インストール & 実行
そのPCMark 10だが、インストールは余り悩むことはない。ダウンロードしたら、インストーラーを起動すると言語設定(Photo01)→使用許諾の確認(Photo02)→インストール場所の指定(Photo03)の後はインストールが実行され(Photo04)終了である。
インストール後に起動すると、こんな画面になる(Photo05)。ここでACTIVATEを実施すれば理論上はBasic Editionになる筈なのだが、まだBasic Editionの公開日でないためか、Benchmark一覧(Photo06)を見ると、どのテストもLockが掛かっており実施できない。Options画面で"Enter your upgrade key here"にキー(今回はProfessional Editionのキーを利用した)を入力するとProductの表記が変わり(Photo08)、全てのテストが利用可能になる(Photo09,10)。
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Photo08:Professional Editionのキー入力後。これまでは存在しなかった、"Key ending date"が出現しているのが分かる。今後はFuturemarkの製品もSubscription方式を取るのかもしれない |
さて実際のテストである。PCMark 10(Photo11)/PCMark 10 Express(Photo12)/PCMark 10 Extended(Photo13)とも、デフォルト状態だとRunボタンを押すだけ、というあたりは3DMarkにインターフェースが近付いている。Custom runを選ぶと、個々のテストを実行する/しない、あるいは細かなテスト設定が可能になっている(Photo14~16)。
テストそのものの所要時間は上に
- PCMark 10 Express:18分
- PCMark 10 26分
- PCMark 10 Extended:34分
と示されているが、筆者の環境では
- PCMark 10 Express : 15分
- PCMark 10:22分
- PCMark 10 Extended: 25分
で終了した。終了すると結果が一覧で表示される(Photo17)。また下にあるMonitoringは、detail表示をOnにするとかなり細かく示される(Photo18)。これはPCMark 10 Expressでも同じ(Photo19)である。ただこれ、Detail Scoresのチェックを外すと、一番テスト項目の多いPCMark 10 Extendedでもこんな感じである(Photo20)。
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Photo18:CPUとGPUのコアクロック、GPUのメモリクロック、CPUとGPUのコア温度、CPUの消費電力、及びGPUの負荷が示される。サンプリングは1秒弱(PCMark 10の22分の実行時間に対し、サンプリング回数は1509だった)で行われる |
ちなみにテスト結果であるが、FutureMarkによれば、同社のベンチマークの場合は精度というかバラつきが3%の範囲内に収まる様に設計されているが、実際のベンチマーク環境はOSの管理下で行われているから、想定を超える範囲のバラつきが出ることは当然ありえるという。したがって、複数回実行してその結果の平均を取ることを推奨している。
テスト結果の算出
テスト結果の算出方法だが、基本は相乗平均である。PCMark 10 ExtendedのOverall Scoreは
Overall Score = K×geomean(Se, Sp, Sd, Sg)
となっている。ここでKは0.780で、これはReference PCでOverall Scoreが5000になるように調整しているとのことだ。Se/Sp/Sd/Sgは、それぞれEssential/Productivity/Digital Contents Creation/Gamingの各GroupのScoreである。
では各GroupのScoreはどのように算出されるかというと、これも相乗平均である。例えばEssential GroupのSoccerは
- Essential Score = geomean(R1, R2, R3)
で、R1がApp Start-up Score、R2がWeb Browsing Score、R3がVideo Conference Scoreというわけだ。
個別のテストにおけるScoreの算出法は異なっており、例えばApp Startupの場合は
- App Startup Score = K÷geomean(R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7,R8)
である。ここでR1~R8は4種類のアプリケーション×2つのタイプ(Warm Start/Cold Start)でそれぞれの所要時間(秒)となり、Kは15823と指定されているといった具合だ。個別に説明すると紙面が幾らあっても足りないので割愛するが、興味ある方はPCMark 10のTechnical Guideに算出法が記載されているので見ていただければと思う。
実際にテストを実行
実際に実施してみた結果を簡単にご紹介する。検証環境は以下の通り。
CPU | Intel Core i7-7700K |
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M/B | ASUS Prime Z270-K(BIOS 0318) |
Memory | Corsair CMK16GX4M2A2666C16(DDR4-2666 8GB)×4 |
Graphics | Intel HD Graphics 630(CPU内蔵) |
Storage | Intel SSD 600p 256GB(M.2/PCIe 3.0 x4) + WD WD20EARS 2TB |
OS | Windows 10 Pro 64bit 日本語版 Build 15063(Windows 10 Creator Update) |
まずPCMark 8の結果だが
Creative 3.0 score | 4220 |
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Creative 3.0(OpenCL) score | 5847 |
Home 3.0 score | 3558 |
Home 3.0 score(OpenCL) | 3977 |
Storage 2.0 score | 5009 |
Work 2.0 score | 3324 |
Work 2.0 score(OpenCL) | 4593 |
であり、一方PCMark 10の方だが
PCMark 10 Score | 4497 |
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Essentials Score | 8811 |
Productivity Score | 7530 |
Digital Content Creation Score | 3721 |
PCMark 10 Express Score | 4924 |
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Essentials Score | 8791 |
Productivity Score | 7536 |
PCMark 10 Score | 3098 |
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Essentials Score | 8917 |
Productivity Score | 7574 |
Digital Content Creation Score | 3720 |
Gaming Score | 991 |
となっている。まずPCMark 10の結果で言えば、EssentialとProductivityはどのテストでもほぼ同じなので、PCMark 10やPCMark 10 ExpressをやらなくてもPCMark 10 Extendedだけで十分のようだ。ただし、複数回繰り返して平均を取るのが無難だといえる。
またOverall Scoreに関しては、今回の環境ではDigital Contents CreationやGamingが著しくスコアが低く、これを含めるとスコアが落ちる。これはOverall Scoreだけでは分かりにくいので、個別のGroupのスコアを全部示すか、あるいはPCMark 10 Extendedの結果からPCMark 10/PCMark 10 Expressのスコアを算出するか、どちらか(あるいは両方)が必要に思える。
PCMark 8との対比だが、見事に関係がなくなっているというか、PCMark 8の結果からPCMark 10の結果を見出す(逆でもいいが)のは極めて困難である。当面は、PCMark 8とPCMark 10の両方を併用しながら、という形にするのが無難かもしれない。とりあえず筆者は当面、両方の結果を示しながら性能を判断する形にしたい。