【レポート】

30年前の銀河から襲来!? 池袋「火星カレー」でロマンティックな味に遭遇

夏、イコール、カレー。暑さが増すほどに、やっぱり食べたくなるよね! でも家のカレーも、近所のカレー専門店にも飽きちゃった。そんな、常にカレーのことばかり考えているカレージャンキーにオススメしたいのが、池袋にある「火星カレー」(東京都豊島区)だ。どうやら普通のカレー専門店じゃなさそうだぞ!?

池袋にある「火星カレー」(東京都豊島区)にやってきた。繁華街の中でも思いっきり目立つ看板

30年前から温められてきた神秘のカレーレシピ

同店は、JR・東京メトロ「池袋駅」から徒歩5分以内。飲食店の多い繁華街の中に、ひときわ目立つ「火星カレー」の看板があった。2014年にオープンして以来、近くにある立教大学の学生をはじめ、会社員や近くのデパートにお勤めの人など、多くの人に愛されている。中には、3日間で5回来たこともあるという固定ファンもいるんだとか。でも、やっぱり気になるのはその名前。そこで、オーナーの綾部和さんに聞いてみた。どうして「火星カレー」なんですか?

階段の向こうでは、可愛らしい女の子のイラストがお出迎え

「お店の名前は、実は30年前に決めてました。『火星カレー』のレシピは、すでに20歳の頃にあったんです」とのこと。

もともと、かなりの凝り性だという綾部さん。20歳過ぎくらいから料理を作るのが好きで、カレーを作っているうちに自己流のレシピにたどり着き、「インドでもタイでもない、これは火星カレーだ!」と当時から呼んでいた名前だそうだ。

宇宙とカレーのコラージュで彩られた店頭の壁。これはサイケデリックアートだ。多分!

そして50歳を迎えるにあたり、何かやり残したことはないかと考えたとき、そのカレーを最も高く評価してくれた高校時代の友人で、長年飲食の仕事をしてきた店長の橋本隆博さんと一緒にお店を始めることにしたのだという。「そういう、薄~い大河ドラマのような話がありまして(笑)」と綾部さん。いやいや、30年前から構想があったなんて、薄い大河どころか壮大な銀河ドラマですよ!

ちなみに、綾部さんの本業は「ゲーム」。なんとあの有名な『ぼくのなつやすみ』シリーズを手掛けたゲームデザイナーで、ミレニアムキッチンの代表取締役を務めているのだ。ゲームもカレーも、オリジナルを作ってヒットさせるなんてすごいなあ~!

入店前から期待以上のNASA感が漂う

メニューは、ベースの「火星カレー」にさまざまな肉や野菜のトッピングを乗せたもの。カレールーのレシピは秘密とのことだが、プロの料理人から見ると、「えっ、こんなことやってるの!?」というものも入っていて、それが味の個性に繋がっているのだとか。

店長の橋本さんによれば、普通のカレーとはスパイス使いも作り方も全然違う独特のもので、最初に綾部さんから作り方を教えてもらったときは「こんな作り方しているの!?」とビックリしたそうだ。そのレシピを大まかにいえば、「色んな素材のうま味を壊さないように、無水調理でそれらの味を凝縮したカレー」だという。

トリッキーな店名からは想像もつかないほど、明るく落ち着ける店内だ

普通のカレーは長時間煮込むが、「火星カレー」は過熱を最低限の時間で止めて、凍る直前の温度である1度の冷蔵庫の中で2日間熟成させている。なるほど、こちらも素人ながらグルメ担当記者、なかなか個性的な作り方をしていることは分かる。しかし、秘密はもっとほかにもあるはず。我々取材班(1名)は、ディスカバリーチャンネルばりに、さらなる謎に迫った。その結果、しつこく食い下がる記者に教えてくれた味の秘密、それは"空気"。う~ん……、いったいどういうこと?

店内の壁には、テレビ番組の取材で訪れたタレントのサインもあった

さっぱり分かっていなかった筆者に、綾部さんは「おいしい生ビールの場合、液体の部分より泡の部分の方が甘く感じますよね。あれは空気以外の成分は同じなのに、空気が働いて舌が甘みを強く感じているんですよ。なので、空気の含有量に気を配って調理すると、カレーのうま味や香りが引き立つようになるんです。多分、これはほかのカレー専門店で気付いているお店はないかもしれません」と話す。

カウンター席は6席あり

へえ~! 知らなかった。確かに、エアイン・チョコレートなどもあるし、寿司板前は、握る際に指先の力を加減してすし飯の間に空気を残すことで、そのおいしさを出しているという話もあるだけに、理にかなっている。でも、カレーの空気の量に気を配るってどうやって? ……いや、これ以上は聞くまい。我々人類が知らなくてよい宇宙の謎もある。何にせよ、うまければそれでいいのだ。

店内には愉快な3人組の火星人が!? (左よりスタッフの髙橋大輝さん 店長の橋本隆博さん オーナーの綾部和さん)

メニューには鹿やカンガルー等など、気になるお肉もある。カンガルーなんて食べたことある? 僕はありません。橋本店長によると、「カンガルーのお肉はもともと癖が強い。それをいかに癖を消し過ぎずに、食べやすくするかというところが非常に難しいところ」なんだとか。

券売機を見ると、「鶏」「豚」「牛」「鴨」と、漢字1文字でズラリとメニューが並んでいるのだが、「カンガルーは漢字1文字で書けないという痛恨のミスがあった(笑)」とのこと。確かに! 漢字もあるが、3文字ということもありカタカナ表記にしているらしい。ちなみに漢字で書くと「長尾驢」。よ、読めん!

鶏、豚、馬、鹿……、券売機を前にすると迷ってしまうに違いない

甘味、まろやかさ、不思議な後味……、「火星カレー」の全容とは!?

そんなこんなで、本日オススメしていただいたのは、「鴨・草カレー」(税込1,130円)。鴨肉カレーにホウレン草のバターソテーをトッピングしたカレーだ。いよいよ実食。いただきます!

これが「鴨・草カレー」(税込1,130円)。見た目にもこだわりを感じさせられる

おお~! カレーの上に肉厚な鴨肉が7枚、真ん中にホウレン草の山がたっぷり。キーマカレー風にも見えるカレールーだが、ひと口食べてみると全く違うことが分かる。ひき肉が入っているわけではなく、肉を含めて具材がしっかり調理されているため、原形を留めていない。思ったより辛くなく、どちらかというと甘みのあるまろやかさの中に、複雑なスパイスの味わいが口中に広がって、おいしいー!

上から見るとこんな感じ。観測衛星から撮影(嘘)

しかし、なんだか説明できない不思議な後味もある。確かにこの味はどこかで食べた味でもなければ、家庭の味でもなく、初体験かも。しっかりとした厚みのある鴨肉は、半生状態まで調理したものをお客さんに出す直前に再度炙って仕上げているということで、ほどよい噛み応えを楽しめる。鴨肉を食べる機会ってお蕎麦屋さんで鴨せいろを頼むくらいしかないから、結構新鮮な食べ方だ。

鴨には隠し味として、山椒がふりかけられているのも特徴的。山椒といえばウナギ、と連想されがちだが、山椒は柑橘類なのでレモンやオレンジを味付けに使う感覚で使われており、鴨肉のおいしさを引き出している。そして草(ホウレン草)もバターソテーではあるものの、しつこくない味付けだった。

カレーと鴨肉とホウレン草を頬張ってみると、初めての食体験が待っていた

カレー、鴨肉、ホウレン草、それぞれの味が絶妙なバランスでマッチしている感じだ。正直、お店を訪れる前は、勝手にどぎつくてジャンクな料理をイメージしていたのだが、思った以上に上品で手間暇かけて作られていることが分かった。「火星カレー」の謎は明らかになっていないが……、単純にうまい! うまいカレーですよ、これは。

テーブルには細かく刻まれた紅ショウガが置いてあるので、半分くらい食べ進んでからのせてみると新鮮な味になる

「普通のカレーより脂分が少ないので、女性からも"もたれなくていい"と人気です」と、橋本店長は話す。実はどのメニューにも、にんにくが約2かけ入っているそうだが、なぜか「火星カレー」のレシピだと全然臭くならないから不思議。また、使っている野菜の総量は、ホウレン草などをトッピングしない場合でも、1皿で成人が1日に摂取しなくてはいけない量の約6割になるとか。

ランチタイムは11時45分~14時30分

さらに、味の秘密として貝、キノコ類も入っているというから、ますます謎は深まるばかり。この日は「中辛」を食べていたのだが、辛さの段階は「普通<中辛<大辛<土星<冥王星」と設定されており、土星以上は税込100円追加となっている。「辛さは、冥王星で」。なんてロマンティックな店なんだ、「火星カレー」よ! 池袋にある火星、それはおいしい食べ物へのロマン溢れる地上の星だった。この夏、カレー好きな人はぜひ訪れてみてほしい。

大盛り無料サービスもあり! 集え食いしん坊!!

●information
火星カレー
住所: 東京都豊島区西池袋3-27-3 S&Kビル 地下1階
営業時間: 月水木金 11時45分~14時30分頃
          18時~21時45分(L.O.21時15分)
     火 11時45分~14時30分頃
     土 11時45分~15時頃 17時30分~21時45分(L.O.21時15分)
     祝・振替休日 11時45分~17時(L.O.16時30分)
※昼・夜ともに売切れ次第終了
定休日: 日曜日

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