ホビードローンの世界にも普及が急がれる

2015年に航空法が改正され、ドローンの飛行には申請が必要になっているが、国土交通省に許可されたドローン飛行申請数は、2016年12月時点で1万件を越えており、今後さらに伸びることが予想される。政府は2018年をめどにドローンによる配送を可能にするべく、航空法の見直しなどを検討している。UTMはこうした規制緩和への必須条件となるため、スタンダードになることは大きな経済効果も生み出せることになる。

海外ではNASAが国際スタンダードを目指したUTMを開発中であり、欧州ではGUTMA、日本でも東京大学やNTTドコモ、JAXAなどがJUTM(Japan Unmanned System Traffic & Radio Management Consorcium:日本無人機運行管理コンソーシアム)という団体を設立しているなど、ドローン管制システムの構築は世界的な関心事となっている。

またベルギーのUniflyによるUNIFLY CONNECTやUniflyと提携したテラドローン社のTerra UTMなど、民間ベースのUTMも登場しており、標準化に向けた激戦区となっている。

楽天AirMapの参入により、また一つプレーヤーが増えることになるが、メーカー系の採用例が多いAirMapは一歩リードしているというところか。いずれにせよこうした自動管制システムが普及すれば、飛行ルートが明らかになっている商用ドローンの世界は安全性が格段に高まることは間違いない。

問題は、こうした自動管制システムをサポートしない古いドローンや、Wi-Fiなどで操作するホビー系ドローンの存在だ。自動管制システムはドローン側にGPSなど一定の精度を持ったハードウェアが必要になると考えられるため、これがない古いハードウェアの場合、精度が保証できない。ある程度は操作するスマートフォンなどのソフトウェア側をアップデートすることで対応できるかもしれないが、現在すでにドローンを導入済みの場合、予定よりも早めにアップデートする必要が出てくるかもしれない。

またホビー系のドローンはそもそも自律操縦できないものもあり、こうしたドローンが管制下にあるドローンのルートを邪魔するといった可能性もある。このような問題が起きないためにも、古いドローンに対する改修措置や、ホビー系にも管制システム下に加わるような規制が必要になるだろう。いずれにしても安全なシステムが採用されることを期待したい。