肥満も不妊のリスクを高めることをご存じですか?

皆さん、「月経が止まるから、ダイエットは体に良くないよ」と言われたことはありませんか? 実際に、極端にやせると排卵しなくなり、月経は止まってしまいます。しかし、肥満も月経不順の原因になることは、あまり知られていません。

女性の肥満についての基礎知識

肥満かどうかは、BMIという世界基準の体格指数で決めます。BMIの求め方は「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」。統計上、BMI22が最も病気にかかりにくい健康体重とされており、身長160センチの方で55kgです。一度、ご自分のBMIを計算してみてください。

普通体重のBMIは「18.5以上25未満」で、やせすぎは「BMI18.5未満」。海外では、「BMI25以上」は過体重(太りすぎ)で、「BMI30以上」は肥満です。しかし、日本人は「BMI25以上」でも内臓脂肪増加による生活習慣病になりやすいので、日本の肥満の基準は「BMI25以上」となっています。

肥満でも健康体の方もいれば、症状の出る方もいます。その症状とは、いわゆる生活習慣病のことで、高脂血症や高血圧、糖尿病などが該当します。ただし、生殖可能期の女性で問題になるのは、月経不順と不妊症です。

肥満になる習慣って?

肥満に簡単になる人がいる一方で、太りたくても太れない人もいて、体質の個人差は大きいと言えます。しかし特殊な病気を除いて、肥満になるのは「摂取エネルギー>消費エネルギー」の積み重ねの結果です。

消費エネルギーが減る原因や習慣としては、次のことが挙げられます。

■楽な生活習慣が身に付いている
歩かずに自動車に乗る、階段でなくエスカレーターやエレベーターを使う、座った仕事が多い、姿勢が悪いといった楽な生活習慣を選んでいると、消費エネルギーが減ってしまいます。

■代謝エネルギーの低下
加齢や運動不足によって筋肉が減少すると、代謝エネルギーが低下します。

摂取エネルギーが増える原因や習慣は、次のポイントをチェックしてみましょう。

■寝不足による食欲亢進
寝不足になると、グレリンという食欲亢進ホルモンが出ます。

■月経前のホルモンバランスによる食欲亢進
月経前の黄体ホルモンの作用で、空腹を感じやすくなります。

■早食いの習慣や、かまない食べ方による食事量の増加
食べ始めてから15分以上たたないと、満腹中枢は刺激されませんので、15分かけないで食べ終わってしまう人は見直してみましょう。また、よくかむことで、ヒスタミンやセロトニンという物質が出て満腹中枢を刺激します。

■太りやすい食べ物がすき(炭水化物、脂質)
ご飯やパンなどの炭水化物や、揚げ物などの脂質が多いメニューは、脂肪になりやすく、太りやすくなります。

■ストレス解消のための過食
ストレスを受けると、それに対抗するために身体はノルアドレナリンという闘争ホルモンを出します。それと同時に食事をとることで、ドーパミンという快楽ホルモンを出して快感を得ようとします。

■無意識に少しずつ食べ過ぎる
・食器が大きい
心理学的には、映画館でのポップコーンの実験というのがあります。映画鑑賞中、しけたポップコーンを大カップと小カップに分けて無作為に渡したところ、どちらのカップも同じ程度の減り方だったというのです。つまり、大きい入れ物だと無意識に多く食べてしまうことを示しています。

・いろいろな種類を食べる
バイキング料理だといつもより食べ過ぎてしまうことはありませんか? アメリカのペンシルヴァニア大学での実験では、3種類のヨーグルトを出された人は、1種類しか出されなかった人に比べて、平均23%も多く食べることがわかっています。これは「感覚特異性飽和」と呼ばれています。同じ味ばかりだと舌にある味覚を感じる器官が鈍るので、満腹感を感じるようです。"デザートは別腹"になるのもこのためです。

・デスクや家にお菓子を常備している
無意識の一口が体重増加のもとになります。デスクや家にお菓子をストックしておく習慣がある人は改善しましょう。

・ウエストマークのない服が好き
ウエストが緩い服だと、食べ過ぎても気づきにくいもの。できるだけジャストサイズの服を着て、食べ過ぎを予防しましょう。