NVIDIAとGALAXは26日、秋葉原UDX前 サポニウス広場で「最新グラフィックボード&VRヘッドマウントディスプレイ体験イベント」を開催した。イベントではGALAX製のVRヘッドマウントディスプレイ「GALAX VISION」を使用してのVRコンテンツ体験や、プレゼンテーションなどが行われた。
GALAXの開発者向けVRヘッドマウントディスプレイ
GALAXY 東海笑門氏 |
「GALAX VISION」は、VRコンテンツの開発者向けヘッドマウントディスプレイ(HMD)で、画面解像度は両目で1,920×1,080ドット(片目:960×1,080ドット)で、リフレッシュレートは60Hz、視野角は100度、反応速度は25mm。センサーとして、ジャイロスコープ、加速度センサー、磁気センサーを搭載する。重量は本体のみで380gとVR HMDとしては軽量の部類となる。
インタフェースは、HDMI 1.4とUSB 2.0で、専用のドライバなどを必要とせずにプラグアンドプレイで、PCと接続する。
VRの用途としては、いまのところゲーム関連の話題が先行しているが、それ以外にも3D映画の鑑賞や、ドライブシミュレーション、不動産の内見といったバーチャルツアー、パノラマ動画の視聴といった用途への活用を目指している。
今回用意された体験用コンテンツは、FPS風のもので限られたスペースを移動し、装備した武器でオブジェクトを攻撃できた。3台置かれた試遊機の前には、イベント開始から終了時まで体験希望者の列が絶えず形成されていた。
iiyama PCから「GALAX VISION」推奨PCも
動作環境としては、NVIDIA GeForce GTX 970以上を搭載したグラフィックスカードが推奨されているが、コンテンツによってはGeForce GTX 750 TiやGeForce GTX 950といったレンジの製品でも動作するという。
NVIDIA GeForce GTX 970搭載カードの例として紹介されたのが、「GF PGTX970/4GD5 EXOC SNIPER」だ。動作クロックをリファレンススペックから大きく引き上げたモデルで、ベースを1,178MHz、ブーストクロックを1,329MHzまでオーバークロックしている。それに合わせて電源フェーズを4+2から5+2へ、補助電源コネクタを6ピン×2から8ピン+6ピンへと強化している。
新開発のファンを搭載したオリジナルクーラー「New Silent Extreme Cooler」により、冷却性能を高めたという。同社のテストでは、リファレンスクーラーと比べて、アイドル時/フルロード時ともに6度の温度低下を実現したとする。
なお、ユニットコムのiiyama PCブランドより、「GALAX VISION」推奨PCの発売が予定されている。PCケースにハンドキャリー用のフレームを備え、社内における移動やイベント、展示の際にも持ち運ぶことができる。Intel Core i7-6700やNVIDIA GeForce GTX 970、16GBメモリなどを標準搭載し、「GALAX VISION」も付属する。価格は税別210,980円から。
「VR Ready」はMaxwell世代の上位モデルが対象 - その理由は?
エヌビディアジャパン 高橋一則氏 |
イベントでは、エヌビディアジャパン 高橋一則氏によるプレゼンテーションも行われた。2016年は、PlayStation VRやOculus Rift、HTC ViveといったVR HMDが相次いで発売となり、まさに"VR元年"といえるが、2016年から2020年にかけて延べ、6,500万台のVR HMDが出荷される見込みだという。
NVIDIAではハイパフォーマンスのGeForce GTXシリーズや、システムに合わせてコンテンツの設定を最適化するGeForce Experienceに加え、VRコンテンツ開発者向けにAPIやライブラリをセットにしたGameWorks VRを、競合に対するアドバンテージとして、VRへの取り組みを進めていく。
さて、NVIDIAは2016年1月に、VR対応のPCやグラフィックスカードの認定プログラム「VR-Ready」を立ち上げた。Oculus Rift製品版の推奨スペックとして、CPUがIntel Core i5-4590以上、メモリが8GB以上、GPUがNVIDIA GeForce GTX 970以上、またはAMD Radeon R9 290以上が上げられているが、NVIDIAでもやはりGeForce GTX 970以上のGPUを推奨している。ここで重要な点として高橋氏が紹介したのは「Maxwell世代のGPUであること」だ。
単純な処理能力を考えると、Kepler世代の上位モデルであるNVIDIA GeForce GTX 780 Tiでも動作できそうなのだが、それではNVIDIAが求める水準に達しない。それは何故か? 高橋氏が一例として挙げたのは、GameWorks VRに含まれる「Multi-res Shading」という技術だ。
「Multi-res Shading」については、2015年の解説記事を参照してほしいのだが、VR HMDではレンダリングした画面をゆがませてディスプレイ上に表示する必要がある。画像をゆがませる際に、画面をいくつかのビューポートに分けて、視点が集中する中心部は通常の解像度で、画がつぶれてしまう画面端は低解像度でレンダリングすることで、処理の負荷を軽減するという仕組みだ。
「Multi-res Shading」では、Maxwellアーキテクチャに実装されたマルチプロジェクション機能が使われる。そのため、Maxwell世代のGPUが必要となるというわけだ。GameWorks VRはUnreal Engine 4に統合されており、Unreal Engine 4ベースのゲームやアプリケーションで、GameWorks VRを有効にした場合、50%の性能向上を実現するという。NVIDIAでは、今後もこれらの取り組みでVRにおけるエコシステムを支援したいとした。