエイリアンにボールをぶつけて倒す。キューブを置く位置は自由なずなのに、画面下部の方でしか操作していない自分に気づく。きっとかつて名作ゲーム『アルカノイド』のやりすぎというか、ファミコン世代の固定概念にしばられているのだろう。そもそも画面下にボールが落ちてもゲームオーバーにはならない。
いきもの編
いきもの編 |
初めは動物を捕まえるゲームかと思ったが、キューブを置くと半分のハートが表示されるので、2つのキューブを組み合わせて「いきもの」を合成するということがわかった。しかも地上で「鳥」を召喚しても消えてしまい、画面の「空」の部分で合成しないと生き残らないというハードなサバイバル仕様。大人な自分でもけっこう頭を使う。
まち編
まち編 |
キューブによってさまざまな街やモニュメントが出てきたので、テーマに沿った施設を置いて街を作っていくゲームというのがわかった。これなんてシムシティ? と思ってやってみたが、けっこう難しい。さっき「いきもの編」で作った巨大怪獣が街を襲ってくるのではないだろうかと余計な心配も。
結論:指先の細かい運動は頭を活性化する?
今回のレビューにあたって、そもそも人間の指の感覚がどのように成長していくかを調べたところ、0ヶ月の新生児期はモノを握ることはできるが、まだつかむことはできず、それが4~6ヶ月頃には自分の意思でつかむようになり、8ヶ月~1歳頃にはボタンを押したり、オモチャで遊んだりするようになるらしい。つまり赤ちゃんは指先や五感を刺激することにより、様々なことを吸収し成長していくのだ。
この「Cube touch」はプリスクールトイのため、対象年齢はもっと上だが、人間が成長するにあたって重要な「見る、聞く、触る」の感覚刺激がゲームを通じて与えられるというわけ(by北里大学の偉い人っていうか略)。
この連載はこれまで「大人が遊べる次世代オモチャ」を紹介してきたが、そもそも子供が遊べるスマートトイがあまりなかったのも事実。知育は積み木やアナログのオモチャに任せるのもいいが、親が毎日いじってるスマホやiPadに子供が興味をもつのは自然の流れ。その時、一方的な動画視聴や指先のみのゲームだけでなく、こういったデジタルでも知育を考えたスマートトイを与えるのも親の役割だ。