金融×◯◯といった、新たな◯◯テックが誕生する。クロスインダストリーがあるべき姿になる――。そう語るのは富士通の金融・社会基盤営業グループ 金融イノベーションビジネス統括部 ビジネス企画部長 佐藤 和英氏だ。同社は8月6日いっぱいまで「FUJITSU Cross Industry API Contest Supported by Finplex」の参加受付を行う。

同コンテストでは、金融ソリューションを体系化した同社の「Finplex」で提供しているAPIを活用し、異業種とコラボレーションしたビジネスアイデアを広く募ったものだ。佐藤氏は、「生活は金融だけでは成り立たず、フィンテック以外にもヘルスケアや教育など、さまざまな業種とのコラボレーションが必要になる」と語る。

富士通 金融・社会基盤営業グループ 金融イノベーションビジネス統括部 ビジネス企画部長 佐藤 和英氏

コンテストで130のAPIを提供

今回、テストに合わせて公開されるAPIはおよそ130個。通常は公開していないAPIも存在しており、金融以外もヘルスケアや車、保険、教育といった多業種のものを用意した。

「私たちの顧客は多くがエンタープライズ。顧客基盤はあるし、これまでのSIでつちかった知見やプラットフォームはある。イノベーションのために、サードパーティからアイデアを募ることで、より良いものを作りたい」(佐藤氏)

予選で20社程度まで絞り、本選には10社程度を選出。メガバンクと大手損保も最終審査員として加わる予定で「医療系や教育分野なども、聴講者として参加を検討している」(佐藤氏)。当日は、富士通と金融機関、フィンテック企業らのコンソーシアム「Financial Innovation For Japan」のイベントが同時開催される予定で、業種・業態の垣根を超えたマッチングも目指す構えだ。

現時点の問い合わせは数十社で、FIFJ会員が多いという。ISIDらが運営するフィンテック拠点「FINOLAB」でも募集を行い、ベンチャー企業からの問い合わせもあるとしている。

なぜフィンテックが古いのか

コンテストでは、APIのエコシステムをフルに活用してもらい、大手企業とのコラボレーションを目指すだけでなく、「実験的にアプリを作ってサービスインまで持っていく」(佐藤氏)。例えば、残高照会APIなどは単体で提供しても、すでにメガバンクもAPIを公開していることから富士通との接続でメリットは見いだせない。

富士通が介在する理由は、生体認証システムとの連携や、前述のヘルスケアAPI、教育関連APIなど、より複合的なシステムの構築を簡素に構築できる点にある。APIはあくまでコンテスト内での公開のものもあるが、「フィンテックで言えばオープンAPIとして定義して良いものとダメなものがある。誰でも見ていいわけではないものは線を引く」(佐藤氏)。