私の知り合いに「夜、よく眠れない」という人がいる。寝ようと思っても、目がさえてしまってなかなか寝つけないのだという。どうして眠れないのか、細かく理由を聞いたわけじゃないけど、仕事上の責任とか、プレッシャーとか、そういったものが肩に背中に、頭の上にとあらゆるところに重くのしかかっているのだろう。ただでさえ、たいへんな仕事なのに、十分な睡眠がとれなかったら身体をこわしてしまうのではないかとひそかに心配している(ぐうたら主婦が心配しても事態が良くなるわけじゃないのだけど)。

現代社会を生きるビジネスパーソンには、眠れないと悩んでいる人が少なくない。その多くはストレスが原因になっているという。パナソニック電工によると、眠りが足りないと感じている人は全体の22%、5人に1人は睡眠に関して何らかの悩みを抱えているのだ。気の毒である。仕事の効率をアップさせるなどと、あれこれいわれているけれど、睡眠を改善できれば、細かな目先の業務改善を重ねるよりもずっと高い効果が得られるはずだ。優秀なビジネスパーソンの多くは睡眠の大切さはわかっているけれど、ストレスでよく眠れないという困った状態に陥っているのではないだろうか。きっと、よりよい睡眠ができる環境を提供することは、日本の未来にとって、とても有益なことに違いない。ということで、今回は環境そのものをよりよい睡眠に適したものに変えてしまう、家庭用睡眠環境システム搭載ベッド「シモンズ レスティーノ」を紹介したい。

睡眠不足を解消できるのなら安いもの

シモンズ レスティーノは、ちょっと見た目にはどこにでもあるシングルベッドと何ら変わりもない。よく見ると、液晶パネルがついているけれど、これのどこに睡眠にいい環境が詰まっているのか、見た目だけではわからない。

6.5インチのポケットコイルを採用したシモンズのベッド「ゴールデンバリュープレミアム」をベースとした「シモンズ レスティーノ」。サイズは110cm×195cm×25cmで、シングルクッションモデル(写真)とダブルクッションモデルが用意される

そもそも、睡眠に影響する環境要素とはどんなものを指すのか。一番大きいのは寝具。マットの硬さなど、寝心地がいいものでなくてはぐっすり眠れない。そのほか寝具以外にも、「光」「音」「温度」など、いろんなことがいい睡眠をもたらす要素としてあげられる。このシモンズ レスティーノは「光」「音」「温度」などについて、コントロールすることですぐれた睡眠環境を提供しようというものである。理屈はわかるけど、いったいどうやっているのだろう、と疑問がわいてきた方もいるに違いない。

ひと言でいえば、シモンズ レスティーノにはセンサーやコントローラーが内蔵されていて、これらがうまく動作することで、睡眠の環境そのものをユーザーに合わせて適した状態にしてくれる。賢いベッドなのである。

5インチのカラー液晶を採用。起床時間や音量などを設定できる

約2年前、パナソニック電工は寝室丸ごとをリフォームして、眠りの質を高める睡眠環境システムを発売した。睡眠前の映像から、夜中目が覚めたときの明かりまで、寝室全体をシステムとしてとらえて、快適な睡眠環境を提供するというものだった。たしかに、優れたシステムだったけど、トータルで数百万円もかかり、私には到底手が届くものではない。今回発売するシモンズ レスティーノは、シモンズとパナソニック電工の共同開発で家庭用に機能を見直したほか、価格を抑えて購入しやすい価格にしている。

安くなったとはいえ、それでも睡眠環境を整える点では至れり尽くせり。以前よりも充実した機能もあって、大満足である。これで睡眠の悩みを解消できるのなら安いものだと思う方も少なくないレベルだといえる。

低音の刺激がいい

では、標準動作プログラムで、どんなことをしてくれるのか紹介していこう。起床時間をセットすると、眠りに就くまでの間にベッドの照明、音響、テレビ、エアコンなどの動作がプログラムによって制御される。まずは枕元についている照明。オレンジ色の刺激の少ない色と、白くて明るい色が用意されているが、お休みのときは、刺激にならないオレンジ色がほんのり点灯して徐々に暗くなっていく。暗闇に対して、私たちはどうしても恐怖心のようなものを感じてしまうものだ。かといって明るくしておくと、まぶしくて眠れない。寝付くときは程よい暗さにしておきたいのだけれど、自分で調光していては目がさえてしまう。自動で暗くしてくれるこの機能は何ともありがたい。

起床時間をセットしてスタートボタンを押すと「おまかせコース」がスタート

プログラムがスタートすると、音楽がスピーカーと足元の「体感サブウーハー」から再生される

音楽は夜用に25曲、朝用に10曲が用意されている。枕元のスピーカーからくつろぎの音楽が流れる。また、外部端子もあるので、iPodなどの携帯音楽プレーヤーをつなげば、好きな音楽を聴くこともできる。音響の機能の中で、とくに「これいいな」と感じたのは「体感サブウーハー」。マットレスの足元に低音用のスピーカーが埋め込まれている。足元と耳元から音楽が鳴って、身体全体が音楽に包み込まれ贅沢な感覚が味わえる。しかも、足元は低音のおかげで、マッサージいすのように震えるのだ(振動の度合いは調整可能)。この震動も腰よりも上にいくと、眠りの妨げになるということから、震動は足のみで上半身に伝わらないように工夫されている。もちろんタイマーでオフする機能も付いているので、つけっぱなしを心配することもない。外部端子で聴く音楽は自動オフにはならないが、内蔵された楽曲を聞くときは、自動でオフになるので安心して楽しめる。

液晶パネルの側面に装備された外部端子にiPodなどの携帯音楽プレーヤーをつなぐこともできる

他方、音楽よりもテレビを見ながら寝たいという人にも対応してくれている。テレビはつけっぱなしにしておいても、シモンズ レスティーノが就寝時に自動でオフ。しかも、消すときの「バチッ」というスイッチ音が鳴らないように静かに消える。連動するのは、今のところパナソニック製だけだが「さすが」という感じ。テレビを見ながらでも安心して眠れるのは、ありがたい。

マットレスの足元に埋め込まれた低音用のスピーカー

スピーカーと「体感サブウーハー」で体を包み込むように音楽がながれる

そのほか、エアコンや寝室の照明なども、連動して消すことができる(同じくパナソニック製のみ)。睡眠の環境を整えるのは、寝る前だけで終わらない。次回は眠りに就いた後の機能について紹介したい。

イラスト:YO-CO