実は、販売数量が伸びなかったのはドコモの販売施策にも原因がある。2013年5月、ドコモは2013年夏モデルとして、Xperia AとGalaxy S4の2機種を一押し端末として販売していく「ツートップ戦略」を発表した。この影響をモロに受けたのが、MEDIAS Wだった。

MEDIAS Wは2013春モデルとして2013年の4月18日に発売。ツートップ戦略の2商品はいずれも2013年5月17日、23日に発売されている。つまり、MEDIAS Wの"旬"は1カ月しかなかったわけだ。結果として、販売数量は大きく伸びることがなかったようだ。こうした隠れニーズがあるものを復活させようというのは自然な考えだろう。

復活の理由その2は、2画面スマホの能力を生かせるようになったことだ。MEDIAS Wでは、2画面スマホの特徴を活かしきる能力に乏しかった。マルチタスク機能は当時のOSではサポートされておらず、2画面で別々のアプリを動かせたのは予め決められた少数のアプリのみ。サードパーティー製アプリは動かず、利用上の大きな制約があった。CPU自体もOSに対して非力であったという。

対して「M」では利用上の制約はほとんどなくなる(YouTubeアプリを2画面別々に起動するなどは不可)。サードパーティー製のアプリも動作する。OSがマルチタスク機能をサポートし、CPUの性能も向上したため、今になってMEDIAS Wのコンセプトが制約少なく実現できるというわけである。

悲運のスマホ

MEDIAS Wを簡単に評価すれば、登場した時期が悪かったことに尽きる。まさに"悲運のスマホ"である。コンセプトを叶えるにはスペックが足りず、販売面でも逆風だった。

対して「M」にはハードルが見当たらない。個性が強すぎるだけに、万人ウケするスマホになりにくそうだが、MEDIAS Wの長期利用者ならびに新規に特定層のニーズを掴めれば、2代、3代とモデルチェンジをしていける、そんなスマホになれる可能性は十分にありそうだ。