連載コラム『サラリーマンが知っておきたいマネーテクニック』では、会社員が身につけておきたいマネーに関する知識やスキル・テクニック・ノウハウを、ファイナンシャルプランナーの中村宏氏が、独断も交えながらお伝えします。


終身保険や養老保険は、解約しなくても保険料の支払いをストップできる

加入している保険の種類によっては、解約をすることなく、以後の保険料の支払いをストップすることができます。このことを『払済保険』といいます。

毎月の保険料の支払いが家計の負担になっている方は、「払済保険」にすることで負担をなくすことができます。

対象となる保険の種類は、終身死亡保険、養老保険、学資保険、個人年金保険などのようないわゆる「貯蓄型の保険」です。

保険の申し込みをするときには、保険事故(死亡や高度障害)が起こったときや満期に受け取る保険金や保険料の払込期間を設定します。そうすると毎月支払う保険料が決まります。

たとえば、30歳男性が死亡保険金1,000万円の終身保険に加入し、保険料の払い込み期間を60歳までと決めると、毎月の保険料が21,000円になったとしましょう。

払済保険のイメージ

この方の場合、毎月21,000円の保険料を60歳まで払う条件で、60歳未満でも60歳以上でも、いつ亡くなっても死亡保険金1,000万円の支払いを受けることができます。

この方が、45歳のとき、保険料の負担をなくすために、この保険を払済保険にした場合、以後の保険料を支払う必要はありませんが、死亡保険金はその分減額されます。たとえば、それまで1,000万円の死亡保険金だったのが、500万円になります。減額後の保険金が実際にいくらになるかは、保険会社のコールセンターなどで簡単に確認することができます。なお、保障期間は変更されません。

こんな時に「払済保険」にする!

いま入っている保険を払済保険にすることを検討したほうがいいのは次の場合などです。

  • ■終身死亡保険や養老保険、個人年金保険に入って保険料を支払っており、保険料の負担を抑えたいが解約すると元本割れになってしまう。

いずれの保険も、解約すると「解約返戻金」というお金が戻ってきますが、その金額は多くの場合、それまでに支払った保険料の総額よりも低く、いわゆる「元本割れ」になってしまいます。

  • ■加入時に保険金を高く設定しすぎてしまった

終身死亡保険の保険金は、一般的には葬儀代程度の200万円~500万円程度でいいと言われています。

個人年金保険の場合は、老後に受け取る年金額を高く設定しすぎて、現在払っている高い保険料が家計を圧迫しているかもしれません。

学資保険や養老保険も同じです。現在の家計運営に支障をきたさない範囲で保険に加入したほうがいいでしょう。

「払済保険」にすると「特約」の保障がなくなることに注意!

「払済保険」にする場合、それまでその保険についていた「特約(オプション)」の保障が消滅することに注意が必要です。

よくついている「特約」の例としては、入院特約や手術特約などの医療特約、三大(特定)疾病特約、災害死亡特約などがあります。

医療特約は病気やケガで入院や手術をしたときの保障です。三大(特定)疾病特約はがん・脳卒中・急性心筋梗塞と診断されたときの保障、災害死亡特約はケガで死亡した場合の保障です。

「払済保険」にするときには、加入している保険についている「特約」を確認し、それらが今後も必要かどうかをよく確かめてから行ったほうよいでしょう。

執筆者プロフィール : 中村宏(なかむら ひろし)

ファイナンシャルプランナー(CPF認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。(株)ベネッセコーポレーションを経て、2003年にFPとして独立し、FPオフィス ワーク・ワークスを設立。「お客様の『お金の心配』を自信と希望にかえる!」をモットーに、顧客の立場に立った個人相談やコンサルティングを多数行っているほか、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿などで生活のお金に関する情報や知識、ノウハウを発信。新著:『老後に破産する人、しない人』(KADOKAWA中経出版)

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