TOTOが投入した新製品「ネオレスト ハイブリッド」シリーズ「AH Type」「RH Type」は「地球にも人にも優しい」トイレだ。地球への思いやりぶりは、節水、節電などを中心に前回お伝えした。では、この新製品のネオレストのどこが人に優しいのか、これから紹介していこう。

人に優しい部分といえば、まずは「清掃のしやすさ」があげられる。自己啓発の本の中には、「人として、トイレ掃除こそ率先して行うべきこと」「トイレ掃除を嫌がってはいけない」といったことが書かれているものがある。その通り、ごもっともである。が、ぐうたら主婦としては、風呂と同じくらい掃除がめんどうなのがトイレ。できれば、やりたくないというのが本音だ。バカモンっという声が聞こえそうだが、そうなんである。

直線的なデザインの「AH Type」と、丸みを帯びた優しい印象の「RH Type」

実は、タンクレスのトイレは掃除がしやすいのを御存知だろうか。今回、ネオレストに心ひかれたのは、節水もあるけど、一番は掃除がしやすい点にある。これまでのタンクありのトイレは、凹凸がたくさんある。だから、雑巾がかけにくいんである。とくに、トイレの奥のほうは手が届きにくいので、ついつい放置しがちになる。ホコリが積もりっぱなしで、いよいよ限界だという時にモップが登場。そして、なんとか清掃を終えるのが現状だ。その点、タンクレスなら、凹凸が少なく平ら。奥のほうまで手が届くから、すすーっと雑巾をあてて、掃除が終わる。この違いは大きい。

実は汚れがつきにくいネオレスト

もうひとつ、トイレ掃除で困るのは、掃除をサボって、放置しておくと、便器に水垢がくっきり出てきて、ぐうたらしていることがバレてしまうのである。あわてて、ブラシでこすって汚れを落とすたびに、水垢がつかない便器が欲しいと嘆きたくなってしまう。このネオレスト、うれしいことにボウル部分や便座部分に汚れがつきにくくなっている。汚れがつきにくいといえば、パナソニック電工のアラウーノを思い浮かべるが、実はネオレストも同様の機能は有している。両方の違いは便器の素材。

汚れが目立つ左側に対して、右側は「セフィオンテクト」を採用しキレイなまま

アラウーノは陶器ではなく、新しいガラス系の素材でできていて、素材そのものに汚れがつきにくい性質になっている。撥水性の新素材なので汚れをはじき、簡単に汚れを落とすことができるのだ。一方、ネオレストは「セフィオンテクト」といって、表面にツルツルの加工を施し汚れがつきにくいようにしてあるのだ。たとえ汚れても非常に落としやすくなっている。TVのCMなどでは、アラウーノが掃除のしやすさでは断然一番のようなイメージがあるが、TOTOのネオレストが清掃の面で、劣っているわけではないのだ。

素材自体に汚れにくいものを使用しているアラウーノに対して、TOTOは陶器という従来からの素材はそのまま変えずに、加工の方法で工夫して汚れをつきにくくしている。なぜそこまで陶器にこだわるのか。

「陶器の食器とプラスチックの食器、陶器のほうが使い心地がいいですよね。トイレも同じです」。TOTOの浅妻令子さん(東京広報グループ)が説明するように、TOTOは陶器にこだわりをもっている。陶器のトイレは作るのに時間がかかる。焼く工程で縮みもするし、職人の技も必要、しかも重い。新しい素材のほうが生産の効率はいいだろう。でも、ラクなほうに走らないで、質が高く、使い心地のいいものを提供することにこだわる。ここにTOTOの格好よさを私は感じる(作るのが難しい商品のほうが、他社が市場に参入しにくく、市場を寡占状態に保てるというメリットがある。それをTOTOが狙っているのかどうかは置いといて……)。品質、お客様の使い勝手を大切にする。その優しさが主婦としてはうれしいのである。

トイレブラシが絶滅する日

これまでのトイレって、掃除しにくいところがたくさんあった。それは二つの「フチ」。一つは便器のフチである。従来の便器にはフチがあり、この裏に汚れがたまるのである。ブラシでゴシゴシこすってもなかなか落としにくいんである。その点、ネオレストは、フチがない。さっと、雑巾で拭いておしまいである。つまり、従来のブラシでゴシゴシ懸命にこするというトイレ掃除のスタイルが変わりつつある。雑巾でさっと拭いておしまいでいいのだ。これはぐうたら主婦にとって涙ものである。

従来モデル(左)と比較すると最新モデルでは、"フチなし形状"でお手入れがしやすい

もう一つの掃除がしにくいフチというのはウォシュレットのフチ裏。ウォシュレットのノズルがブーンと出てくる付近、この裏面はブラシがあてにくい。そこで、ネオレストはウォシュレットのフチも取った。こちらも、雑巾でさっと拭けばOKに。ありがたい。このほか、ウォシュレットと便器の隙間も掃除できる「お掃除リフト」など、すみずみまで、掃除のしやすさを追求している。

ウォシュレット部分もこのとおり。汚れが見えにくかったウォシュレットのフチもなくしている

デザインは「AH」と「RH」の二種類。とんがった感じがAHで、丸みを帯びているのがRH。「AHに対して、もっとやわらかなデザインのものが欲しい、というお客様の声にこたえてRHを用意した」(浅妻さん)という。トイレは単に用をたす空間ではなく、居室の一つになりつつあるようだ。絵やトイレタリーで空間を飾り、音楽や香りまでを楽しむ。そのために、最上位モデルでは、SDカードに好きな音楽を入れて聴くこともできる「オートサウンドリモコン」や、4つの香りを楽しめる「オートフレグランス」などの機能も付いている。そこに、本を持ち込んだら、もう出られない。この際、「トイレの時間を楽しむ」という新しい贅沢を生活に加えてしまうのも悪くないだろう。

ケンウッドとコラボした「オートサウンドリモコン」。音姫機能も搭載

四季を演出するというフレグランスが用意された「オートフレグランス」

価格はフラッグシップモデルのAH3/RH3が379,050円。最下位機種RH0で284,550円。これと別に工事費などがかかる。ただし、テレビなどと同様、販売者によって値引きはさまざま。実際は、見積もりをとって、検討することになる。決して安いとはいえないが、トイレという空間を居心地のよいものに変える、そして掃除をラクにする家事の効率化、これらを目的としたリフォームとして考えたら手頃だといえる。

イラスト:YO-CO