支持率が不支持率を下回るのは、現在の安倍政権が始まって以来初めて

日本経済新聞社とテレビ東京による7月24~26日の世論調査によると、内閣支持率は6月の前回調査から9ポイント低下の38%、不支持率は10ポイント上昇の50%だった。支持率が不支持率を下回るのは、現在の安倍政権が始まって以来、初めてだ。集団的自衛権の行使容認を柱とする安全保障関連法案の衆院通過に際しての混乱が、支持率低下につながったと考えられる。

内閣支持率は、外国人投資家が重視する指標である。世界各国に投資する海外マネーは、一般的に政治が混乱している(政権支持率の低い)国をアンダーウエイト(投資比率を少な目にすること)、政治のリーダーシップの強い(政権支持率の高い)国をオーバーウエイト(投資比率を多めにすること)にする傾向がある。第二次安倍内閣がスタートした2012年12月以降、外国人投資家が日本株を大量に買ってきたのは、以下3点を期待したからである。

  1. 安倍政権は成長戦略と経済の構造改革に熱心

  2. 民主党野田政権から、現在の安倍政権に変わってから内閣支持率が大幅に上昇(2013年の安倍内閣支持率は各種調査で一時8割を超えていた)

  3. 国民の支持が高いので思い通りの経済政策を実行できそう

このような考えから、2013年は外国人投資家が日本株を15.1兆円も買い越した。消費増税があって日本の景気が停滞した2014年は外国人投資家の買い越しは0.9兆円に縮小したが、2015年は7月17日までで2.6兆円買い越し、再び外国人主導の上昇相場を作り出してきた。

主体別売買動向(売買代金差額)二市場1・2部

(出所:日本取引所グループより楽天証券経済研究所が作成、▲は売り越しを表す。信託銀行の売買は、信託勘定を使って売買する主に年金基金の売買動向を示す。)

内閣支持率の低下は、外国人投資家が気にするところだ。このまま低い支持率が長期化すると、外国人投資家の日本株買い意欲を低下させる可能性もあるので、注意を要する。

執筆者プロフィール : 窪田 真之

楽天証券経済研究所 チーフ・ストラテジスト。日本証券アナリスト協会検定会員。米国CFA協会認定アナリスト。著書『超入門! 株式投資力トレーニング』(日本経済新聞出版社)など。1984年、慶應義塾大学経済学部卒業。日本株ファンドマネージャー歴25年。運用するファンドは、ベンチマークである東証株価指数を大幅に上回る運用実績を残し、敏腕ファンドマネージャーとして多くのメディア出演をこなしてきた。2014年2月から現職。長年のファンドマネージャーとしての実績を活かした企業分析やマーケット動向について、「3分でわかる! 今日の投資戦略」を毎営業日配信中。