オランダと言えば、あの黄色くて平べったい大きなチーズをイメージする人も多いだろう。「ゴーダチーズ」に代表されるオランダ産チーズもちろん朝食に登場するのだが、それ以上になじみ深い、もっと言ってしまえば「これなくしてオランダの朝はありえない」存在なのがパンとトッピングのコンビである。

パンとトッピングのチョコレート「ハーゲルスラッハ」はオランダの朝の定番

バターを塗ってチョコをちりばめる!

オランダには、「ロッヘブロート」と呼ばれるライ麦パンをはじめ、「ベスハウト」や「オントバイトクック」、「クレンテンボーレン」などというパンがあり、朝食やランチにパンを食べる文化が根付いている。そのため、パンをメインにして楽しめるトッピングの種類も豊富なのだ。

朝食には数種類ものパンが出てくる。比較的、丸い形状のものが多い

特に朝食に欠かせないのがトッピングチョコレート「ハーゲルスラッハ」。ミルクチョコレートやホワイトチョコレート、ダークチョコレートでできた小さな粒は、食べ物と言うよりケーキのデコレーションのよう。

「ハーゲルスラッハ」が最初に作られたのは1936年のこと。5歳の男の子がチョコレートなどを展開する食品メーカー「Venz」のCEOに「パンのトッピングをチョコレートで作ってほしい」とおねだりしたのがきっかけだという。今や、Venzのトッピングは、どのスーパーマーケットの棚にも見つけることができる。

筆者もお土産でもらった際、ついつまんでそのまま食べてしまったくらいである。食べ方はパンの上にバターを塗り、その上にふりかけのように粒状のチョコレートを振りかける。小さくてコロコロ転がってしまうトッピングが、バターによってしっかり"着地"するというわけだ。

カラフルなチョコレートのトッピング。子供たちに特に人気だが、大人の男性も好んで食べる

クロケットのサンドも

パンのほかには、トマトなどの野菜やフレッシュな牛乳などが並ぶ。朝食のパンは比較的丸い形のものが多いのも特徴と言えるだろう。乳製品も欠かせない。日本人にはなじみのない酸っぱい乳飲料「カルネミルク」もオランダ人は好んで飲む。牛乳に比べて脂肪が少なくヘルシーなんだとか。

朝ごはんの野菜はトマトが出されることが多い

オランダには酸っぱい乳飲料「カルネミルク」も

典型的なホテルの朝食にはパンと数種類のチーズやハム、果物、乳製品が並ぶ(右の写真:OHKI Shigeru)

オランダの「クロケット」は俵型で中身はクリーミー

典型的なオランダのサンドイッチは、具は1種類というシンプルなものが多い

チーズ専門店のみならずスーパーにも様々なチーズが売られており、ゴーダやエダムといったチーズで知られる街では、いまも伝統的な取引が行われている

ホテルなどのモーニングビュッフェでは、ハムやゴーダやエダムなどの様々なチーズのほか、スープ、コロッケの元祖とも言われている「クロケット」も登場する。「朝からこんなに食べて大丈夫?」などと思ってしまうかもしれないが、パンは比較的消化が早いのできっと昼ごろにはまた「おなかすいた!」と言っているはず。遠慮せず、オランダの朝をおなかいっぱい楽しんでいただきたい。

※企画協力:オランダ政府観光局