ホンダは国内の四輪生産体制を再構築する。具体的には埼玉県内にある2つの完成車工場を集約し、寄居工場に一本化する計画。国内の生産能力は現状の年産106万台から同81万台へと減るが、今回の生産集約には、電動化や自動化といった自動車業界の「大転換期」(ホンダの八郷社長)への対応策という側面もある。

ホンダが国内の生産体制を再編する(画像は青山のホンダ本社)

国内拠点は3カ所体制に

狭山は年産25万台の工場で、生産している車種は「ステップワゴン」「オデッセイ」など。寄居は2013年に稼働を開始した狭山と同規模の工場で、「ヴェゼル」「フィット」などを生産している。ホンダは今回、最新の生産技術を備える埼玉製作所(寄居工場)に埼玉県内の生産を集約する。集約で発生する費用・投資額は非開示。狭山の従業員は寄居を中心に異動させることで雇用を維持するという。

埼玉の集約は2021年度までに完了する見通し。これで同社の国内生産は、埼玉製作所、鈴鹿製作所、子会社の八千代工業(四日市製作所)の3カ所になる。各拠点の役割分担としては、埼玉では「大きめのクルマ」(八郷社長)を生産し、鈴鹿では競争力のある軽自動車およびスモールカーをカバーする。八千代工業は完全子会社化し、強いニーズがあるという軽自動車などの少量モデルを効率的に作る拠点として引き続き活用していく構えだ。

会見で生産体制の再編を発表するホンダの八郷隆弘社長

生産能力減少も稼働率は適正化

国内の生産能力は現状で年間106万台程度だが、埼玉の集約が済むと狭山工場の25万台が無くなるので、年間81万台規模へと減少する。八郷社長によれば、ホンダは日本で国内向け70万台、輸出10万台を生産する計画なので、今回の集約により、国内の稼働率は100%に近づくという。国内販売や輸出が計画より伸びたとしても、国内には残業対応などで最大90万台程度まで生産できる能力を持たせてあるそうだ。

今回の集約により、余剰気味だった国内の生産能力は適正レベルに近づくが、それがホンダの真の目的ではないらしい。自動化や電動化といった業界の「大転換期」(八郷社長)に備えて、日本のモノづくりを強化し、グローバルな生産体制をリードしていきたいというのがホンダの考えだ。