【レポート】

北海道新幹線開業前、なぜ4日間も休むのか? 「地上設備最終切替」を考える

1 北海道新幹線の運行管理システム、その名は「CYGNUS」

 
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いよいよ2016年3月26日、北海道新幹線新青森~新函館北斗間が開業する。北海道新幹線の最大の特徴は、青函トンネルの前後82kmに及ぶ在来線との共用走行区間(新中小国信号場~木古内駅間)の存在だ。そのことが、開業後の運行形態だけでなく、開業前に実施する「地上設備最終切替」にも関わってくる。

1月1日、青函トンネルを含む新幹線・在来線の共用走行区間で「地上設備最終切替」の事前確認を実施。北海道新幹線H5系も走行した

共用走行区間、レール交換だけではない - 電力・信通・運行管理も変更

すでに青函トンネルを含む区間は海峡線として、1988年3月から営業を開始しているが、これはいうまでもなく在来線としての営業だ。だから軌間は1,067mm、電化方式は交流20,000V・50Hzである。信号保安システムに関しては長大トンネルでの安全性確保の観点から、新幹線並みに自動列車制御装置(ATC : Automatic Train Control)を使っている。

そこに新幹線を通すことになったが、その際に旅客列車はすべて新幹線に移行することになった。しかし、貨物列車は今後も在来線との直通運転が続く。だから北海道新幹線のうち、青函トンネルとその前後の区間は共用走行区間といって、在来線(1,067mm軌間、狭軌)と新幹線(1,435mm軌間、標準軌)が共用する。両者は軌間が異なるため、狭軌だけの状態にレールを1本追加して、三線軌条に改修した。

もともと海峡線は将来の三線軌条化を想定した施設にしてあったので、新幹線が使用する3本目のレール(Sレール)を追加するだけで済んでいる……かというと、そうではない。新在が共用するレール(Cレール)も新しいレールに交換している。在来線だけが使用するレール(Nレール)はそのままである(レールは、適切に保守していれば案外と長持ちするものである)。しかし、線路だけ手直しすれば済むわけではない。電力、信通(信号・通信)、運行管理といったところの設備も、新幹線に対応できるように改める必要がある。

まず電力だ。北海道新幹線は交流25,000V・50Hzを使用するので、それに対応できるように変電所の設備を更新した。ただし、3月21日まで在来線の旅客列車が走るので、在来線用20,000Vと新幹線用25,000Vのいずれかに切り替えられるしくみとなっている。

信号保安設備も、新幹線が使用するデジタル式ATC(DS-ATC)の設備を追加した。これも、現在はまだ在来線の列車が走っているので、現行のアナログ式ATCとDS-ATCのいずれかに切り替えられるしくみとなっている。

通信のうち、列車無線も同様で、現在は在来線用と新幹線用を併設しており、いずれかに切り替えられるようになっている。通信施設としては、地上の駅や変電所や信号保安設備を結ぶものもあるが、そちらの話は割愛する。

北海道新幹線が開業すると、電力・信通の設備はいずれも新幹線仕様で固定される。これにより、共用走行区間を挟んで在来線との間を直通する貨物列車を牽引するために、在来線の電力・信通設備と新幹線の電力・信通設備の両方に対応できる機関車が必要になった。それがEH800形である。

青函トンネルから本州側に顔を出したEH800形(筆者撮影)

では、運行管理とは何か? それは、列車の運行状況を把握したり、事前に設定しておいたダイヤに従って分岐器を自動的に切り替えて進路を構成したり、車両ごとの運行履歴を記録・管理したり、といった機能のことである。

運行管理システムは、利用者から直接見える機能ではない。しかし、見えないところで密接に関わっているシステムである。輸送障害が発生したときの対応を支えているのが運行管理システムだし、駅のコンコースやホームにある発車標は運行管理システムからデータを得ている。

新幹線は自前の運行管理システムを持っている。東海道・山陽新幹線は「COMTRAC」、九州新幹線は「SIRIUS」、東北・上越・北陸新幹線は「COSMOS」、そして北海道新幹線は「CYGNUS」という。北海道新幹線と東北新幹線は新青森駅を境界として接続しており、相互に直通運転を行う。だから「COSMOS」「CYGNUS」は連携して動作する。

しかし、それは北海道新幹線が開業した後の話だから、現在の海峡線はまだ、在来線としての運行管理体制下にある。これも電力・信通と同様、共用走行区間については必要に応じて「CYGNUS」の管理下に切り替えられるようになっている。

北海道新幹線が開業した後、在来線から共用走行区間へ貨物列車が進入してくると、その列車は当然ながら「CYGNUS」の管理下に置かれる。同じ線路を走っているのに、新幹線と貨物列車が異なるシステムの管理下にあったのでは、運行管理が成り立たない。

ところが、貨物列車は前後の在来線(本州側は津軽線、北海道側は道南いさりび鉄道線・函館本線)と直通しており、在来線には在来線の運行管理システムがある。

北海道新幹線・在来線のこれまでの運行管理システム(左側が日中の在来線運行時、右側が夜間の走行試験時)

「地上設備最終切替」実施後の運行管理システム

そこで、貨物列車の運行管理も円滑に行うため、北海道新幹線が開業した後は在来線の運行管理システムと「CYGNUS」を連携させることになる。そうしないと、在来線で遅れを持ったまま貨物列車が新幹線に乗り入れてきた場合(あるいはその逆)の円滑な対応が難しくなるからだ。

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インデックス

目次
(1) 北海道新幹線の運行管理システム、その名は「CYGNUS」
(2) 「地上設備最終切替」3/22からの4日間で何が行われる?

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