「あー彼氏ほしいよ~。ねぇ、誰かいい人いない? 」
「前の彼氏と別れて結構経つよね。紹介できるかなー。どんな人が好きなの? 」
「まぁ顔とかはどうでもよくて、やっぱり一緒にいて楽しい人がいいかなー」
「あーわかるわかる! 楽しくない人と付き合えないよねー結婚とか絶対無理」
「でっしょー! ま、とにかく出会わなきゃだし、合コンよろしく! 」
「おっけー! とりま会計士の友達に連絡するね☆」

お久しぶりです、ぱぷりこです。はい。いかがですか? この会話、した記憶ありませんか? 非常に一般的な「あるある」な女子会の場面を切り取りました。この「一緒にいて楽しい人がいい」という一見まともそうな要件ですが、これを掲げて合コン・紹介を頼む女子で、結果が出る人を私は見たことがありません。

一緒にいて楽しい人は無償サービスの執事的男子

この手のゆるふわワードに対して、じゃあ「どんな人が一緒にいて楽しい人なの? 」と聞いてみると、「うーん、なんだろー。普通に話ができて、一緒に居るのが苦じゃない人かな? 」と、またふんわりワードで返されます。んんん……。このままじゃ埒があかないので、ぱぷこ翻訳機で翻訳かけてみましょう!

原文:一緒にいて楽しい人が好きー!
翻訳:話がうまくて、盛り上げてくれて、私のこと楽しませてくれる、コミュ力が高い人が好きー!

こうなります。
「一緒にいて楽しい人が好き」は正しくは「私を楽しませてくれる人が好き」です。日本語って難しいですね? はい、ここでもうすでに問題点に気が付いた人、優秀です。ちょっと考えればわかることですが、「相手を楽しませるだけの会話力・演出力」を持つ人間はそのほとんどがモテ男か遊び人です。

恋愛のレッドオーシャンへのダイブtoダイ

このタイプの男性はモテます。当たり前です。だって女性側が何もしなくても、「楽しい場」を作り出してくれるサービス精神の初期値がやたら高い人だからです。

BUT! 彼を「一緒にいて楽しい人」だと思ってイイネボタンを連打して評価をゴリゴリ上げても、その時点で2人で特別盛り上がったわけではないことを忘れてはいけません。彼は他の女性に対しても同レベル以上の「楽しさ」を提供することができて、すぐに別の誰かの「一緒にいて楽しい人」になります。つまりあなたと彼の間に特別な「楽しい時間」が流れたわけではない。彼は平常運転です。

ま、上記のように自分の強みを理解し、イヤミ・自慢にならない塩梅で会話に盛り込んで「楽しく」会話ができる男は絶対、モテる男or遊び人☆そしてこのタイプを求めてハマるのは「自分からは相手に楽しさを提供できないけど楽しませてほしい」と望む受け身女子、もっと言えば「恋愛慣れしていない受け身女子」です。

「受け身女子」っていうか「山賊女子」だよね君ら?

一般的に肉食系と呼ばれる男性は、初対面やアウェーの場でも会話の切り出し方や盛り上げ方がスマートです。女の子に適度に話題を振って、自分がしゃべり続けて場を白けさせることもせず、適度に相手へツッコんで場を盛り上げる…。文字通り「一緒にいて楽しい人」ですね。自分から何もしなくても楽しませてくれる人は貴重です。

一方、「楽しい人がいい」という意見には自分と相手で協力して「楽しい」を作り出す感覚がゼロです。与えてもらって当たり前、自分をもてなすのが当たり前。「受け身女子」という言葉の響きからは、遠慮がちな大和撫子タイプを連想しますが、その実態は自分はなにも提供せず、相手からのエンターテインメントをむしり取ろうとする山賊です。

受け身女子の趣向を丁寧にひもとくと、「私自分から何か与えたくなくって、とにかく人からもらってたいんだよねー☆」っていう銭ゲバ根性の内面を垂れ流しているのと同じってことになるのですが、もちろん彼女たちにそんな感覚はありません。

ニコニコ動画・YouTube感覚で「楽しい男子」を探す女子たち

彼女たちは「無料動画型恋愛」を求めています。常時無料で各種コンテンツが流れていて、自分はリモコンでちゃかちゃか番組を切り替えて「面白い」と思う番組を見る。番組の中から自分がいいと思うものを見て、面白いのが当たり前、つまらなかったらチャンネルを変える。動画を見る上で、その姿勢を責める人はいません。普通です。

しかし、日常でコンテンツを消費する側でいるのが当たり前になりすぎて、恋愛にまで「与えてもらう当たり前」を導入するのは話が違います。男性が自分を楽しませるのは当たり前、おもしろいコンテンツをもらうのが当たり前という感覚で、自分が好むコミュニケーションを取れない恋愛は「なんか合わない」「一緒にいて楽しくない」「コミュ力が低い」とバッサリ。

「一緒に会話を作り上げるパートナー」ではなく「コンテンツ」を探している

自分がコンテンツを提供したり、一緒に作るという感覚がまったくない。相手を値踏みはするけど、自分が相手にとって「楽しい人間か」を一切考慮していない。消費に慣れすぎていて、生身の人間にもそれを求める。「なんか面白い番組ないかなー」と同じテンションで「なんか楽しい人いないかなー」と夢想している。

男性を自分と同じ人格ある人ではなくて、コンテンツとして見ているんです。恋愛はお互いの相互関係で成り立ちます。どちらか一方が供給するだけ、消費するだけという関係は恋愛ではなく搾取です。

搾取したい女子はいずれ搾取される側になる

こういう「楽しい人が好き~」という受け身女子、もといコンテンツを無料で消費したい山賊女子は、高確率で"一緒にいて楽しい"遊び人にはまってロマン搾取されます。まーそりゃそうでしょう、「二人でコミュニケーションを作り上げよう」ではなく「自分が欲しいものをくれる人がいい」って言ってるんですから、自己中が寄ってくるのは自然です。「搾取する者はやがて搾取される」という好例ですね。

山賊受け身女子が目をさますには、搾取されて痛い目を見るのが手っ取り早いですが、痛い目を見ると回復にも時間がかかる。ある程度年齢を経て、結婚に対して真剣な気持ちになっている場合にはかなりの痛手です。

断言しますが、コンテンツ消費根性で「いい人いないかなー☆」と言っていても、永遠にピンときません。「一緒にいて楽しい人」を見つけるためには、まず全っ然楽しくない、「自分と向き合う」という作業をしなきゃいけないのです。 この作業は年齢が上がれば上がるほどしんどくなってきます。

「ピンとこない」のは男がつまらないのではなく、あなたがの感度が低いから

受け身の人間が「楽しい」と感じる相手と出会わないのは、面白い人間がいないからでも求めるレベルが高いからでもなく、あなたの感度が低いからです。それを自覚して、感度をあげるべく自分のツボを把握しましょう。

必要なのは、物量作戦(データ収集)と内省(データ整理)です。ごちゃごちゃ言わずにいろいろな人と出会って「楽しかったところ」「つまらなかったところ」の事例を集めて書き出し、整理しましょう。そうすれば嫌でも自分が「楽しいと感じるポイント」と「それを持っていそうな人間像」が把握できます。それがわかったらこちらのもの。出会うマーケットを絞っていけば、いずれ「一緒にいて楽しい人」と出会えるでしょう。

自分はパートナーとなる人とどんなコミュニケーションをしたいのか。どういうことで笑い、「楽しいね! 」と言い合いたいのか。秋の夜長に深掘りしてはいがでしょうか。ぱぷりこでした。


<著者プロフィール>
ぱぷりこ
ブログ「妖怪男ウォッチ」の中の人。ラブ魔窟でエンカウントした妖怪男女と自意識の供養に全力を注いでいる。恋愛相談は最終的にすべて「うん、哲学しよ? 」に持っていく思考原理主義。女子会では、占い師呼ばわりされて終身恋愛顧問になるか、二度と呼ばれないかの二択。
はてなブログ「妖怪男ウォッチ
Twitter: @papupapuriko (イラスト:谷口菜津子)