お正月休みですね。親孝行なんて年末年始実家に帰ることくらい、というみなさん。ホントはもうちょっとマメに連絡を取ったりしたほうがいいんだろうなぁ、と思ったり、定年後に家にこもりがちになっちゃうのが心配だったりしませんか? そんな場合に、もしかしたらApple Watchが役に立つかもしれません。

Apple Watchは日々の活動量を記録する「アクティビティ」が大きな機能のひとつ。これがwatchOS 3から複数のユーザーで共有できるようになりました。共有した相手の活動量を、いつでもリアルタイムで見ることができるというものです。

ジョギング仲間やダイエット仲間と共有すればモチベーション維持に役立つかも、と思っていましたが、親の活動の状況を確認するのもアリなんじゃないかと。ということで、少し離れた場所に住んでいる筆者の母に実際に使ってみてもらうことにしました。

しかし、特に新しもの好きでもガジェット好きでもなく、難しいことはしたくない派の母。そもそも腕時計を使う習慣がないし、果たしてちゃんと使ってもらえるのでしょうか……。

腕時計を使える人なら使えます

Apple Watchを使ってもらうための最初の条件は、iPhoneを使用していること。幸い、うちの母は消費税が8%になる直前に駆け込みでiPhone 5cに乗り換え、現在はiPhone SEを使用中。radikoやLINEなどはよく使っているようですが、Apple IDの意味とか、iOSのアップデートとか、ハード/ソフトことなどはあまり分かってません。

Apple Watchの話を持ちかけた際も、新しい機器の設定や操作をすることにはどうも拒絶反応があるようで……。iPhoneを使ったからといって別のモノも使ってみよう、という方向には行かないようです。しかしそれでは企画倒れ。「最初の設定は全部やっておく」「普通の時計と同じで着けているだけでOK」「試しに1週間だけ」と説明をし、「何もしなくていいなら」と了承を取り付けました。特別に機器を使うための労力や学習が必要ないと分かれば、ハードルも下がるようです。

まずはiPhoneとペアリングして、フェイス(文字盤)の設定を。フェイスは本人の希望で、シンプルなアナログ時計を選択。今回の主目的・アクティビティを前面に出したものか、見やすさ重視で大きなデジタル表示にしようかと思っていたのですが、時計といったらこういう方が馴染みやすんですね。ちゃんと見えるか心配でしたが、発光しているためか表示が小さくても意外に見やすいとのこと。

こういうの、オシャレでやるならいいけど高齢者扱いに見えるとガッカリしちゃうのかも

ということで、アクティビティはコンプリケーションに配置。タップしてリングを表示させる方法と、ムーブ/エクササイズ/スタンドの見方と意味、装着していれば自動的に計測されることを説明しました。まあ歩数計の進化版だと言っておけばそう遠くないでしょう。その他のコンプリケーションには天気予報とタイマー、バッテリーを配置しました。

最終的にこんな感じ。ほぼ私のApple Watchと同じです

そして、私のiPhoneとアクティビティの共有を設定。これも一応は仕組みを説明はしましたが、イマイチピンときていない様子。まあここは私が母の状況を確認できればいいや、ということで深追いせず。あとは、基本的に朝起きたら着けて、夜寝る前に外して充電器にセットするだけ、という形で1週間使ってもらうことにしました。

セットアップ完了。アルミケース+スポーツバンドは軽さが好評でした

日常の活動が「見える化」される体験

さて、1週間後。密かにアクティビティを見守っていた限りでは、毎日使ってくれてはいたようです。ただ、ゴールに到達した回数は少なめ。Apple Watchが活動のモチベーションにまではならなかったのか、目標数値が高すぎたのか……(やや低めにしたつもりではありましたが)。しかし実際に話を聞いてみると、意外にも反応は比較的ポジティブなものでした。

最初は常に計測される状況に「管理されているよう」でやや違和感があったものの、2日もすれば「気付かないところを教えてくれる」という認識に。特に「スタンド」の通知に促されて立つことが度々あったとのこと。仕事や家事でそこそこ立ち歩いていたつもりが、思ったよりも座っていたようです。また、家の中を歩いたりゴミを出しに行くなど、日常の動作も計測してくれるのが「トクした感じ」だそう。iPhoneも歩数の計測はしてくれますが、自宅内では常時持ち歩きませんからね。自分の活動の状況が見える化されることで、動くことに対する意識が変わったと言います。

アクティビティの状況を時々確認。もっとゴールを低くしてバッジを獲得してもらったほうが、モチベーションが上がったかも

その他、LINEの通知がApple Watchに届くので見落とさなくなったり、朝起きた時に天気を見て「今日は洗濯しようかな」と考えたり。時計として使ううちに何となくApple Watchらしい使い方もするようになった模様。また、偶然何かを触ったらアクティビティの共有画面が表示され、私(筆者)のリングを見たそうです。「あんたも全然動いてない日があるじゃない」と。はい、すみません。そうやって自分で発見すると、使い方を覚えるものですよね。

Apple Watchでも、アクティビティの画面を左へフリックすると共有が表示

一方で、「よく分からなかった」というのが緑のリング(エクササイズ)の意味。最初の説明不足でしたね、すみません。「どこに説明があるのかも分からなかった」というので、探してはみたのでしょう。アプリ内にヘルプ表示機能があったり、簡単な説明書があると良かったかもしれません。

SafariやiBooksで見て、というのはハードルが高いかな

加えて、「3万円は高いかな」という率直なご意見も。よほど新し物好きでない限り、自ら導入してもらうのは難しいでしょう。使ってもらうならこちらで全部お膳立てが必要ですね。

「見守り」よりもいっしょに「健康」

ということで、当初は「見守りサービス」代わりになるかなと考えていたのですが、やはりアクティビティの本来のコンセプトどおり、毎日ある程度運動するという健康管理の方に向いているという結果になりました。活動を計測することはもちろん、いっしょに取り組んでいることがモチベーションになるのではないでしょうか。実際に、ある程度使い方が分かったことで母ももう少し続けてみる気になったようです(現在継続中)。かくいう私も、母に負けない成績を出さねばと以前より数値を気にするようになりました。

見守りという意味では、近いうちに「緊急SOS」の使い方を教えておこうと思います。万一の時、実際に使うのは難しいかもしれませんが、日頃身につけていれば可能性はゼロではありません。

警察や消防・救急に緊急電話をかける「緊急SOS」機能。とっさに使えるかどうかは自分も自信がありませんが……

今後は、心拍数を共有して異常があればアラートが届くとか、センサーに体温計が追加されて毎日測ってくれる、といった機能が実装されると見守り需要に役立つかもしれませんね。ハード・OSともにアップデートに期待したいと思います。