米Microsoftが発表した2016年度第4四半期の売上高は約226億ドル (前年同期は約222億ドル)。そのうちIntelligent Cloud部門は前年同期比で7%増加し、Microsoft Azureに限れば同102%増と躍進している。我々ユーザーにとって興味深いのはMore Personal Computing部門だが、こちらは前年同期比で4%減となった。Surface Pro 4とSurface Bookが牽引したSurface関連の売上は同9%増。Windows OEMも29%増と順調だが、前述のMicrosoft Azureと比べると寂しい数字だ。

7月10日から開催された「2016 Microsoft Worldwide Partner Conference」で講演したSatya Nadella氏

本稿で注目したいのは、同じくMore Personal Computing部門が管轄するスマートフォンについてである。Lumiaブランドを擁するこちらは前年度期比71%減と、その分野から撤退してもおかしくない成績だ。実際、Microsoftは携帯電話のハードウェア事業を再編することを明らかにしている。この発表によると、7,800人の人員削減を行い、Nokiaから買収した事業に対して約76億ドルの評価損を計上するという。

MicrosoftがNokiaからDevices & Services部門などを買収したのは2013年9月のこと。現在、Windows 10 Mobile端末におけるフラッグシップモデルは「Lumia 950 XL」だが、売り上げは芳しくなさそうである。4月下旬には、Lumia 950 XLを購入するとLumia 950が貰えるキャンペーンを実施していた。

2015年11月にMicrosoftがリリースした「Lumia 950 XL」。個人的にはよいデバイスだと評価しているのだが……

Microsoft CEOのSatya Nadella氏は社員向けメールで、「スマートフォン事業の資産構成を再編し、Windowsファンが喜ぶフラグシップデバイスの提供を目指す」と述べた。この内容は、既存のLumiaシリーズを諦める一方で新規市場を開拓するためのデバイスを用意するとも読み取れる。以前から噂のあったSurface Phone (仮称) をリリースする可能性は低くないとみていいだろう。

Nadella氏は先のメールで「長期的にはMicrosoftのデバイスで革新を巻き起こすカテゴリを生み出し、Windowsエコシステムにつなげていく」とも説明した。Windows 10 MobileデバイスがWindowsエコシステムの中央に位置することに変わりはないようだ。

一方、日本マイクロソフトはWindows 10 Mobileデバイスを販売するパートナー企業を支援するに留まっている。この点について関係者は、「パートナー企業の成長をうながすため。自社デバイスを投入すると市場に悪影響を与えてしまう」と筆者に説明した。ここに焦れったさを感じてしまうのは筆者だけではないだろう。Surface Phone (仮称) が登場すれば、いずれ日本市場へ上陸するはずだ。それまでにWindows 10 Mobileが日本市場から消え去ってしまわないことを祈る。

阿久津良和(Cactus)