我が痛恨のとき

私がまだまだ血気盛んな頃、上半期(半年)のぐんぐん上がるトレンド相場で、バイ・アンド・ホールド(買って持ち続ける)してさえいればもうかるイージーな(簡単な)相場で、実際大もうけしました。

しかし、その相場に慣れていくにつれ、この相場まだまだ続くという確信めいた期待が膨らんでしまったことが、失敗の始まりでした。

そして、半年後、下半期に入り、相場は荒っぽい上下動を経た後に、いつのまにかレンジ相場に移っていました。

しかし、自分の頭の中は、依然として上げのトレンド相場ですから、上がれば買い、思った以上に下がると投げるということを、1カ月の間に3円幅ぐらいのレンジの中で3回繰り返しただけで、ポジションが大きかったこともあって、とんでもない損失になってしまい、完全にギブアップとなりました。

その後、2カ月間おとなしくしていた後、次の3カ月間の上昇トレンドで波に乗れ、損失は取り戻しましたが、本当にレンジ相場の怖さを思い知らされた出来事でした。

そして、このことから、どうやったら相場が転換しているのかをできるだけ早く知ることができないかを考えました。

相場の踊り場なのか、転換なのか

相場の踊り場とは、例えば、下げ相場であれば、一気に下げてきた相場が安値圏で足踏み状態となり、上げ相場であれば一気に上げてきた相場が高値圏で足踏み状態となります。

しかし、結局はその後それまでのトレンド方向、つまり下げであれば再び下げ、上げであれば上げの相場が再開する、まさに階段の踊り場のようなもので、更にトレンド方向へ進むためにエネルギーを充電している過程だと言えます。

上昇あるいは下落相場がトレンド相場の踊り場となるか、安値圏あるいは高値圏の形成になるかの見極めは、なかなか難しいものがありますが、ひとつ心得ておくべきことは、相場自体がファンダメンタルズ的にも強いトレンド性を持っている、言い換えれば相場に勢いがあるならば、トレンド相場の一時的な踊り場であることが多く、更にトレンド方向を続行することになる可能性が高いということです。

踊り場

一方、安値圏あるいは高値圏の形成する場合でも、一転してVの字カーブを描いて急反発、急反落をするよりも、値幅的には結構広くはありますが、ある一定の上下動を繰り返すことが一般的で、それがそれまでの上げ相場の後であればダブルトップや三山(さんざん、トリプルトップ)になったり、下げ相場であればダブルボトムや三川(さんかわ、トリプルボトム)になったり、この上下動の過程にすぎないと、多くの場合、本当の意味での相場の転換はやってこないものと思っておくべきでしょう。

相場の踊り場においては、例えば、下げ相場からのもみ合いに入ったからと、安易に今までの下げ相場もこれぐらいで終わったかと思わないことです。

たとえ終わっていたとしても、既に申し上げましたように、反転する場合でも、多くの場合、それなりの時間を掛けて上下動を繰り返さないと方向が真反対になることは、少ないからです。

しかし、もしも安値圏あるいは高値圏を形成する兆候である値幅的には結構広いある一定の上下動を繰り返すようになり、トレンド相場からレンジ相場への変わり目にあると悟ったら、手持ちのポジションを即刻手仕舞い、様子を見ることが賢明かと思います。

なぜなら、この上下動で、それまでのトレンド相場で得た利益を吹き飛ばすことは実に簡単なことだからです。

完璧を狙うことは難しいですが、多少の失敗で済ませることは心掛け次第で十分可能です。

トレンド相場からレンジ相場への変わり目

3回続けて負けたら……

では、どうやって相場が変わり目にあると悟るかということが問題になります。その点については、私は次のように考えています。

相場を張っていて、3回連続して負けたときは、自分が下手だと思う前に、相場自体がそれまでとは違ってきていると考えるべきではないかということです。

確かに、まだ初級の方の場合は、経験不足から、今までと同じ間違い繰り返していて、負けていることがあります。これは、同じ間違いを繰り返さないと肝に銘ずることが大切です。

しかし、中・上級者ともなれば、経験も十分に積み、知識も豊富だと思いますので、それほど、相場観に大きな外れはないと思います。

それにも関わらず、今までの相場観でトレードしても、3回連続して負けるということは、相場自体が変わってきていることを示し、新たな相場のテーマが何であるかを調べる必要があります。

マーケットの変化を知る術はありますので、もっともうけたいと思う未練は忘れ、変化を示すサインには素直に従うことが賢明です。

相場転換と5日移動平均線

また、短期的な相場の転換を確認する上で、5日移動平均線が有効です。

5日移動平均線

例えば、相場が上昇を続けているとき、この短期の移動平均線は鋭角的に上を向いており、下押しがあっても跳ね返す強いサポートとなっています。しかし、相場の上げが緩やかになってくると、5日移動平均線の上昇角度も緩くなります。

それでも、5日移動平均線がまだ上を向いているうちは、相場も高値圏を形成するに止まっていますが、5日移動平均線が水平ないし下を向いてくると、相場の転換、この場合で言えば、上昇から下落への転換となる可能性が高まります。

具体的に、相場転換のタイミングを確認するには、上昇から下落への転換であれば、5日移動平均線が水平ないし下向きになっているということを前提に、日足の東京寄り付きあるいはニューヨーククローズが、5日移動平均線を下回ったときです。

こうなると、今まで下げづらかったところを、スーッと下げることがあり、要注意です。

ここでは、上昇から下落への転換を知る上での5日移動平均線の有効性についてお話しましたが、下落から上昇への転換を知る上でも、5日移動平均線は有効です。

下落から上昇への転換は、上昇から下落への転換への過程とは逆で、5日移動平均線が水平ないし上向きになっているということを前提に、日足の東京寄り付きあるいはニューヨーククローズが、5日移動平均線を上回ったときです。

このように、いろいろな角度から相場転換の可能性を知ることはできますので、どうぞお試しになってみてください。

執筆者プロフィール : 水上 紀行(みずかみ のりゆき)

バーニャ マーケット フォーカスト代表。1978年三和銀行(現、三菱東京UFJ銀行)入行。1983年よりロンドン、東京、ニューヨークで為替ディーラーとして活躍。 東京外国為替市場で「三和の水上」の名を轟かす。1995年より在日外銀に於いて為替ディーラー及び外国為替部長として要職を経て、現在、外国為替ストラテジストとして広く活躍中。長年の経験と知識に基づく精度の高い相場予測には定評がある。なお、長年FXに携わって得た経験と知識をもとにした初の著書『ガッツリ稼いで図太く生き残る! FX』が2016年1月21日に発売される。詳しくはこちら