連載コラム『あなたの家計簿見せて! "給料減少時代"の家計診断』では、相談者のプロフィールと実際の家計簿をもとに、5人のFPが順番に、相談者の家計に関する悩みについての解決策をアドバイスします。


【相談内容】
来春就職が内定している大学5年生です。現在はアルバイトをいくつか掛け持ちをし、アルバイト代の収入で毎月の生活費をやりくりしていますが、家賃、食費、光熱費、奨学金返済、雑費を引いた残りのお金で自由に使えるお金が少なく、もう少し上手にやりくりしていきたいと思っています。できれば少しずつお金を貯めて、卒業旅行にも行きたいと思っています。どこを見直したら、やりくり上手になれるのでしょうか?

相談者プロフィール

相談者の家計状況


【プロからの回答です】

  • アルバイトと学業を両立させながらのやりくりは大変かと思います。その中で、来年2月頃の卒業旅行を目指してお金を貯めたいとのことですが、よほど気持ちを引き締めないと現状のままでは厳しいです。そこで、2月までは家計を見直してムダな支出を控え、ひたすら貯蓄に励むことが肝要です。

(※詳細は以下をご覧ください)


住居費は収入の20~25%の範囲で

収入に対して住居費がやや高めです。東京都内なので仕方がないのかもしれませんが、給与の3割以上を占めています。これではなかなかお金が貯まりません。一般的に住居費は収入の20~25%と言われています。現状の収入に対して本来であれば5万円前後のアパートが理想です。今後就職をして引っ越しなどを考える場合は、家賃は給与に対して20~25%を目安にするといいでしょう。

食事は外食を減らして自炊を

1人暮らしで食費が5万円かかっていることも見直したいところです。たぶん外食が多いことと、コンビニのお弁当などできあいのもので済ませているせいではないでしょうか? そこで目標金額が貯蓄できるまでは、外食は大学の食堂以外は高いので控えて、なるべく自炊をして下さい。工夫をすれば、この食費は抑えられると思います。

通信費を半分に減らす

もう1つ見直しできるところは、若者に必須の携帯電話。お金がかかるのは当然ですが、携帯電話会社とどのような契約をしているのか再度見直ししてみるといいでしょう。そして、なるべく基本料金以外は使わないようにしましょう。特に自分から電話をかける場合は注意が必要です。同じ携帯会社同士での通話は割引などあるかもしれませんが、実はあまり意識しないのが固定電話への通話。アルバイト先や実家等、固定電話への連絡をよく使っていませんか? 固定電話への割引はあまりありませんので、よく考えて使うようにしましょう。話が長くなりそうな固定電話に連絡をする場合は、携帯ではなく、テレカ(チケット屋さんで安く買えます)を使用して、公衆電話(少なくなりましたが)からかけるのが安くするコツです。

また、携帯電話の契約には、基本料金にいろいろなサービスがセットされているかと思います。最初の契約時にお店に勧められるままあれこれサービスを付けているかと思いますが、しばらく使ってみれば必要のないサービスがあるはずです。例えば留守番電話のサービス契約に関して、電話本体についている伝言機能を使用すればあえてお金を払って留守番電話サービスをセットする必要はないでしょう。これらを見直し、毎月300円でも500円でも節約できるところは節約していくようにしましょう。

レジャーは我慢しましょう

レジャー費が月34,000円もかかっています。アルバイトと学業で大変な毎日。ときに息抜きは必要かと思いますが、ここは「卒業旅行に行きたい」という目標があるので、お金が貯まるまでしばらくは我慢しましょう。お金のかからない息抜きもたくさんあります。近くの知らない町を散歩してみる、図書館で本を借りるなどしてみてはいかがでしょうか? さらに東京であれば素敵な美術館がたくさんありますので美術館巡りも心を豊かにしてくれますので、息抜きにはおすすめです。美術館巡りには多少お金はかかりますが、学生証を提示すれば割引になるところもあります。

4カ月で20万円以上を貯める

食事は自炊を増やすことで5万円を3万円の支出に抑えます。通信費も契約を見直すことで今の支出の6割の6000円に落とします。レジャー費は、まず4カ月間我慢していただきます。他に被服費や雑費等も少しだけ支出を抑えるよう意識し、家計を見直すことで6万円支出を減らすよう努力しましょう。この6万円を4カ月間貯金します。

  • 6万円×4カ月=24万円

実はあえて目標の20万円を超えること考えました。海外旅行は、旅行費用以外に空港までの交通費や食事代、海外旅行保険代、お土産代など結構かかるものです。また、何度も出かけるものではありませんので、自分の記念に欲しいものがあれば、あきらめるのではなく、ここは買うべきかと思います。そこで少し余分に貯金をするとよいでしょう。せっかくの旅行が節約旅行では楽しさも半減です。就職をすると長期にお休みをとることもできなくなりますので、この機会の卒業旅行はぜひ実現させて下さい。いい思い出をいっぱい作って下さい。そして、就職してからも何か目標が決めて、食費、通信費、レジャー費を抑えたこの4カ月貯金をそのまま続けていただくことをおすすめします。

<著者プロフィール>

(株)プラチナ・コンシェルジュ ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士 菅田芳恵

大学卒業後、証券会社・銀行・生保・コンサルティング会社に勤務。49歳から2年間で7つの資格を取得し独立。様々な資格を活かして多面的に話をすることが得意。資産運用、家計管理、ライフプラン、キャリア形成、年金、心の健康についてアドバイス、執筆、セミナー講師として活躍中。