東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。

株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏((C) サコカメラ)


経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週一週間の相場動向についてお伝えします。日経平均株価の今週末(終値)は前週末比+759円13銭となりました。

今週の高値は24日(金)の1万5377円05銭、一方、安値は21日(火)の1万4761円84銭。高安の値幅は615円21銭でした。今週は大きく乱高下するなかで、プラスとマイナス、陽線と陰線が交互に出る鯨幕相場(くじらまくそうば)となりました。

では、具体的にこの一週間を振り返ってみましょう。

20日(月)の東京株式市場は3日ぶりに反発しました。ECB(欧州中央銀行)による追加の金融緩和期待が高まった他、企業決算や住宅統計が好調な内容となり、前週末の米国市場は大幅高となりました。その流れを引き継いだ東京市場では、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が株式での運用比率を20%台半ばに引き上げる方針との報道が伝わり、断続的に買い戻しが続く展開となりました。日経平均株価は+578円と今年最大の上げ幅を記録し、高値引けとなっています。東証1部の値上がり銘柄数は1802銘柄と、過去最多となりました。

TOPIX業種別指数では、情報・通信、輸送用機器、機械、建設など全33業種が上昇しています。日経平均株価、TOPIXともに3日ぶりの反発となっています。

21日(火)の東京株式市場は大幅に反落しました。前日の米国市場が堅調だった一方、ドイツ、フランスなど欧州市場が反落し、好悪材料が混在するなか、朝方の東京市場は小幅高で始まりました。ただ、その後は先物に断続的な売りが出始め、中国で発表された7月~9月期のGDP(国内総生産)の成長率が前年同期比+7.3%と、5年半ぶりの低水準になったことから、アジア市場全般が軟調に推移し東京市場も売りが広がる展開となりました。TOPIX業種別指数では、機械、パルプ・紙、鉱業、非鉄金属など全33業種が下落。

日経平均株価、TOPIXともに反落となっています。

22日(水)の東京株式市場は大幅に反発しました。前日の米国市場ではS&P500種株価指数が今年最大の上げ幅となり、その流れを引き継いだ東京市場も、序盤から幅広い銘柄に買い戻しが広がり、堅調な展開が続きました。ただ、国内独自の手掛かり材料が見当たらず、その後はこう着感が強まるなか、後場中ごろから今一度、先物主導で買いが入り始め、日経平均株価はほぼ高値引けとなる水準で大引けを迎えています。

TOPIX業種別指数では海運、建設、空運、情報・通信など全33業種が上昇。日経平均株価、TOPIXともに大幅反発となっています。

23日(木)の東京株式市場は反落しました。カナダの銃乱射事件などの報道を受けて、前日の米国市場は下落しました。この流れを引き継いだ東京市場も売りが先行し、序盤は日経平均株価の下げ幅が130円を超える場面もありました。前場中ごろにHSBCが発表した10月分の中国PMI(製造業購買担当者景気指数)が50.4と市場予想(50.2)を上回ったことから、後場に入ると日経平均株価は一時、プラスに転じました。ただ、上値を追う動きは続かず、今一度マイナスに転じると、その後は終盤にかけて売りが優勢となりました。

TOPIX業種別指数では、海運、空運、化学など9業種が上昇。一方、その他金融、石油・石炭、証券、医薬品、情報・通信など24業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに反落となっています。

24日(金)の東京株式市場は反発しました。前日の米国市場が大幅に反発した流れを引き継ぎ、東京市場も朝方から買いが先行しました。ただ、大幅高の展開は30分ほどで一服し、その後、米国でエボラ出血熱への感染の有無を調べていた患者が陽性だったとの報道が伝わると、買いの勢いは鈍り、日経平均株価は上げ幅を縮小する展開となりました。後場に入ってからも、断続的に押し目買いが入る一方、積極的に上値を追う動きは見られず、結局、日経平均株価は+152円で大引けを迎えています。

TOPIX業種別指数では、医薬品、機械、その他金融、情報・通信など30業種が上昇。一方、海運、空運、その他製品など3業種が下落。

日経平均株価、TOPIXともに反発となっています。

来週の予定です。28日(火)~29日(水)には米国でFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催されます。29日(水)には国内で9月分の鉱工業生産指数が発表となります。31日(金)には日銀金融政策決定会合の結果発表のほか、9月分の全国、10月分の都区部CPI(消費者物価指数)、9月分の完全失業率、9月分の家計調査、9月分の有効求人倍率が発表されます。いずれもぜひチェックしておきたいところです。

執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)

経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。