女性に多い疾病や出産時の不安を、保険でカバーしたいと考える女性は多い

自分が大きな病気やけがを患うことを、20代から真剣に考えている人は少ないかもしれない。そのため「保険」という言葉を、自分に関係のないものと感じている人も多いのではないだろうか。マイナビニュース編集部では、20・30代の保険加入・未加入の男女5人に集まっていただき、若い世代に「保険」って必要なのか、座談会形式で一緒に考えることにした。

座談会に参加いただいたのは下記の5人で、司会はこれまで数多くの保険見直し相談を受けてきた、ファイナンシャルプランナー(FP)の馬養雅子さんが務めた。
・ITサービス企業勤務の吉田さん(仮名、保険既加入、20代、既婚)
・ITサービス企業勤務の佐々木さん(仮名、既加入、20代、未婚)
・銀行勤務の田中さん(仮名、既加入、30代、未婚)
・ネット通販会社勤務の渡辺さん(仮名、保険未加入、20代、未婚)
・外資系メーカー勤務の松本さん(仮名、未加入、20代、未婚)

前回は、「死亡保障」「医療保障」「老後・貯蓄保障」など様々な保障をする保険がある中で、20代・30代では医療保険に入っておくと安心という人が多かった。今回は若い世代が医療保険に加入するとすれば、どんな保障が必要なのかについて話し合ってもらった内容を紹介したい。


入院日額5,000円か1万円かは、自分のスタイル次第

「若くても病気やけがで入院する可能性があるため、医療保険が必要」と司会の馬養さん

――馬養です。前回は、今必要な保険についてみなさんと考えました。今回は具体的にどんな保障が必要なのか考えてみたいと思います。吉田さんと田中さん、佐々木さんは医療保険に加入されているようですね。医療保険は病気の種類や診断内容、手術の有無などにより、受け取れる給付金額が異なります。実際、自分の保険がどのような保障内容なのか理解されていますか?

田中 : 私は三大疾病(がん、脳卒中、心筋梗塞)の特約は付けず、女性疾病(乳がんや子宮筋腫など)の特約を付けています。入院は日額5,000円の保障にしていますが、女性疾患の場合は手術や入院の保障金額が倍になります。

佐々木 : 私も女性疾病への保障(キュア・レディ)は手厚いです。保険に入る時に重視していたのがそこでしたし、帝王切開も保障されるというのは加入を決めた理由として大きかったです。ただ、入院の日額はいくらなのか、ちょっと覚えていません……。

吉田 : 私も日額いくらなのか分かりません。正直なところ、保険に対して月々いくら払っているのかさえおぼろげです。保険に加入した際、ちゃんと内容を聞いて自分でサインをしたはずなのですが。

――保険は自分で請求しないと、保険金や給付金を受け取ることができません。実際、20代・30代中心の500人にマイナビが実施したアンケート調査では、生命保険加入済みの266人の内、107人の方が「保障内容を知らない・あまり知らない」と回答していました。特に親の勧めや保険会社からの営業を受けて加入された方は、加入したという事実だけで安心してしまって、保障内容をきちんと確認することがおろそかになっている人も多いのかもしれません。

田中 : 私は数年前、思いがけず入院することになりました。それは女性疾患だったので、医療保険に女性疾病特約を付けていたことは、今思えばラッキーだったなと思います。

――給付金の条件や、給付金を受け取るまでにどのくらいかかったか覚えていますか?

田中 : 入院3泊目からが給付対象でした。支払いも申請してから2日後だったので大変助かりました。ですが、同じ病棟にいた方は、申請から2週間たってやっと支払われたようです。保険会社によってそうした違いがあることに驚きました。またその方は給付の申請に医師の診断書が必要で、その費用や手間を考えると、なんだか損した気がするともおっしゃられていました。

――そうですね。給付額もそうですが、支払いにはどんな条件が必要なのか、どんなタイミングでおりるのかも確認する必要がありますね。

田中 : 実は今入っている医療保険は、ちょうど見直しを考えているところなんです。次は掛け金の安さとともに、入院保障が日額1万円、それと退院後のことも考えて通院費がどれだけ保障されるかを、見直しポイントにしたいと思っています。

松本 : 私も数年前に、急に入院するということがありました。入院当時は保険の重要性を身をもって痛感したのですが、時間がたつとリスクへの意識が薄れてしまい……。田中さんの話を聞いてその時を思い出したのですが、通院保障として日額5,000円でも十分な気がしています。田中さんはなぜ、1万円にしようとお考えなのでしょうか?

「差額ベッドを考えるなら私も月額1万円かなぁ」と悩む佐々木さん(仮名)

田中 : 私は入院する時、「同性(女性)の4人部屋」を選びました。その時は1泊につき、差額ベッド代が8,000円だったので、5,000円の保障では足りないなと思いました。入院のみならず、治療や手術方法も自ら選べる状況でしたが、金額もそれによって違いました。病気という不安定な状況、そして入院という慣れない環境の中で、安心して過ごせる部屋の環境は大切だと思います。それに、掛け金も倍になるわけではないなら、私は1万円の保障を選びたいです。

佐々木 : 田中さんの実体験をお聞きして、私ももし入院したら、差額ベッド代がかかっても個室などを利用したいと思いました。今まで自分が病気になったり、入院したりすることを考える機会がなかったので、保障の内容をあらためて確認したいと思います。

渡辺 : 男だからということもあると思いますが、逆に私は特に個室などの必要性は感じません。大部屋でいいです。私の場合は、日額5,000円の保障でもいいのかもしれませんね。

――みなさん、自分に必要な保障がみえてきましたね。個室など部屋を指定するかどうかは個人の好みになりますが、そうした好みに合わせて保障内容を考えることは重要です。

「がんへの保障=がん保険」とは限らない

松本 : 女性疾患という点では、自分の家系を考えてみると病気入院した親戚はあまりいませんが、がんは多いように思います。馬養さんにお伺いしたいのですが、医療保険に入る時に、がん特約でカバーできたらいいのかなと思っています。あえてがん保険に入る必要はあるのでしょうか?

――掛け金を考えると、がん特約の方ががん保険よりも一般的に安いです。ただ、がんは他の病気に比べると治療費が高くなる傾向にあります。それに、がん特約では高度先進医療などは保障の対象外になることもあります。こればかりはその方の考え方によるかと思います。

また、若い女性に多いがんとして、子宮頸(けい)がんや乳がんがあげられます。それは女性疾病特約でカバーできます。確率的な話にはなりますが、女性疾病特約かがん特約、どちらかを選ぶという選択肢も考えられますね。

自分に合ったがんへの保障を検討中の吉田さん(仮名)

吉田 : 私も母親は乳がんで入院していたことがあります。祖父母の代までさかのぼると、自分はがん家系かもしれません。

――先ほどお話したように、がん特約では保障対象外となる場合もあります。がん家系でお金に余裕がないのでなれば、がん保険にだけ入るのもありうるかと思います。理想を言えば、医療保険とがん保険、ともに入っていた方が安心です。ちなみに知らない方も多いですが、がん発生の要因は遺伝よりも生活習慣が多いですよ。がんは「生活習慣病」のひとつなんです。

渡辺 : 私はこれまで全く病気とか保険の事を考えたことはありませんでしたが、今回、保険というものの存在意義を初めて認識しました。その上で、皆さんのお話もお聞きして、保険を選ぶ際、こだわる部分を明確にして、自分にあった保障を選ぶことが大切だということがよく分かりました。今日家に帰ってから、自分にはどんな保障が必要なのか、よく考えてみます。

――保険は複雑で分かりにくいという印象があるかもしれません。ですが、「自分にあった商品(保障)を買う」と考えれば、普段の買い物と同じような意識でもいいと思います。

商品を買う場合、専門店やセレクトショップ、またはネット通販で買う、などと購入手段はいろいろありますよね。保険も同じで、個別の保険会社で買うか、保険ショップ(代理店)で買うか、ネットで買うかと選ぶことができます。

吉田 : 私はネットの生命保険が気になっています。人件費がかからない分、安いと聞きました。

――加入方法も保障内容同様に、その人の性格やこだわるポイントによって変わってくるものです。どの方法で保険に加入するのが自分にはあっているのか、次回は加入チャネルの選び方をみんなで考えてみましょう。