デルは7月27日、ゲーミングブランド「ALIENWARE」の共同創業者兼ジェネラルマネージャー(GM)のフランク・エイゾール氏による、ALIENWAREの製品情報アップデートを東京・秋葉原で記者向けに開催。その様子をお伝えしよう。

ALIENWARE共同創業者兼ジェネラルマネージャー(GM)のフランク・エイゾール氏

エイゾール氏は、1998年にALIENWARE入社。2006年にデルとALIENWAREが統合した後も、ALIENWAREのGMを務めてきた。現在は、ALIENWARE、およびデルのプレミアム系PC「XPS」ブランドを統括するGMだ。

冒頭でエイゾール氏は、「ALIENWAREの20年の進化」として歴史を紹介した。創業時の1996年は、PCゲームを想定して製品開発するメーカーが皆無であった時代。ALIENWAREは「ゲームに没入できるPC」という新しいコンセプトで誕生した。

ユーザーはハードウェアに関する技術的なことや、サポート面を気にすることなく、PCゲームに集中できることが特徴で、その設計思想は現在も変わらないという。以降、2002年に業界初のゲーミング用ノートPC、2006年には世界初のデュアルグラフィックス搭載のノートPCを発表するなど、数多くのイノベーションを起こす。そしてPC業界を牽引してきたと、ALIENWAREブランドの足跡を振り返った。

ALIENWAREの20年の進化

続いて、ミドルタワー型ゲーミングPC「ALIENWARE Aurora」(7月20日発売)を紹介。マーケティングメッセージは「デュアルグラフィックス、水冷やオーバークロックに対応した、VRに最適なミッドタワーPC」としているが、注目は新デザインの筐体だ。「デザインと機能の融合」をテーマに、工具で開閉できる構造のサイドパネル、スイングアウト式のPSU(電源ユニット部分)設計、効率的なエアーフローなどを説明していく。特に、スイングアウト式PSUのレイアウトや品質にはこだわっており、開閉時の角度を任意の場所で固定できるヒンジの作り込みは秀逸だと熱く語った。

主な仕様をおさらいすると、CPUがIntel Core i7-6700K(4.00GHz)、メモリがDDR4-2133 32GB、ストレージが512GB SSD+2TB HDD、グラフィックスがNVIDIA GeForce GTX 1080(8GB)などだ。OSはWindows 10 Home 64bit。本体サイズはW212×D360.5×H472.53mm、重量は約14.82kgとなる。

ALIENWARE Auroraの特徴

ミドルタワー型ゲーミングPC「ALIENWARE Aurora」

ツールレスで、マザーボードに簡単にアクセスできる

グラフィックスカードだけでなくハードドライブへもツールレスでアクセス可能

エイゾール氏によると、マザーボードは独自の設計。microATXをベースとしながら、グラフィックカードの拡張性を考慮したという、縦方向に若干長いマザーだ

スイングアウト式のPSU。手を放しても、任意の角度でPSUがピタリと留まる

ヒンジの設計には数々の工夫がなされているそうだ

次に、Broadwell-Eプロセッサー搭載「ALIENWARE Area-51」を紹介。独特の(おにぎり型)トライアドデザインのケースを採用したハイエンドフルタワー型ゲーミングデスクトップPCだ。

CPUにはBroadwell-EベースのIntel Core i7-6950X(3.00GHz)、グラフィックスにはNVIDIA GeForce GTX 1080を搭載可能とスペックも高く、高負荷のVRゲームなどを快適にプレイできる。グラフィックスカードは構成変更が可能で、NVIDIA GeForce GTX 980を3枚搭載する構成も用意されている。

そのほかの主な仕様は、CPUがIntel Core i7-6950X(3.00GHz)、チップセットがIntel X99 Express、メモリがDDR4-2133 32GB、ストレージが512GB SSD+4TB HDD、グラフィックスがNVIDIA GeForce GTX 1080(8GB)など。OSはWindows 10 Home 64bit。インタフェース類は、Gigabit Ethernet対応有線LAN×1、IEEE802.11ac対応無線LAN、Bluetooth 4.0、USB 3.0×6、USB 2.0×4、SDメモリーカードリーダーなど。本体サイズはW272.71×D638.96×H569.25mm、重量は約28kg。

ALIENWARE Area-51のハイライト

ALIENWARE Area-51本体

きれいなケーブリング、レイアウトに圧倒される

1500W対応80PLUS「GOLD」電源

参考展示されていた「ALIENWARE Alpha」とAlienware Graphics Amplifier

Alienware Graphics Amplifierの背面

そのほか、有機ELディスプレイ搭載の13型ゲーミングノートPC「ALIENWARE 13」を参考製品として紹介。10万:1のコントラスト比、通常1ms(最大2ms)という優れた応答速度を持つ。北米では「Limited Edition」として既に発売中だが、日本への投入時期は2016年11月ごろであることを明らかにした。想像以上に好評で、生産が間に合っていないという。

参考展示されていた「ALIENWARE13」の有機ELパネル仕様

天板は通常モデルと同一のようだ

写真では分かりにくいが、大変見やすいディスプレイだ

有機ELパネルの特徴

エイゾール氏はまた、VRへの取り組みと投資についても強調した。現行のALIENWARE製品はすべてVRに対応しているか、アップグレード対応(ALIENWARE 13を除く)と、VRへの積極的な取り組みをアピール。

Oculus、HTCと協業を続け、「Oculus Ready」「Vive Optimized」をそれぞれサポートしつつ、専任のエンジニアリング・チームを設置していることを紹介した。今後も、VRへのハードルを下げるディスカウントやプロモーションを展開する予定だ。

ALIENWAREのVR戦略

ALIENWAREのラインナップとVR対応

ALIENWAREの歴史を一目で

VRコンテンツの提供(現在はLonely WhaleとMoon Golfという2つのコンテンツのみ)や、VRに特化した新しいコンセプト(バックパック型フリーロームVRなど)も追求していくと、展望を述べた。

そのほか、e-Sports(electronic Sports)におけるブランド認知を向上させる活動も継続する。単にスポンサーとしてだけでなく、実際のプレイヤーから製品開発へのフィードバックも行われているという(エイゾール氏)。ファンとの交流やパートナーシップも、メーカーにとって大切であるという姿勢にも触れた。

最後にエイゾール氏は、ALIENWAREはゲーミングPCとして「唯一無二の存在」であることを強調。「今後もゲーマーたちがPCゲームに没入できる製品を提供していく」としてまとめた。

会見後の囲み取材で聞いたところによると、「ALIENWAREは、最高品質の製品を届ける、そこからパフォーマンスの話ができる」、「自社工場でもODMでもALIENWAREブランド担当が品質を1台1台チェックしている。故障率は公開できないが20年間で一番低くなっている。従来ではここまでできないとしていた領域まで達成している」と、品質についても自信を語った。

単にスペックの高さだけでなく、品質の高さがあるからこそ、20年間続くブランドであると筆者は感じた。参考までに、エイゾール氏は、プライベートでは「ALIENWARE Alpha」をリビングに設置して、家族でVRを楽しんでいるという。モバイル用は出張が多いので軽量なXPS15を(ALIENWAREのステッカーを貼って)使っているそうだ。