現在、日本全国の自治体で移住・定住を促進する取り組みが行われています。賃貸住宅の家賃助成や住宅の改修改築に関する助成などその内容はさまざまですが、実は、人口の多い東京23区内でもこうした補助を受けることができます。今回は家賃助成制度について、23区の中からいくつかの区をピックアップしてご紹介します。

「新宿区」は単身向けの家賃補助あり!

まず新宿区では、23区で唯一学生・勤労単身者向けの助成があります。18歳~28歳の単身者で家賃月額9万円以下の区内賃貸住宅に住んでいる人は、月額1万円の助成金を最長3年間受け取ることができます。

「単身者向け」賃貸助成制度

23区で単身者向けの助成制度を実施しているのは新宿区だけなので、条件に当てはまる方は応募してみてはいかがでしょうか。なお、平成28年度の募集は、10月3日から10月17日までとなっています。

家族で民間賃貸に入居している人は?

ファミリー世帯向けの助成に関しては、区によって助成額・助成期間・申し込み資格が異なります。新宿区では、前述の単身者向けのほかにも、義務教育修了前の子供がいて家賃22万円以下の賃貸住宅に住んでいる世帯へ、月額3万円を最長5年間補助してもらえます。

目黒区の場合、助成額は月額2万円、助成期間は最長3年間です。申込者は18歳未満の子を扶養し同居している、家賃5万円以上16万円以下の賃貸住宅に住んでいる、 所得金額が定められている上限を超えていない、といった条件を満たす必要があります。

豊島区では、15歳以下の児童1名以上を扶養し同居している世帯を対象に、その児童が15歳に達する年度まで月額1万5,000円(4年目からは2分の1)を支給しています。ただしあくまで区内への転居・転入を支援する制度なので、住所の異動後1年以内に申請をしなければいけません。

「ファミリー向け」家賃助成制度(民間住宅)

「区営住宅」入居者への補助もあり

一方で、民間の賃貸住宅ではなく、区が指定する住宅に転居するファミリー世帯に対して助成を行っている区もあります。世田谷区は、公共賃貸住宅「せたがやの家」に新規入居する、18歳未満の子供がいる世帯を対象に、月額4万円を最長5年間支給しています。入居に関しては定期募集と先着順募集を行っており、定期募集の場合は抽選での入居となります。

同じく板橋区では、婚姻予定及び婚姻後3年以内の新婚世帯、または小学校6年生以下の子供が1人以上いる子育て世帯に対して、区立住宅の家賃を減額しています。期間は 3年間で通常は3万円減額ですが、18歳未満の子供が1人いる場合は3万5,000円、2人以上いる場合は4万円が減額されます。こちらも住宅が空き次第入居者を募集しているので、気になる方はチェックしてみましょう。

「ファミリー向け」家賃助成制度(区営住宅)

高齢者向け助成で転居後の安全・安心を

また、一部の区では高齢者を対象とする家賃助成制度が実施されています。例えば江戸川区では、取り壊しなどにより転居を求められ、新しい民間賃貸住宅に移転する65歳以上の方の世帯に、転居前後の家賃の差額を補助しています。

荒川区でも、要件を満たしている70歳以上の方の世帯が転居を行う際、月額4万円を上限に助成を受けることができます。こうした取り組みは、住み替えの促進にとどまらず、高齢者の方が防災面で優れた住宅に住むことを奨励するものでもあります。

千代田区では、高齢者世帯と合わせて、障害を持つ方を含む世帯と、18歳以下の子を同居し扶養する一人親世帯が対象となっており、所得限度額を下回っているなどの条件に該当すれば、最長5年間、月額5万円を上限に家賃助成を受けられます。

「高齢者向け」家賃助成制度

終わりに

「東京23区は賃貸が高い」というイメージがありますが、学生・単身者、ファミリー世帯、高齢者世帯、一人親世帯といったさまざまな層に向けた家賃助成制度が充実しています。給付される金額は2~4万円、期間は3~5年間が多いようです。申し込む際には、年齢・所得・家賃の上限などの条件を満たしているかをよく確認するようにしましょう。特に、近々引っ越しを考えているファミリー世帯は、住むエリアを選ぶポイントの一つにするといいかもしれません。

(※記事の情報は平成28年9月時点のものです)

株式会社回遊舎


"金融"を専門とする編集・制作プロダクション。お金に関する記事を企画・取材から執筆、制作まで一手に引き受ける。マネー誌以外にも、育児雑誌や女性誌健康関連記事などのライフスタイル分野も幅広く手掛ける。近著に「貯められない人のための手取り『10分の1』貯金術」「J-REIT金メダル投資術」(株式会社秀和システム 著者酒井富士子)、「NISA120%活用術」(日本経済出版社)、「めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った世界で一番わかりやすいニッポンの論点10」(株式会社ダイヤモンド社)、「子育てで破産しないためのお金の本」(株式会社廣済堂出版)など。