Samsung Electronicsは30日(現地時間)、独ベルリンで開幕する世界最大級の家電関連展示会「IFA 2017」に合わせて発表会を開催した。直前には米ニューヨークで新スマートフォンとして「Galaxy Note8」を発表しており、欧州でのお披露目ということに加え、「your new normal(あなたの新しい普通)」をテーマに今後の戦略や新商品が紹介された。

「新しい普通」がテーマ

スマートフォンがすでに発表済みだったせいか、モバイル系のスマートウォッチに加え、テレビ、洗濯機、掃除機といった家電にも話題が広がっていたが、やや散漫な印象のある発表会ではあった。

「新しい普通」は、基本的にはスマートデバイスによって実現する生活の進化だ。発表済みのGalaxy Note8はその一端であるし、それと連携するスマートウォッチとして「Gear Sport」と「Gear Fit2 Pro」が発表された。これはウェアラブルデバイスによる新たなフィットネスやウェルネスの体験を実現することを狙う。

スマートウォッチであり、スポーツに関する機能を強化したGear Sport

Gear Sportは、円形のベゼルが回転して操作するUIを継承。1.2インチのSuper AMOLEDを搭載したスマートウォッチで、高度な防水性能を備えており、新たにSpeedoと提携することで、水泳のトレーニングアプリを同梱した。心拍センサーも備え、自動でアクティビティを記録する機能など、腕時計としてもアクティビティトラッカーとしても利用できる機能を備えた。

Gear Sport

それに加えて、同社のIoTデバイスを操作する機能やPowerPointの操作、Gear VRの操作、Samsung Payの利用といった機能を搭載。Speedo以外のパートナーによるサービス連携も豊富に用意されている。

Gear Fit2 Proは、Gear Sportと同様に高い防水性能、Speedoとの提携による水泳トレーニングアプリをはじめとしたパートナーによるサービス連携、心拍センサーなどの機能を搭載。

Gear Fit2 Pro

1.5インチの湾曲タイプのSuper AMOLEDを採用し、GPSを内蔵することで単体でのトラッキングにも対応した。

さらに完全ワイヤレスイヤホンの「Gear IconX」も登場。Bluetooth接続によるケーブルレスのイヤホンで、新たに同社の音声アシスタント「Bixby」による音声コントロールにも対応した。ただし、現状ではBixbyは英語など一部言語での対応にとどまっている。

Gear IconX

単体でのランニングのトラッキング、音声によるエクササイズ、内蔵メモリ(4GB)への音楽保存といった機能も搭載するなど、運動時の併用で新たな体験を提供する。

こうした「新たな普通」の実現に向けての3つの要素として、Samsung EouropeのCMOであるDavid Lowes氏は、クラフトマンシップ、賢い接続性、不可能への戦いという3つの点を挙げる。

3つの要素

David Lowes氏

テレビは、量子ドット技術を使った「QLED TV」シリーズとして55型、65型の「Q8F」を発表。HDRの新規格である「HDR10」を拡張した「HDR10+」を紹介し、パナソニックや20世紀フォックスと連携して2018年1月からライセンスを開始すると発表した。ロイヤリティフリーでの提供になるという。

QLED TV

2つのサイズを用意

14モデルを展開する

さらに、テレビ向け動画配信「TV Plus」ではRakuten TVとのパートナーシップによる映像配信を提供。音楽では、Samsungが買収した音響メーカーのHarmanやそのブランドAKGが紹介され、今後の製品展開を示唆した。

Rakuten TVとのパートナーシップも

32:9のウルトラワイドディスプレイも

そのほか、洗濯機や冷蔵庫の新製品も発表し、IoTの話もされたが、全体的にスマートデバイスとテレビ、家電を連携させるというスマートホームの領域までの話にはなっていない。「新たな普通」をいかに作り上げていくか、それを模索しているといってもよさそうだ。

洗濯機と掃除機の新製品