――ここまでのお話をうかがっていて、仲睦まじくも切磋琢磨する『プリアラ』の収録風景が目に浮かびました。では、今回の「映画プリキュア」シリーズでのアフレコはいかがでしたか?

TVシリーズの「プリキュア」メンバーで築いてきた絆が映画版だからといって"緊張感"に変わるということがあまりなく……。これでいいのかなと思うくらいにいつも通りでした(笑)。アフレコはとても楽しくて、あっという間でしたね。

――キャストの面でいえば、今作では映画オリジナルキャラクターをゲスト声優である尾上松也さん・悠木碧さんが演じられていますよね。

尾上さんはシエルの師匠「ジャン=ピエール・ジルベルスタイン」役、あおさん(悠木碧)は妖精のようなパティシエのおばけ「クック」役を演じられています。尾上さんは別の世界からの風を「プリキュア」に吹かせてくれて、また、あおさんは「このキャラクターはあおさんの声でしゃべりそうだな」と感じるくらいピッタリの役でしたので、間違いないキャスティングだなと思いました。

――ゲスト声優のお二人とはアフレコもご一緒だったのですか?

尾上さんは残念ながらご一緒できませんでしたが、あおさんとは一緒に収録することができました。あおさんは「シンフォギア」シリーズで共演していて、仲良くしてくださっている先輩なので、今回もご一緒できたのがうれしかったです。

――悠木さんは『プリアラ』を見て「プリキュア」のファンになったというコメントも寄せていらっしゃいましたね。

あおさんは『プリアラ』を応援してくださっている一ファンで、アフレコでもその愛をいっぱい感じました。

――愛がどのような形で表現されているのか、ぜひ劇場で見てみたいと思います。ゲストと関連するお話として、前シリーズ『魔法つかいプリキュア!』のメンバーも本映画に登場すると発表がありましたね。

そうなんですよ! まさかの共演です。

――発表があったときは私もテンションが上がってしまいました(笑)。『魔法つかいプリキュア!』といえば、以前にパルフェ役が決まったとき、朝日奈みらい(キュアミラクル)役の高橋李依さんと「劇場版で共演できたらうれしいね」というお話をされていましたね。

あの時は何も知らなかったので、台本を見てビックリしました。李依ちゃんとはとても仲が良く、親友と呼べる存在の一人なんです。でも、アフレコ時に李依ちゃんと会ったときは"オーラ"を感じて緊張してしまいました。

――"オーラ"ですか!!

李依ちゃんをはじめ、『魔法つかいプリキュア!』の皆さんはその場にいるだけで、先輩としての風格のようなものがありました。李依ちゃんとは同世代で普段はおしゃべりもたくさんしますが、プリキュアの戦士としての姿はとても大きくて、すごいなと思いました。

――レジェンド感のようなもの?

そうですね。雰囲気はいつもの李依ちゃんのままで気さくな感じでしたが、アフレコ時の背中はキラキラ輝いていて「あぁ、これが『プリキュア』をつないできた人たちの絆やチーム感なんだろうな」と思いました。アフレコは久しぶりだったみたいですが、それぞれの個性がセリフやシーンにしっかりと現れていて……。とにかく圧倒されました。

――『魔法つかいプリキュア!』の歴史ここにあり、という感じですね。

私たち『プリアラ』のメンバーもこれから先そういう存在になれればいいなという、自己投影するような目でも見ていました。アフレコが終わった後にレギュラーメンバーで、「いつか『プリアラ』の皆さんだ!と言ってもらえるようになるのかな」ということを話しましたね。

――熱い思いを持つ水瀬さん、そして『プリアラ』のチームワークがあれば、きっとそういう存在になれると思います。"絆"と関連する話として、今回の映画ではシエルと師匠であるジャンとの関係性がテーマの一つになっている気がします。

そうですね。ジャンは発想が独創的なのですが、天才のパティシエです。シエルや双子の弟であるピカリオも彼との出会いがきっかけでお菓子作りの楽しさや魅力を知りました。本当に憧れの師匠ではあるのですが、本作ではジャンのもとで修業していたころと、いちか達と一緒にスイーツを作る今のシエルとの時間軸のズレが物語の鍵となっています。そういう観点でいえば、ジャンとシエルの関係性にも注目してほしいですね。

――孤高の天才と呼ばれるジャンのもとで修業していたシエルが、再び師匠と出会うことでどうなるのか……気になります。

ぜひ劇場で見てください(笑)。

――ぜひ(笑)。先ほどから師匠のお話が出てきていますが、水瀬さんにとって師匠と呼べる存在はいらっしゃいますか?

うーん……。身内ではありますが両親がある意味で師匠かもしれません。この業界に入りたいという私の夢を応援してくれて、支えてくれた二人なので、恩師のような存在です。

――尊敬するところや教えてもらったことがたくさんあると。

そうですね。なかなか一歩を踏み出す勇気がない場面でも家族が背中を押してくれたり、時には寄りかからせてくれたり。すごく支えられています。私が仕事を頑張る源の一つにもなっていますね。両親が喜んでくれるなら頑張ってみようという気持ちにもなれるので、師匠のような存在なのかなと思いました。

――とても家族思いですね。

一人っ子だからかもしれないです。

――私は三人兄弟の末っ子なのですが、甘えてばかりで……ダメですね。

ダメなんて、そんな(笑)。三人兄弟でいらっしゃるんですね。私が演じているシエルには双子の弟のピカリオがいて、TVシリーズでも二人の過去が描かれました。あの姿を見ているとやっぱり兄弟や姉妹は繊細な関係なんだなと感じました。でもそれを乗り越えたら強い味方になってくれる。シエルたちを見ていると、兄弟もいいなと思いました。

――お話をうかがっていて、水瀬さんは非常に情を大切にされる方なんだと感じました。だからこそ「プリキュア」にも選ばれたんだと思います。本日は色々とお話しいただきましてありがとうございました。最後に本作の見どころなど、読者の方へメッセージをお願いします。

今回の映画はスイーツの本場・パリが舞台です。ただ、パリで開かれるコンテストでシエルは、あることをきっかけにスイーツづくりが上手にできなくなってしまいます。そんなシエルをいちご坂で出会った仲間が支えてくれる。彼女にとって、いちご坂の仲間がどれくらいの存在なのか、この映画で実感できると思います。不調なシエルが仲間に支えられながら頑張りますので、ぜひ皆さんにもシエルを応援してほしいです。

また、今回はキラリンが「キュアキラリン」という形で、「キュアパルフェ」の格好で映画に登場します。どういう経緯でこの姿になってしまうのか、この姿のまま果たして戦えるのか(笑)。その点にも注目していただければと思います。本作は感動だけでなく、笑いにも溢れた作品になっていると思いますので、ぜひ劇場に足を運んでみてください!

(C)2017 映画キラキラ☆プリキュアアラモード製作委員会
撮影:板橋淳一