プリウスPHVにリーフ同様の悩み?

プリウスの直接のライバルはEVのリーフだと前に書いた。しかし販売実績には大差が付いている。ランニングコストはガソリンより電気のほうが大幅に割安なのに、充電しなければ走れない、充電に時間が掛かる、充電しても長距離を走れないという欠点が、心配性の日本人には必要以上にネガに作用してしまったようだ。

プリウスPHVはリーフとは違ってエンジンも積んでいるので、充電せずに走ることはできる。バッテリーに頼らない、いわゆるハイブリッドモードでのカタログ燃費は1リッターあたり37キロメートルと発表されており、ノートe-POWERとほぼ同じだ。ただしPHVの本領を発揮しようと思えば充電が不可欠。となるとリーフが直面した悩みが今度はプリウスにも降りかかってくる。

しかもプリウスPHVはノートe-POWERよりはるかに大きなバッテリーを積むので、価格は通常のHVより高くなる。事前の予想ではHVのプリウスより50万円以上高くなるのではないかという噂がある。

プリウスならノートやアクア、フィットを買おうと考える人が比較対象に挙げるかもしれないが、プリウスPHVぐらいの価格になると、別のクラスのエコカーとして考えるのではないだろうか。現時点で唯一の国産PHVとして孤軍奮闘している三菱自動車工業の「アウトランダーPHEV」や、最近急増している輸入PHVがライバルになりそうだ。

「アウトランダーPHEV」(画像)はプリウスPHVのライバルとなりそうだ(画像は三菱自動車工業より)

C-HRも参戦、エコカー充実でクルマ選びに幅

また欧米に比べて住宅事情が恵まれていない日本は、自宅に充電施設を設置することが難しい。公共充電スポットは多いと報じられているが、実際は他メーカーのユーザーには使いにくい自動車販売店、土日や夜間は使えない市役所なども多く、真の意味での公共充電施設はそれほど多くない。

一方、普通のHVでいいという人は、プリウスと同じプラットフォームやパワートレインを用いて今月発売されたスタイリッシュなSUV「C-HR」が気になっているだろう。価格はやや高めだが、あのデザインに惹かれて買う人は多そうだ。現に予約殺到で納車は来年の春とも言われている。プリウスの敵は身内にもいるというわけだ。

同じトヨタ車だが、プリウスの牙城を脅かしかねない「C-HR」

ノートe-POWERにC-HRと、プリウスの牙城を脅かすクルマが次々に登場した2016年終盤。2017年はプリウス独走とはいかない感じがするけれど、裏を返せばデザインや走りで楽しめるエコカーが次々にデビューしているわけで、好ましい状況になりつつあるのもまた事実だ。