このコラムのタイトルは「明日がないからまとめて見せて」です。この変なタイトルには一応、意味があります。人は誰しも明日なんてどうなるかわからない。だから今日のうち、機会のあるうちに、ドラマDVDをまとめて観ておこう。今を精一杯生きよう。とにかくドラマDVDを観まくろう! もう他には何もしなくていいからっ!! という真摯な願いと、勝手な宣言を込めたものです。最近の沢尻エリカさんや、亀田家のみなさんの姿を見ていると、明日の事など、本当に誰にも、どうなるかわからないんだと感じてしまいます。うん、やはり明日の事など考えずに、これからもドラマDVDを観まくろうと、あらためて勝手に決意しました。

沢尻エリカさんや亀田家のみなさんに限らず、予期せぬ出来事で、今後の状況がまったく変わってしまう事ってありますよね。今回はそんなシチュエーションを描いた新作ドラマDVDを集めてみました。

やはり定番のこれは外せません

些細な出来事で運命が変わってしまうドラマの定番と言えば『世にも奇妙な物語』です。単なるホラーやSFとも違う、様々なタイプの奇妙な短編が毎回タップリ楽しめます。どのお話でも、普通に暮らしていたはずの人々が奇妙な出来事に遭い、大きく人生を変えられてしまいます。

斉藤由貴に塩沢とき…キャスト陣の強烈な組み合わせも魅力

今回は最新作である、『世にも奇妙な物語 2007春の特別編』と初期の名作を集めた『世にも奇妙な物語』を観ました。初期作品はもう17年前のものですが、良い意味でテイストが最新作と変わっていないので、安心して楽しめました。中森明菜、坂上香織、片岡鶴太郎、吉田栄作といった、最近は見かけない懐かしい芸能人が多数出演していて、時代の流れも感じられる作品です。ストーリーテラーのタモリだけが、エバーグリーンな感じでまったく変わりません。ある意味、それが一番怖いですが……。

世にも奇妙な物語(1~4)
発売フジテレビ映像企画部・販売ポニーキャニオン
発売中 各2,625円

世にも奇妙な物語 2007春の特別編
発売フジテレビ映像企画部・販売ポニーキャニオン
発売中 3,990円

教師だって普通じゃいられません

昔から公務員の人々の仕事に対して、「いつも変わらないんだろうなあ」という勝手な思い込みがありました。学校の教師に対しても「毎年、同じ授業ばっかりやってるんだろうなあ」なんて印象を持っていました。ごめんなさい。全て間違いでした。少なくとも、『私たちの教科書』の教師は、本当に激動の毎日を過ごします。というか、ある事件をきっかけに平凡な教師の生活が、まったく予期できないものに変わってしまうのです。

菅野美穂はいじめ問題に取り組む弁護士・積木珠子を演じる
(C)フジテレビ2007

主人公は金八先生に憧れる新任の熱血中学教師・加地耕平(伊藤淳史)。ところが赴任直後にひとりの生徒が校舎から転落死! この事件をきっかけに、加地はまったく予期せぬ日々を迎えることになります。事件の真相を隠蔽しようとする学校。良い子の顔とは裏腹に、病んだ心を持つ生徒たち。問題だらけの教師たち。こんな環境の中で悪戦苦闘する新任教師の姿がこの作品では熱く描かれるのですが、ほとんどの描写が教師や物語に関わる弁護士の目線から描かれているので、とっても新鮮でした。

わたしたちの教科書 DVD-BOX
発売フジテレビ映像企画部・販売ポニーキャニオン
発売中 23,940円

クイズ番組的な解説が凄いです

平凡な女子大生が、ライアーゲームというイベントに関わった事から過酷な騙し合いバトルが巻き起こる『ライアーゲーム』を観ました。主人公は、突然、1億円を無理やり送りつけられて、ゲームに強制参加することに。負けてお金を奪われれば、その1億円がそのまま自分自身の借金になるという、無茶な基本ルールを守りつつ、ライアーゲームが展開します。本当に人生が、1ゲームごとにまったく予期しない方向へと変化し続けて目が離せません。

原作はヤングジャンプに連載されていた『LIAR GAME』。主演の戸田恵梨香がカワイイ
(C)2007 フジテレビ

一応、ドラマという形はとっていますが、ノリは完全にバラエティーのクイズ番組。図表を使ったゲームの解説や謎解きなども、とっても分かりやすいです。

ライアーゲーム DVD-BOX
発売フジテレビ映像企画部・販売ポニーキャニオン
発売中 23,940円

平凡な日常から恐怖の世界に

平凡な人々が、恐怖の世界に飲み込まれていく。そういう物語を書かせたら、間違いなく世界一の小説家と言っても過言ではないのがスティーヴン・キングです。「アメリカでは各家庭に聖書とキングの本が必ずある」と言われるほどの人気作家であるキングの最新ドラマ化作品を観ました。

長編ドラマ『デスペレーション』では砂漠の小さな田舎町を舞台に、恐怖のドラマが展開されます。その町を通過しようとした旅行者たちが、突然恐ろしい警官によって地獄へと突き落とされてしまうのです。「借りた車に麻薬が隠されていた」、「立ち小便をした」「ただ、なんとなく」。様々な些細な理由から死の恐怖と直面する事になる普通の善良な人々と、彼らの反撃が緊張感タップリに描かれます。とにかく、死体だらけで地獄と化した町の描写が強烈です。こういうドラマが映画でなくテレビ放送されているという事実がまた凄いです。

一方、『短編シリーズ 8つの悪夢』では、日本の『世にも奇妙な物語』同様、普通の人々が悪夢の世界へと誘われていきます。送られてきたオモチャの兵隊セットが突如動き出し、家人の命を付狙ったり、地獄と通じている街へ足を踏み入れた夫婦が悲惨な目に遭ったり……。キングの短編集『ナイトメア&ドリームスケープ』などに収録されている作品を中心に構成されており、どのエピソードも短めで、気楽に楽しむ事ができます。SFXも映画レベルですし、ウイリアム・H・メイシー、トム・べレンジャー、ウィリアム・ハートと言ったハリウッドの大物スター達が、各エピソードに主演していたりと、短編なのにやたらと豪華な作りで、驚きました。

スティーブン・キングのデスペレーション
ワーナー・ホーム・ビデオ
発売中 3,980円

スティーブン・キング短編シリーズ 8つの悪夢(ナイトメアズ)コレクターズ・ボックス
ワーナー・ホーム・ビデオ
発売中 7,875円

これだけ、色々なドラマDVDを観ていて感じたのは、やっぱり明日の事など、どうなるか誰にもわからないんだという事です。わりとドラマに簡単に影響を受けてしまいます。もしかしたら、僕は素直な心の持ち主かもしれません。「ワシの心は素直さ世界一じゃあ」とビックマウスを叩いてみましたが、誰にもバッシングされる気配はないので、安心して今夜もひとりでドラマDVDを観続けようと思います。