「ビットコイン(Bitcoin)」に代表される仮想通貨の世界には、「オルトコイン(またはアルトコイン:Altcoin)」と呼ばれるさまざまな通貨が存在する。もともとはビットコインの技術基盤である「ブロックチェーン(Blockchain)」を基にそれぞれのニーズや用途に発展改良していった親戚のような関係で、「Alternative (Bit)coin」つまり「ビットコインではない(仮想)通貨」の総称として用いられている。ここでは代表的なオルトコインを紹介していく。

シェアを拡大するオルトコイン

ビットコインの取引が開始されたのが2009年で、その技術をベースに開発が行われたオルトコインは当然ながら後の年代になって登場している。そのため、歴史的経緯から仮想通貨(「暗号通貨」とも呼ばれる)における金額シェアのほとんどをビットコインが占めており、1割に満たないシェアを残りの多くのオルトコインが分け合っているという状況がほんの2年ほど前まで続いていた。だが今日、仮想通貨の認知度向上と用途の拡大により多くの資金が市場へと流れ込み、すでに高値感のあるビットコインではなく、オルトコインにもまんべんなく資金が環流されつつある。

ビットコインとオルトコインの過去4年間の金額シェア推移(出典: CoinMarketCap)

こうしたオルトコインで代表的なものは古参の「リップル(Ripple)」や「ライトコイン(Litecoin)」、近年急速に利用が加速している「イーサリアム(Ethereum)」などで、利用者拡大によってビットコインの金額シェアが5割を切るようになってきている。この傾向は今年2017年春頃にビットコインの取引価格が急騰を始めたあたりから顕著であり、価格上昇にともなって通貨そのものの全体金額が膨れあがっている一方でシェアは低下していくという奇妙な現象となっている。

2013年9月3日時点の金額シェア(出典: CoinMarketCap)

2017年8月22日時点の金額シェア(出典: CoinMarketCap)

これが意味するのは、これまでビットコインに集中していた資金が分散しつつあることの現れだろう。興味ある方はCoinMarketCapのデータを参照いただきたい。なお、CoinMarketCapのランキングでは「ビットコインキャッシュ(Bitcoin Cash)」が上位にきているが、これはビットコイン分裂騒動を受けてビットコインキャッシュがビットコイン側の取引履歴をそのまま受け継いでいるため、通貨の発行枚数が両者でほぼ同等ということに由来する。実際にはビットコインキャッシュの取引規模はもっと小さく、時間の経過とともに本来の規模へと収束していくと予想している。