家を購入して住宅ローンを返していくと、思いもよらない要因から、返済が難しくなることもあります。返済期間中に起こる全てのライフイベントを予想するのは無理でも、下記に挙げるポイントをおさえ、備えておきましょう。

1.手元資金と頭金のバランスをとろう

金利や返済期間が同じなら、頭金を多く払った方が、後々の返済が楽になることは間違いありません。とはいえ、預貯金など手元資金を全て頭金につぎ込むのは、いざという時に対応できず、危険と言えます。子供の教育費が予想以上にかさんだ、親の介護が必要になった等、長いローン返済期間には思わぬ出費が発生することも、十分考えられるからです。月々の返済額が少し多くなったとしても、手元に現金を残して備えておきましょう。

2.ライフスタイルの変化も考慮しておく

住宅ローンの悩みで多いのは、ライフスタイルの変化によって、返済が困難になるケース。例えば、夫婦共働きのときに住宅を購入し、その後、出産や育児を機に妻が退職したため、夫一人の収入では返済額が高めになってしまった、という相談があります。その後の育児や教育にもお金がかかることや、妻が復職を希望しても、必ずしもスムーズに行かない場合もあることを考えると、共働きでやっと返済できる金額の借り入れは、できれば避けたいところです。その他、返済途中で転職や、ローンを組んだ年齢によってはリタイアがあるかもしれません。ローンの返済は、ライフスタイルの変化を考慮し、できるだけ長いスパンで計画していきましょう。

3.ボーナス払いに頼り過ぎない

ボーナス時に、通常よりも返済額を上乗せする「ボーナス併用払い」。毎月の負担が減るのはうれしいですが、あまりにボーナス払いに頼り過ぎはおすすめできません。ボーナス併用払いを利用しても、返済がお得になるわけではないからです。また、そもそもボーナスは必ず支給される保証がありません。景気や業績によっては、カットや減額もあるため、住宅ローンの支払いをボーナスありきにするのは危険です。

「自分の家が欲しい」という漠然とした夢も、具体的な資金計画を立ててみると、グッと現実に近づくことでしょう。なるべく理想に近い住まいを手に入れたいものですが、家は「買ったら終わり」ではありません。そこでの生活が苦しくならないよう、生活費とローン返済のバランスを取ることを忘れずに、毎日を豊かに暮らしましょう。

筆者プロフィール:武藤貴子
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント
会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中。FP Cafe登録FP。