【コラム】

サラリーマンが知っておきたいマネーテクニック

57 厚生年金、国民年金にはしっかり加入する!

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連載コラム『サラリーマンが知っておきたいマネーテクニック』では、会社員が身につけておきたいマネーに関する知識やスキル・テクニック・ノウハウを、ファイナンシャルプランナーの中村宏氏が、独断も交えながらお伝えします。

公的年金の受給資格の緩和とは?

今回の参議院選挙後の経済対策のひとつに「公的年金の受給資格要件の緩和」が挙げられています。元々、消費税率10%への引き上げと同時に導入される予定でしたが、それを待たず、来年度(2017年度)から前倒しで実施されそうです。

「老後なったら国から年金が支給される」ことを知っている方は多いものの、「支給されるための具体的な条件」を知っている方は多くないのではないでしょうか。 公的年金は老後の大切な安定収入です。あるかないかで老後の生活水準は大きく変わります。無年金や年金額が少ないと生活費を補うために働き続けなければなりません。

新卒で入社して定年までひとつの会社にずっと勤務する人はあまり意識しなくてもよいかもしれませんが、就職が遅かった人や、今後転職、退職、独立をするかもしれない方は、支給要件を知っておくことで、将来困らないようにしてほしいと思います。

現在の国の年金(老齢年金)のおもな支給要件は、次の通りとなっています。

現在の国の年金(老齢年金)のおもな支給要件

サラリーマンとその配偶者(専業主婦など)は、入社時に会社が厚生年金の加入手続きをしてくれ、厚生年金保険料を給与天引きで支払います。厚生年金に加入するサラリーマンとその妻は、20歳から60歳までは国民年金にも加入しているともみなされ、原則65歳からサラリーマンには国民年金(老齢基礎年金)と老齢厚生年金が、配偶者には国民年金(老齢基礎年金)が支給されます。一方、自営業者や学生、収入の低いパート社員・アルバイト等は、加入手続きを自分で行い、自分で保険料を納付する必要があり、原則65歳から国民年金(老齢基礎年金)が支給されます。

ただし、具体的な支給要件には、次のような文言があります。

・国民年金(老齢基礎年金)は、保険料納付期間と保険料免除等期間の合計が「20歳以上60歳未満の間で25年以上」必要。

・老齢厚生年金は、「国民年金(老齢基礎年金)の支給要件を満たしている」こと。

つまり、20歳から60歳までの間に25年以上国民年金又は厚生年金に加入していない限り、原則65歳からの国の年金は無年金となります。24年11カ月の間保険料を払っていても年金は0円になるのです。

今回話題にしている「受給資格要件の緩和」のポイントは、現在の要件の「25年以上」「10年以上」にすることです。

このことによって、現在受給資格要件を満たしていないために無年金となっているお年寄りや、今後60歳まで加入して保険料を払っても要件を満たさない可能性のある人を救済することができます。

「10年以上」で満足せず、できるだけ長く加入することが大切!

将来の国の年金が不透明なことから、20代、30代の方の中には年金に対する信頼をなくしている方も増えていると言われています。しかし、私たちには「20歳から60歳までの40年間は国民年金(厚生年金を含む)に加入して保険料を支払う」義務があります。また、加入期間が長ければ長いほど老後の年金額は多くなる仕組みになっています。

例えば、国民年金(老齢基礎年金)の場合、20歳から60歳まで加入して保険料を納付した場合、年間で78万0,100円(平成28年度の満額)の年金額を受け取ることができます。加入期間が10年の場合、年金額は4分の1の19万5,000円にしかなりません。老齢厚生年金も加入期間が多いほど、給料が多いほど(上限あり)年金額が多くなります。

少子高齢化の影響で、将来支給される年金水準は、現在お年寄りが受け取っている額よりも少なくなる可能性が高いでしょう。しかし、一生涯受け取れる国の年金は、高齢期の安定収入の基盤です。

何らかの事情で会社を退職し、転職するまでに期間があく場合、また退職して自営業をする場合、あるいはパートなどの非正規社員となって厚生年金に加入しない場合などは、自分で国民年金への加入手続きと保険料の支払いをする必要があります。収入が減る上、給与天引きではないため、保険料の支払いに抵抗を覚えるかもしれません。

しかし、老後を少しでも豊かに送るためにも、少し無理をしてでも加入手続きと保険料の支払いをした方が、将来後悔しないですみます。

ファイナンシャルプランナーとしてご相談を受ける方の中には、親が無年金、あるいは年金額が少ないために経済的支援をしている方もいらっしゃいます。大学時代に受けた奨学金の返済をしながら、また、子供を育てながら、住宅ローンの返済をしながら、その上で親へ毎月定額の仕送りをしている方などです。

一生涯経済的に自立をして暮らすためにも、国の年金にはしっかり加入するようにしましょう。

執筆者プロフィール : 中村宏(なかむら ひろし)

ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。ベネッセコーポレーションを経て、2003年にFPとして独立し、FPオフィス ワーク・ワークスを設立。

「お客様の『お金の心配』を自信と希望にかえる!」をモットーに、顧客の立場に立った個人相談やコンサルティングを多数行っているほか、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿などで生活のお金に関する情報や知識、ノウハウを発信。新著:『老後に破産する人、しない人』(KADOKAWA中経出版)

メルマガ「生活マネー ミニ講座」(平日・毎日配信)
HP「FPオフィス ワーク・ワークス」

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インデックス

連載目次
第87回 2018年スタート! 「つみたてNISA」の始め方
第86回 民間の医療保険、加入のポイント
第85回 健康保険の保障は、自己負担3割だけではない!
第84回 投資信託選びは、金融庁の「つみたてNISA」対象商品の要件を参考に!
第83回 疾病特約や介護特約が付いても保険料が無料になる団信生命保険がある!
第82回 銀行のカードローンに注意!
第81回 統計データを見て、平均と自分をくらべてみる!
第80回 サラリーマンが加入している「厚生年金」の機能は老後の年金だけじゃない!!
第79回 9月までに「マイナンバー」を提示しないとNISA口座が使えなくなる!?
第78回 超低コスト投資信託のススメ
第77回 「ふるさと納税」の返礼品競争が抑制される!!
第76回 クレジットカードの使い方の基本
第75回 エンゲル係数を計算してみよう!
第74回 後悔しないマイホーム予算の立て方(2)
第73回 後悔しないマイホーム予算の立て方(1)
第72回 サラリーマンもiDeCo(イデコ)に加入することができる?
第71回 2017年4月からも、学資保険や個人年金保険で資金準備をする?
第70回 「結婚にかかるお金」を参考に貯蓄目標額を設定する!
第69回 「セルフメディケーション税制」を使って税金を節約しよう!
第68回 20代~30代は、2018年からスタートする「積立型NISA」を活用しよう!
第67回 年末年始は少し時間をかけて、家計や資産を点検して来年の目標を作る!
第66回 贈与を受けると贈与税がかかる!?
第65回 年末調整の情報を活用し、「ふるさと納税」ができる金額を年内に確認しよう
第64回 住宅ローンの借り換えは、金利だけでなくコストにも注意!
第63回 中途退職時に受け取る退職金、使いすぎに注意!
第62回 年末調整の季節が到来! - サラリーマンもたまには「税金」のことを考えよう
第61回 コンビニATM、時間外でも手数料無料の金融機関は?
第60回 利回り8.3%の「百貨店友の会」、預貯金金利が低い今こそおすすめ
第59回 確定拠出年金で老後資金準備! 2017年からは専業主婦や公務員も対象に
第58回 中古住宅を購入してリフォームなら【フラット35】リノベがおすすめ
第57回 厚生年金、国民年金にはしっかり加入する!
第56回 20代・30代サラリーマンのお小遣い事情
第55回 実際の年齢ではなく「健康年齢」で保険料が決まる保険が登場!
第54回 おすすめ投資信託は「ノーロード」&「インデックス型」&「バランス型」(2)
第53回 おすすめ投資信託は「ノーロード」&「インデックス型」&「バランス型」(1)
第52回 子供のできたときに入る生命保険は「収入保障保険」
第51回 新入社員は必読! 給与明細を徹底解剖
第50回 子供の教育費の目安とは? 高校までは毎年の収入の範囲でカバーする!
第49回 正社員なら30歳までに200~300万円貯めよう!
第48回 2016年3月の住宅ローン金利が史上最低を更新!?
第47回 マイナス金利で「個人向け国債」が高利回り商品に!?
第46回 マイナス金利、住宅ローンは「固定金利」への切り替えの絶好機!?
第45回 通勤手当の非課税限度額が月15万円に引き上げられる!?
第44回 1月から医療費の領収書はちゃんと保管! 確定申告をして節税をしよう!
第43回 『ジュニアNISA』がはじまる前に「贈与税」の仕組みを理解しておこう!
第42回 子供や孫ができたら「ジュニアNISA」口座を開設して教育資金の準備をする!?
第41回 新しい年を前に! 一生涯の収支計画を作ってみよう!!
第40回 年末調整の「生命保険料控除」で得する方法
第39回 女性専用の医療保険…普通の医療保険とどこが違う?
第38回 「老後破産」に陥らない!!--20代・30代からのライフプランの考え方(3)
第37回 「老後破産」に陥らない!!--20代・30代からのライフプランの考え方(2)
第36回 「老後破産」に陥らない!!--20代・30代からのライフプランの考え方(1)
第35回 中古住宅を個人から買うときは、「消費税」がかからない!!
第34回 旅に出るときは、スマホで旅行保険に加入して万が一の事態に備える!
第33回 子供の教育費はこうして準備する! (3)
第32回 子供の教育費はこうして準備する! (2)
第31回 子供の教育費はこうして準備する! (1)
第30回 財形貯蓄をしている子育て世帯に朗報! 「財形住宅融資」が金利を▲0.2%優遇
第29回 「結婚・子育て資金」を"非課税"でもらえる制度ができた!
第28回 物価上昇時におススメ! "超短期"の「定期預金」で安全確実にしっかり貯める!
第27回 クレジットカードより家計管理が断然便利!? デビットカードを使いこなす!
第26回 賃金が上昇したら、アップ分を元手に投資で増やす!…「積立投資信託」
第25回 住宅エコポイント制度が2年半ぶりに復活! 最大45万円分のポイントがもらえる!
第24回 がん保険に別途入る必要はない!? - 医療保険の入り方(2)
第23回 病気やけがで入院・手術になったらどうする!? - 医療保険の入り方(1)
第22回 【フラット35】Sが拡充!? 長期固定金利が当初5年、10年が変動金利並みに!
第21回 「ふるさと納税」が拡充! 寄附の上限額が2倍になる!?
第20回 「仕事」だけでなく、「家計」でも"1年の目標"を立てよう!
第19回 "超低金利時代"の住宅ローン、「変動金利」と「固定金利」のどちらを選ぶ?
第18回 「晩婚夫婦」の家計が、"より慎重で計画的"な運営を求められるワケ
第17回 日本銀行の追加の「超金融緩和政策」に、サラリーマンはどう対処する?
第16回 「財形貯蓄」はサラリーマンの貯蓄の"王道" - どんなメリットがある!?
第15回 20代・30代のフルタイム共働きサラリーマンの家計管理術(2)
第14回 20代・30代のフルタイム共働きサラリーマンの家計管理術(1)
第13回 入院・手術するなら年内・年明けどっちが得? 高額療養費制度が2015年に変わる!
第12回 保障を残しつつ、今後の保険料の支払いをストップできる『払済保険』って何?
第11回 近くにカーステーションがあれば、クルマを持たず「カーシェアリング」を使う!
第10回 帰省先でも役立つ! 人のクルマを借りるときは「超短期自動車保険」に入る!
第9回 金利だけくらべてはダメ! 住宅ローンはコストも含めて比較する!!(2)
第8回 金利だけくらべてはダメ! 住宅ローンはコストも含めて比較する!!(1)
第7回 生命保険の保険料、「年払い」にするだけで節約できるって知ってた?
第6回 ボーナスの時期こそ! 「住宅ローン」の"繰上返済"は、早ければ早いほど効果大!!
第5回 『ふるさと納税』で地域貢献&美味しい特産品をお得にゲット!
第4回 「インフレ時代」の貯蓄術--少しでも"金利"の高いものを選ぼう!
第3回 おじいちゃん、おばあちゃんから子どもの教育費をもらって家計にゆとりを!
第2回 カードで買い物はいいが、「リボルビング払い」はもったいない。
第1回 確定拠出年金の「マッチング拠出」は、"節税"の観点から積極的にやる!

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