こんにちは。上杉さくらです。ラジオ聴いていますか? 最近、マスコミ関係者からこんな話を聞きました。「(東京の某ラジオ局の話)あるパーソナリティのポッドキャストが、局ランキングNo.1、No.2なんだけど、ポッドキャストのユーザが、(実際の)ラジオ放送になかなか来ないんだよね。だから、いっそのこと、携帯ラジオをプレゼントしちゃおうかって話も……」

う~ん、ラジオが好きな私としては、残念な話ですけど、ネット時代の今をよく表しているのかもしれません。ラジオでは受信することができない地域のユーザも、インターネットのポッドキャストならば、好きな時間に簡単にパソコンで聞くことができるし、ダウンロードしたデータをiPodなどに取り込んで、聞くことができるのですから。

RCC中国放送のQSLカード。1970年代

そうそう、全然関係ないのですが、私は少年の時から阪神タイガースファンです。少年の頃は、ラジオを窓際においてRCC中国放送の阪神-広島戦の放送をよく聞いていました。遠い放送局のため、ノイズにまぎれて、アウトかセーフかわからないってこともよくありましたが、今やストリーミング放送やポッドキャストでラクラク受信という時代とは、びっくりしてしまいます。

ちなみに、BCLがはやっていたあの25年前の1973(昭和58)年10月22日、優勝をかけた巨人-阪神戦を、巨人ファンの少年の家に行って"カラー"テレビで観戦しました。最終バッター、背番号31番カークランドが三振に終わった光景が、いまだ目に浮かんできます。負けた瞬間、甲子園球場の阪神ファンが暴徒化して、テレビカメラを破損、負傷者多数、金田正泰監督がファンへお詫びしたという事件がありましたね。そういえば、今年も阪神優勝のがしました……(しくしく)。

ポッドキャストとラジオの楽しい関係~RFIをしゃぶりつくせ!

こんな時代ですが、私、ラジオを聞いてます。かつ、ストリーミング放送やポッドキャストとも楽しくつき合ってます。

そんな私の一番のお気に入りのラジオ局は、RFI(エレフィ/ラジオ・フランス・アンテルナショナール)です。ニュースの多さと信頼性、そして、軽快な語り口が特長です。

RFIは今や独自のQSLを発行しない。 送信所を管理・運営しているTDFに受信報告書に送って確認してもらう

RFIが発行していたQSL(1980年代)

RFIのサイトを見てみると、その充実度に驚かされます。高級紙『ルモンド』や『リベラシオン』のサイトが新聞の部数削減のあおりを食ってか、サイトのスカスカ感が拭えないのに対し、RFIのサイトは、一見しただけで、コンテンツがてんこもり状態であることがわかります。

特に、ニュース(actualite)には力を入れており、仏語圏をはじめとする国際ニュースは、その質、量ともに世界の放送局でトップクラスでしょう。関連ニュースへのサイト内リンクも多く、また整理されて見やすいこと、そして既存記事がMP3で聞けるということも、ユーザの視線に立っているからでしょう。ニュースに関していうと、日本のマスコミとは観点が違う報道が多いので、とても参考になります。また、アフリカや中近東など、日本では報道されにくいニュースや解説も豊富なので、他のアフリカ局に受信報告書を出す時の参考にも使えます。

RFI以前、国際放送をしていたのが、RADIODIFFUSINON-TELEVISION FRANCAISE(Cはセディーユ)。写真はそのQSL。RFIは1975年に設立された

RFIのペナント。フェルト製で小さくてかわいい

しかし、DW(ドイツ)、Radio Nederland(オランダ)など、ほかのヨーロッパの放送局に比べて、RFIのアナログのラジオ放送、特に英語の放送は、日本では馴染みが薄いようです。

というのは、RFI自体、もともとアフリカの仏語圏向けの放送に力をいれて設立された放送局であり、アフリカ向けの放送が中心で、なおかつフランス語に比べ英語の放送時間が少ないこと、東アジア向けの短波放送に関しては、中国語放送、もしくは、週末それぞれ30分間のインドシナ向けフランス語放送しかないという状態だからです。

ところが、日本でも秋から春にかけての夕方16時~17時台にかけて、アフリカ向けのフランス語の短波放送を、良好に聞くことができます。この季節の夕方はヨーロッパからアフリカ向けの短波放送をいろいろとキャッチすることができます。アナログラジオで聞いて、インターネットのサイトで同時に放送を聴いたり、もっと関連記事を掘り下げる、というのが、現代のラジオの楽しみ方のひとつかもしれませんね。

ポットキャストの登録も簡単です。サイトの「Podcast」というタブを選択し、登録したい番組の名前をクリック。Pの字が付いたヘッドフォンマークの「s'abonner」(定期登録)を選ぶと、ウィンドウが開き登録URLが表示されますので、これをコピーして、「iTunes」の「詳細」メニューの「Podcastを登録」を選んで出る「Podcastを登録」ウインドウにペーストすれば、OKです。 

ポットキャストの登録方法

RFIのポットキャストの登録:サイトの「Podcast」というタブをクリックし、登録したい番組の名前を選ぶ。ここでPの字ヘッドフォンマークの「s'abonner」(定期登録)を選択すると、ウインドウが開き登録URLが表示されるので、これをコピー。普通のヘッドフォンマークをクリックすると、オンデマンド放送が聞ける

「iTunes」を起動させ、「詳細」メニューの「Podcastを登録」を選ぶ

開いた画面に先ほどコピーした登録URLをペーストし、「OK」ボタンを押す

番組が「iTunes」に登録され、最新の番組がダウンロードされる。バックナンバーも聞きたい場合は、「入手」ボタンを押す。この記事の場合「iTunes」のバージョンはMac版、7.6.1。他のOSやバージョンの「iTUnes」でも基本的に同じ。「iTunes」の細かい設定は「環境設定」で行える

なお、RFI自体は現在ではQSLを発行していません。TDFという送信所を管理・運営している会社に受信報告書を送ると、QSLを発行してくれます。

サイト情報

RFI
http://www.rfi.fr/
ストリーミング放送を聴くには、左上の「ecoute rfi」をプルダウンして好みの番組を選ぶ。また、スケジュールは「Capter RFI」タブをクリックし、表示される世界地図からターゲットとなっている地域を選ぶ。短波を聞きたい場合は、表示された赤字の「Ondes courtes」を選ぶ。「Ondes courtes」がない場合は、当該地域向けの短波放送はないということになる。

TDF
http://www.tdf.fr/

インターネットでラジオ局に親しみを~RAEの日本語放送と、DW-TVの「ドイツ語オリンピック」の場合

ポッドキャストやストリーミング放送は、珍しい局を聞く「DX派」やベリカードを集める「QSLカード派」や、番組を楽しむ「リスニング派」や外国語を勉強するために聞く「語学勉強派」向きかもしれません。遠い異国の放送はなかなか安定して聞けないので、インターネットは便利です。

土日以外の祝日は、私はアルゼンチンのRAEのストリーミング放送を聞いています。日本語放送は、混信のためなかなか日本では聞けない珍局です。ところが最近始まったストリーミング放送は、(当たり前ですが)明瞭にアルゼンチンの日本語放送を楽しめるのですから、うれしいですよね。タンゴ音楽が頻繁にかかりますので、音楽好きにもお薦めです。

10月13日の放送を聞いたところ、RAEの佐藤アイデーアナウンサーが10月限りでおやめになると、自らおっしゃっていました。私は、アメリカの砂漠で、月光浴をしながらRAEの日本語放送を聞いたことがあります。その時の放送も佐藤アナウンサーが担当されていたのではないでしょうか。本当にお疲れさまです。これからのご活躍をお祈りします。

RAEのQSLカード。返信があるまで1年はざら。3年後に返信という場合もある

終わりに

『ブエノスアイレス 雑貨と文化の旅手帖』(栗本斉著 1,869円(税込)ISBN978-4-8399-2530-7)

ミズホ通信社製のループアンテナを売っている大洋レコード(東京・神楽坂)さんにも本書を置いてもらっています。ありがとうございます

マイコミジャーナルを運営している毎日コミュニケーションズでは、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスの文化についての書籍『ブエノスアイレスの雑貨と文化の旅手帖』を刊行しています。タンゴの話はもちろんのこと、アルゼンチンのミュージシャンのCD、ファッションまで盛りだくさんの内容です。ぜひ、書店でご覧ください。

アルゼンチンではドイツ移民が多いために、ドイツ語を話すひとびともかなりいると言われています。そのためか、ドイツ語放送も行われています。

そういえば、ドイツのDW-TV(ドイチェ・ヴェレTV)が放映した「ドイツ語オリンピック(Internationale Deutscholympiade、略称:IDO)」のルポルタージュでも、日本やアフリカの学生に加えて、アルゼンチンの学生の3人に焦点を合わせいました。

このドイツ語オリンピックとは、「国際ドイツ語教員連盟の主催によって4年に1回開催されるもので、各国の代表がドイツ語力を競う(Einzelarbeitenの部)とともに、プロジェクトチームに分かれてプレゼンテーションを行ってその成果を競う(Gruppenarbeitenの部)」大会のことです。

私はインターネットのストリーミング動画で、DW-TV(DW-TV Europa live)によるこのドイツ語オリンピックの番組を途中から見たのですが、ドイツ語にかける学生さんたちの情熱がうまく引き出された番組に、チャンネルを替えることなく!(=ほかのサイトに浮気することなく)、最後まで楽しんで見てしまいました。日本から参加したMaria Tekiさんにも焦点を当てたこの番組では、ドイツ語オリンピック自体の取材だけでなく、日本での日常生活までも取材し、番組内容も豊富でした。A2(Grundstufe)分野でみごと入賞したMaria Tekiさんの受賞後の言葉「日本だとみんな英語だけど、私はドイツ語をもっと極めたい」(私はドイツ語がよくわからないので、おそらく、そんなことをおっしゃっていたのではないかと思う)を、しめに使うなど、なかなかニクい内容でした。

アナログのラジオで聞いた局のサイトを見て、ストリーミング放送やポッドキャストを楽しんで、さらにその局のファンになる。そんな楽しみ方も21世紀のラジオの楽しみ方かもしれませんね。

サイト情報

RAE
http://www.radionacional.com.ar/
『ブエノスアイレス 雑貨と文化の旅手帖』
http://book.mycom.co.jp/book/978-4-8399-2530-7/978-4-8399-2530-7.shtml
ドイツ語オリンピックの結果発表のページ
http://www.initiative-deutsche-sprache.de/aktuell.php?id=72
DW-TV Europa live(英語/ドイツ語)
http://www.dw-world.de/
(※右下の「DW-TV Europa live」をクリック)