【コラム】

円の行方、ドルの行方

18 ドル/円が急落、どこまで下がるか--「人智では推し量れぬもの」

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年初来、ドル/円が急落してきました。

ドル/円 日足

こうした急ピッチな下げ相場になると、とてもどこまで下がるかわからなくなり、「売るのは怖いから買う」と言って買い下がったり、あるいは、値頃感から押し目買いに出やすくなったりする傾向があります。

しかし、実は、これらは大変危険です。

この相場どこまで下がるか、まさに「人智では推し量れないもの」

なぜなら、まず、申し上げられることは、この相場どこまで下がるか、まさに「人智では推し量れないもの」だからです。

特に、急落相場になる原因は、多くのマーケット参加者の思惑がはずれて、捕まったロング(買い持ち)ポジションの損失を出来るだけ最小限にしようと、価格などは二の次で、できるだけ早く、マーケットから早くゲットアウト(脱出)しようと売りが殺到するため、相場は、大急落となります。

こんな我先にと投げ売っている時に買い下がるのは、どこまで下がるのかわからない以前に、入るべきタイミングを誤っているとしか言いようがありません。

確かに、場合によっては、相場はVの字を描いて反転することもありますが、これは稀です。

Vの字回復は、要人発言など何らかの原因によって 手持ちのロングポジションを一気に投げられ、さらに、マーケットのポジションが倍返しされることによってショートになってこそ起きることです。

多くの場合は、下げもこのあたりまでというなんの根拠もない値頃感から買い下がって捕まっているロングポジションがこなれてこないことには、少なくとも安値圏で横ばいです。

「布団をかぶって」やり過ごそうというのは、投資の効率性の観点からも非効率

こうなると、ロングで捕まったマーケット参加者は、「布団をかぶって(見て見ぬふりをして)」やり過ごそうとします。

しかし、「布団をかぶって」も、ロングポジションであることに変わりはなく、良くても横ばい、ヘタをするともう一段下げもあり得ます。

「布団をかぶって」やり過ごそうというのは、投資の効率性の観点から見ても、非効率です。

なぜなら、動かせないポジションがあるということは、その分の証拠金が固定されてしまい、他の運用での収益チャンスを食うことになります。

従って、投資効率から考えても、「布団をかぶってやり過ごす」方式は、お勧めできません。

痛みが伴っても、アゲンスト(不利)のポジションは即刻損切ることが「好み」

それでも、なぜ、切らずにポジションを抱えてじっといるかと言えば、損切りという痛みを避けたいからです。

それでも、急落相場になると、どこまで落ちるかわからないという恐怖感から踏ん切って投げるものです。

しかし、相場が上げもしないが大きく下げもしないという保ち合い(もちあい)状態になりますと、痛みは伴わないけれど、調整に時間がかかることになります。

私個人の好みとしては、痛みが伴っても、アゲンスト(不利)のポジションは、相場観が間違っているとしたら、即刻損切ることが好みです。

なぜなら、いったんポジションを閉じて身軽になれれば、次のことが何のバイアスがかかることなく、考えられるようになるからです。

なお、相場が下がってくると、買いからしか考えられないという人が多いです。

しかし、買い下がって良い相場と、悪い相場があり、今の相場がどちらなのかを判断する必要があります。

買い下がっても良い相場は、レンジ相場と、トレンド相場でもかなり時間が経った相場です。

一方、買い下がってはいけない相場は、レンジ相場が収束してトレンド相場に入る直前から、トレンド相場の中期ぐらいまでです。

結構大きなスケールの相場に!?

今回、12月31日から始まった、ドル/円のトレンド相場は、まだトレンド相場の初期段階です。

買い場を探す以前に売り場を探す時だと思います。

昨年1年間の膠着相場から抜けだそうとしていますので、結構大きなスケールの相場になりそうです。

こうしたトレンド性のある相場では、なかなか相場に乗れないものです。

「自分でド底を売る」つもりで、売っていかないと、なかなか乗り切れるものではありません。

尚、底値をつけたかの確認は、下に突っ込んで、長い下ヒゲを出してくると、下を見た可能性が高まります。

つまり、ロング筋の大方の投げが集中したことで、長い下ヒゲが出現したものと見ています。

執筆者プロフィール : 水上 紀行(みずかみ のりゆき)

バーニャ マーケット フォーカスト代表。1978年三和銀行(現、三菱東京UFJ銀行)入行。1983年よりロンドン、東京、ニューヨークで為替ディーラーとして活躍。 東京外国為替市場で「三和の水上」の名を轟かす。1995年より在日外銀に於いて為替ディーラー及び外国為替部長として要職を経て、現在、外国為替ストラテジストとして広く活躍中。長年の経験と知識に基づく精度の高い相場予測には定評がある。なお、長年FXに携わって得た経験と知識をもとにした初の著書『ガッツリ稼いで図太く生き残る! FX』が2016年1月21日に発売される。詳しくはこちら

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インデックス

連載目次
第62回 トランプ氏当選後、「投機筋」対「本邦輸出企業」のバトル
第61回 ヘッド・アンド・ショルダー
第60回 いなくなった、縁の下の力持ち - ドル/円相場
第59回 チャートパターンの落とし穴
第58回 FXトレードは、世界が相手
第57回 天国と地獄
第56回 相場の鮮度に応じたトレーディング・スタイルを取る
第55回 米系ファンドの45日ルール
第54回 ケーブル、一日天下
第53回 理由が後からついてくる
第52回 今年これまでのドル/円と今後
第51回 ひらめきが現実になるには
第50回 メダルと国力
第49回 貿易収支に大きく影響を受けるドル/円
第48回 意外に相場に影響がある夏休み要因
第47回 トレンド相場とレンジ相場
第46回 ユーロ圏を悩ますISとの宗教戦争
第45回 相場の転換に早く気づくには?
第44回 荒波に出航するイギリス
第43回 人の行く裏に道あり花の山、ジョージ・ソロス氏に思う
第42回 通貨当局は、マーケット心理を把握しているか
第41回 英国民投票とドル/円の行方
第40回 意外に知らない、相場エントリーの真実
第39回 理由が後からついてくる - ユーロ/円、大幅下落の可能性
第38回 失敗か? アベノミクス - 注視する米系ファンド
第37回 相場の基本を知って、収益チャンスを拡大! トレンド相場とレンジ相場
第36回 ある噂
第35回 ユーロ/円からドル/円、ユーロ/ドルの将来を占う
第34回 米財務省と日本の財務省との軋轢は回避できるのか?
第33回 マイナス金利適用拡大報道の為替マーケットへの影響は?
第32回 円安頼みの日本経済は、耐えられるのか?
第31回 ドル/円、為替介入の可能性は?
第30回 「リスクの早期発見、早期回避」が身を助く
第29回 BOE vs ジョージ・ソロス氏の教訓
第28回 ヘレンとナディア
第27回 ユーロ/ドルの見方変更、ユーロ反転の可能性は?
第26回 ユーロ/ドル、防戦買いを突破して下落するか
第25回 今のドル/円の相場のリズムは、グンチャッチャ、グンチャッチャ
第24回 気になるユーロ/円、二極の異なる状況が重なって大幅安か
第23回 介入は怖いばかりではなく、良い話もある
第22回 米系ファンドは、ドル/円にロックオンか?
第21回 検証、ドル/円1月相場 - 歴史は繰り返す
第20回 ユーロ/ドル、下落再開か!?--"EUの弱体化"も影響
第19回 原油安で貿易黒字なら恒常的なドル売り発生--円安から円高に相場観が大転換
第18回 ドル/円が急落、どこまで下がるか--「人智では推し量れぬもの」
第17回 英国が「EU離脱」の可能性も--今年はポンド安の年になる?
第16回 クリスマスが明け、欧米勢は新年度入り--日本人の"正月気分"が狙われる可能性!
第15回 機関投資家は、円高に耐えられるのか!?--ドル/円、100円割れの可能性も
第14回 原油価格下落が再開、日本の貿易収支とドル/円への影響は?
第13回 ユーロの悲劇--なぜ急騰し、そして高止まりしたか!?
第12回 ユーロ/円、潜在的な大相場の可能性--110円近辺まで下落か!?
第11回 ユーロ/ドル、超長期からのアプローチ--9.11テロ、リーマン、ドラギ緩和
第10回 フランス同時テロが、FXマーケットに与える影響は?
第9回 ドル/円、どこまで上がるか!?--日本の貿易赤字の変化に注目
第8回 ユーロ/ドルには十分な警戒が必要--ドイツがおかしくなったら大混乱!?
第7回 ECBドラギ総裁は"先手必勝"の追加緩和--FRBイエレン議長には"市場の洗礼"!?
第6回 無視できない、欧米の"決算絡み"の相場の動き--今後はどうなる!?
第5回 トルコ史上最悪のテロ事件が発生、トルコリラはどうなる!?
第4回 ドル/円とユーロ/ドルの膠着相場、近い将来相場が動き出す前兆を示唆
第3回 フォルクスワーゲン不正問題に思う--ドイツから米国へ富の移し替え!?
第2回 ユーロ/ドルが動くわけ、動かないわけ
第1回 ドル/円、本格的に円高に転換か?

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