インド、中国、米国…主要市場で進む電動化への流れ

すでにアジアでも、2017年4月にインド政府が「2030年までに販売する車を全てEVにする」との目標を表明している。中国も国策としてEV優遇を鮮明にしており、近くニュー・エナジー・ビークル(NEV)規制を導入する。日本では、政府が2030年までに新車販売に占めるEV・プラグインハイブリッド車(PHV)の割合を5~7割にするとの目標を掲げている。

トランプ大統領による「パリ協定離脱」の懸念はあるものの、米国ではカリフォルニア州のゼロ・エミッション・ビークル(ZEV)規制が、ニューヨークなど他の州にも波及している。このZEV規制は段階的に強化されており、2018年からはPHV、EV、燃料電池自動車(FCV)以外は規制され、より厳しいものとなる。米国では、国よりも州ごとの規制で電動車への転換を余儀なくされる流れにあるのだ。

ちなみに、ここでカリフォルニア州のZEV規制について説明しておくと、この規制では自動車メーカーに販売台数の一定比率以上を電動車両にするよう定めている。NEV規制はZEV規制の中国版ともいうべきものだ。

このように、世界の自動車市場はゼロ・エミッション化の方向に進みつつある。ただし、ガソリン・ディーゼルエンジンの内燃機関には100年の歴史があり、その進化も含めたハイブリッド車(HV)の技術革新から、家庭で充電可能なPHVが生まれ、そしてEV、FCVへという風に、実用化のステップを踏んでいくというのが従来の方向性だった。

クルマの電動化は、内燃機関からHV、PHV、EV、FCVへと段階的に実用化のステップを踏むとの見方があったが、ここへきてEVへの集中が目立つようになってきた(画像はトヨタ自動車のFCV「ミライ」)

つまり、ガソリンエンジン車とディーゼルエンジン車の双方で排ガスを減らす技術革新が進む一方で、実用的な電動車を商品化するための技術開発とコスト改善が進行していたのだ。

しかし、同じ電動車ではあるが、航続距離に課題があるEVに対し、FCVは水素充填インフラやコストに課題を抱えており、将来のゼロ・エミッション車の「本命」は、コストダウンや電池技術改革の動向とも相まって、確実な方向は不透明ともされてきた。